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鮮やかな色彩は、あたしには不必要なのかもしれない。














彼の兄のおかげか否か、レギュラス・ブラックはあまり目立つことのない存在で、けれどあたしにとってはとてつもなく大きな存在だった。
さらりととした黒髪に、美形だとしか言いようがない顔、そしてその顔付きはいつも何かを思案しているようで、思わず引き付けられる何かを持っていた。
と思っているあたしのようなマイナーなファンはちらほらしかおらず、彼の兄の人気ぶりに比べたら、いないようなものだった。








「レギュラス」
「はい、…ああ、ニスタット。どうかしたのか?」


この声も彼の兄よりずっと甘く聞こえるし、ゆったりと胸に響く。


「んー、セブルス先輩が呼んでたよ」
「へえ、珍しいな」
「朝ごはん一緒にどうかって」
「それお前を誘ったんじゃないか?ていうか今もう夕方だし伝えるの遅すぎるだろ」



彼は成績もよくて、クィディッチももちろんうまい。見た目も先に述べた通り素敵。才色兼備、だと思う。因みに彼の兄は少し目立ちたがりが酷くて論外。
そんな全てに溢れる人でも気取ることなく、あたしのようなこれといって取り柄のない一女子に構ってくれる。さっきの話だってもちろん嘘なのに、誰が聞いたって分かるのに、それにも付き合ってくれる。


「ニスタット」
「んー?」
「、なんでもない」




ふと横を見ると、少し唇を噛み締め、目を伏せる彼がいた。

「何、はっきり言って?」
「…名前、で」











名前で呼んでほしいんだけど。

だってスネイプ先輩のことは名前なのに、何で付き合ってる僕は名字なんだよ、納得いくと思うか?答えはノーだ、つまり行かない。だから名前で呼んで。決定事項だからな。
彼はよく噛まずに言えたね、と拍手したくなるほど早口で台詞を言って、素早く自室へ戻っていった。

そう、彼が言った通り、あたしは彼とお付き合いをしている。あたしは結構いい階級なので、お母様も何も口出ししてこないらしい。駆り出されるパーティーや下らない社交辞令にも飽き飽きしていたけど、身分的な面で彼の隣を家族の前でも堂々と歩けることに関しては、我が家に生まれてよかったと思わずにはいられない。
あんなレギュラスを他の誰にも見せたくない反面で、みんなに彼はこんなに魅力的だと知らしめたい気持ちもある。
多分彼は後者のような行動をあたしが取っても、溜息1つで受け入れてしまうだろう。だが、あたしも彼が好きだから、彼が嫌がることはしたくないし、あたしだけの特権というわけでニヤニヤしながら、明日彼の名前を呼ぶことだけ考えることにしようかな。

鮮やかな色彩より、彼が必要なんです。

(ていうか、レギュラスだってあたしを名前で呼んでくれないじゃないの)







短いっすねー
このあとの話は万が一ご要望があれば書きます。
セブルス様もちょっと出そうかしら。
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