7周年/狂気的独占欲 | ナノ

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ジェイド様。
今まで余裕ぶっこいて話を聞いていたのに、その単語を耳にしただけで、どくり…と胸がイヤな音をたてた。


「うんうん。ミケル様もかっこよかったけど、やっぱりジェイド様の前ではお話になりませんよね…」
「ほんとほんと。あんなに魔力もあって、家柄もよくておきれいな顔しているのに、気さくでお優しくて…」

親衛隊たちの目がどんどんハートになっていく。

「テオス様が言っていたんだけど、ここを卒業したらジェイド様はすぐにテオス様のおそばに仕えるらしいよ…」
「え…?すぐに…?そんなことってあるの?」
「普通ならありえないんだけど、ほら、ジェイド様だから…」
「ああ。ジェイド様ならねぇ…」
「なにせ、5歳で魔力覚醒し、魔力も天使の50倍はある超天才だもの…。幼い頃からテオス様に目をつけられていたらしいよ…」

うっとりという親衛隊。ジェネはそれを聞いているだけであったが、先ほどよりも機嫌がよくなっている。きっと大好きなジェイド様の話題だからだろう。

ジェイド様はこの学園のみならず、この世界でちょっとした有名人であった。
その並々ならぬ魔力量と、容姿によって。

魔力覚醒は通常8歳すぎてからが一般的である。しかしジェイド様は3年も早くなんと5歳で魔力覚醒したらしい。
15で学園に入って以来、誰よりも魔法の扱いに長けており、魔力量も尋常の量じゃないジェイド様。

天使のみならず、魔族たちからも一目おかれているらしい。

この学園にいるプライド高い子息様たちは、ジェイド様にお近づきになりたい…と思っているやつは多いだろう。

俺をここに入学させたあの男も、こんなハイソな学園に行きたくないといった俺にこう言っていた。

『ま、ジル。そうむくれるなって。なんでも、その学園、お前好みの超イケメンがいるらしいぜ。
しかも魔力もすっげぇ高いの。
そいつを虜にすりゃあ、魔力も取り放題。生気がないない…って男漁りしなくてもいいんだぜ?』
って。

その言葉を信じて嫌々ながらもイケメンに期待して入学してきた俺だったが…入学1日目にしてそれは後悔に変わった。

その噂のイケメン…ジェイド・ル・ドイマン
この学園では誰もが知っている、完全無欠の天使様。
その人物は、幼い頃、俺を天使と疑っていなかったやつだった。

『ジル…好きだよ…。』

そういっていたのに…。


『ジル…ねぇ、裏切り者な君なのに僕はまだ君を好きで仕方ないんだ。

だから、僕がこれ以上、おかしくなる前に…、君を殺してしまおうか…。そうしたら、君はもう誰にもその綺麗な肌を触らせないだろう?
ずっと僕だけのものだろう…?だから…、僕がこれ以上君を壊してしまう前に…殺してしまおうか…』

俺を殺しかけた天使様。



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