呪 | ナノ

「           ーーー」

聞きたくない。聞かなければ。
矛盾する二つがぶつかって、私は錆び切ったブリキの人形のように首を持ち上げた。
腕を拘束され、仄暗い蝋燭の光に照らされた人間が、夢見るように言葉を紡ぐ。

「... 」

私は今なんて返したのだろう。それすらもあいまいになるほど意識が拒絶をしていた。残暑が肌に纏わり付き、ツクツクボウシの鳴き声ががなりたてるように聞こえる日だった。じとりと汗をかいた手で、“ ”に向かって手を伸ばしてーーー。