zzz | ナノ


さっきは気を遣ってくれてありがとう。みんな大好き!
「なあなあ、付き合うって何するん?なあなあなあなあ!」
「うっさいねん金太郎、お前ちょおあっち行っときいや」
「白石が教えてくれんで」


…できればもうちょっと遣っててほしかったけど。

痘痕も靨 番外編
松風




今日の祭や花火が跡部財閥の主催及び資金援助だと知ったあたしと光は、跡部死ねと思わず口走った。失敗したな、何故あたしだけ殴られるの。
ほんとにお坊ちゃまなんだなあと思った。住んでる世界は同じだし、最近は割と庶民的なこともしてるらしいけどね。

みんなで出店を練り歩くことにした、の、だけど、白石先輩(うざい)がそんなん無駄多過ぎるわとか言いやがって、氷帝と四天で分け、更にそこの中でも主食とお菓子と溶けるものの班で分けた。溶けるもの班は足が速い人しか所属できないんだって。何そのレアモノ設定、がち意味不明なんですが。草生やすよ、語尾に。その時点であたしと光はばらばらになって(光は何食わぬ顔でしたけどね!)、みんな合流してから2人になれる機会探してもなくて、今に至るわけ。金ちゃんをあしらうのは簡単だけど、うちの過保護組2人を切り離すのは至難の業で…


「そない睨まんでも(ここでは)取って食うたりしませんて」
「今やらしい隠れた何かが聞こえたんだけど」
「俺もそう思うC」

後者は慈郎ちゃん、そして前者はまさかの滝先輩。
昔から歪んだ感じで可愛がってくれてたのは確か。でもここまでかと光も驚いてて…まあ楽しく相手してるみたいだからいいや、みたいなノリになってきてる自分もいる。







「あ、」
「彼女から電話か、厭味だな厭味だろ宍戸」
「岳人お前な…」



そろそろ光も滝先輩と慈郎ちゃんの相手にげんなりしてきただろう頃、亮くんの彼女さんが電話してきたらしい。うひょひょ、これはいいからかいのネタになるぜ!とあたしと慈郎ちゃんは目を合わせた。


「もしもし」
「あ、亮?ごめんごめーん、頼みあるんだけど。合宿終わるの明日だっけ?頼みあるんだけどさ!」
「それは聞いた。で、何」


亮くんはメールよりは電話派だけど、電話もさして好きじゃないから眉間に皺を寄せて最大限に嫌がっていた。てゆか、彼女さん見た目はふんわりほんわかなのに、結構マシンガントークだなあ。



「うん、駅前の雑貨屋さんあるじゃん?あそこで予約してたラグをね、とってきてほしいんだけど…いやパシリとかでなくて、あたし1人じゃどうせ重くて持ってこれなくて亮のこと呼ぶ結果になるでしょ!だから「分かったから1人で喋るなよ」いいの?やったあ!でね、条約ちゃん?だっけ、と代わってほしいの、はい代わって!」
「はあ?や「あ、条約です。こんばんは!」


マシンガントークが丸聞こえだったので、あたしの名前が呼ばれて亮くんが素早く動く(つまり逃げる)前に、携帯を奪ってついでに会話も奪った。うまいこと言った気になってすみません。


「こんばんは!今度いつ帰ってくるの?あたし会いたいんだけど!あ、別にシメるとかじゃなくて、一緒に亮の悪口大会したくて!」
「次はお正月かと思います」
「正月?!遠い未来だね!でも待ってる!ていうかアドレス知りたい!メールの方だよ?住所じゃないよ?亮に教えてもらっといてメールして!あ、お湯沸いたから切るね、亮とかその他によろしく!」



やっぱり一方的に喋って切られた。あたしは、携帯を亮くんに呆然としながら渡した。写真からは思いも寄らないマシンガントーク。氷帝メンツは慣れっこなのか、何事もなかったように焼きそばを貪り食っている。光はいつの間にかあたしの隣でわたあめを食べている。ベタベタするとか言いながらあたしのタオルで勝手に拭くんじゃないよ、このピアス野郎が。


「条約と似てますね」
「へ?」
「べらべらべらべらうっさいとことか、ちょっと声高いとことか」
「あんたけなしたいならあたしのいないとこでしなさいよ」



彼女をけさなれてる亮くんは、ふっと笑って愛しそうにネックレスに触れた。

「確かに似てるかも。まあ好みのタイプがお前と同じってのがいやだけど」
「そっくりそのまま返しますわ」



あたしは思わずけらけら笑ってしまって、跡部先輩さながらのチョップを2人から頂いた。因みに光の方が痛かったんだけど、あたし愛の鞭だって信じてる。鞭というかもはや無知だよね。光のチョップとかけまして、愛のムチと説きます。その心は、どちらも…みたいな。最近流行りらしいがあたしには無理でした。どちらも、のあとわかんないもの。みつを。















「条約、」

花火はさすが跡部じゃねえの、ってくらい綺麗で、空に上がったときはみんなうををー!ってなってた。

ただ、それは知らない人たち。


「ん、…」

光とあたしは早々に抜け出して、合宿所のあたしの部屋のベランダで見てた。花火中に鳴る2つの携帯電話は激しく放置プレイ。
みんなが帰ってきて、あたしたちを心配しただとか言いながらにやにやしちゃって、厭らしいったらない。でも滝先輩と岳人にはこっぴどく怒られた。何であたしばっかり…。



「条約、一緒に風呂入ろか」
「、は…?」
「財前んんんん!」






したり顔で岳人をかわしながら、あたしの彼氏はあたしの部屋のベランダで、あたしのベースを掻き鳴らしておりましたとさ。(お風呂は一緒に入ってないよ!)(あー、悲しいわあ)



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