▼ プロローグ
絶対に恋をしてはダメよ。
恋をすることは、私たちにとって禁忌に近いの。
恋は私たちにとって、破滅しかないの。
毒でしかないのよ。
だから・・・絶対に恋をしてはダメ。
誰も好きになっちゃだめなの。
‘わたしたち’は絶対に恋をしてはダメなのよ。
何度も何度も母親に言われた言葉。
母親は消えるその瞬間まで、俺に言い聞かせていた。
けして、恋をしてはいけない…と。
絶対に恋をしてはいけない。
恋は破滅をよぶものだから。
だから、インキュバスは恋をしてはいけない。
心は奪っても、けして奪われてはならない。
誰かに心奪われてはいけない。
けして、愛してはいけない。
身体はどんなに相手に抱かれても、けして心までは許してはいけない。
そう、けして破ってはいけない、オキテのように言われ続けていた。
けして、破ってはならぬ・・・と。
もし破れば、まっているのは身の破滅だと。
インキュバスにとって、恋は禁忌だ…と。
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