初夏みたいな日照りに目を細める。多分俺はすごくすごく、ものすごーく怖い目つきでニスタットを見つめていたのだろう。初めにキョトンとして、徐々に眉間に皺を寄せ、口パクでうっざ、と言った(と思う)。そんな嫌な気持ちにさせる気などさらさらなかったが、俺がニスタットのうざいという良くはなくとも1つの感情を支配しているなら、まあいいかという気持ちにもなる。 「跡部って歪んでるよなー」 そう言われる度に 「っは、今更」 と答えるけど、実は結構傷付いてたりする。 仕方ないんだ、俺にはこう思う他、あいつを思う術がない。 もちろん時々懐疑的になる。でもすぐに正当化して、自分を守る。 ガキなのも分かってるんだ、直せたら、大人になれたら苦労しない。大人になれたら、ニスタットは俺を好きになってくれるのか?いや、ない。なぜなら――、 「ちょっと、亮!あたしの話聞いてるの?」 「うっせえなー、わあったよ」 俺より(主観的意見だが)子供っぽい宍戸を選んだんだから、大人になろうがならまいが関係ないんだ。そう分かっているのに、俺は視線を逸らせない。真っ黒な髪が日の光でキラキラ茶色に変わっている。 「そろそろ見んのやめろよ」 「、向日」 「自分の首締めてんなって」 ガキ代表の向日が俺の気持ちを知ってるのは、別に彼が実は大人だったとかいうサプライズではなく、向日もニスタットが好きで、ニスタットへの視線には敏感だっただけだ。 「あいつ、幸せだからいんだよ」 奪わないのか、と。 男が廃るぞ、と。 そう言ったとき、向日は至極淋しそうな顔で言葉を紡いだ。 「そんなことした方が廃るじゃん、わかってねえなあ」 そしてまた、無理矢理笑って言った。 だから俺もそうだな、と言わずにはいられなくて、でも俺も向日も宍戸があいつを泣かせたら、確実に掻っ攫う気でいた。と思う。 「あんたら、何サボってるわけ」 「彼氏との言い合いのいらいらを俺らに当てないでくださーい」 「はあ?!当ててないし!早くコート入りなさいよ!」 かわいいんだ。 ニスタットだからかわいいんだ。 向日は随分かわすのがうまくなった。自分をごまかしている俺より、ひょっとしたら向日は大人なのかもしれない。そう思うと悔しさが拭えない。 「跡部、あんた何かあったの?」 「あ?」 「ぼーっとしちゃってらしくない」 俺らしさって何なんだ。 どれが俺なんだ。 お前の中の俺は、どれ、なんだ。なんて、 「別に何もねえよ」 聞けるわけがない。 ニスタットを困らせたら向日に殺される。でも困らせる要因が俺1人なら俺は特別でいれるのか? 「おい」 「何」 こんなふうに思うなんて俺も大概ガキだな、と思う。 「、いや。日射病になんなよ」 「まだ5月なんだからなんないって」 大人になっても手に入らないんだから、ガキだな、と感慨深くなる必要はないのに。 「普通ならそうだな」 「ほんとうっざ」 俺はこのままでいい、だからせめて、君が幸せでいてくれれば 跡部夢というか何というか、とりあえず、中2病のような跡部くんを書きたかった。書いた結果がこれかよっていうww |