窓際の恋 | ナノ



「あ・・・いや・・だぁ・・・」

艶かしい声が部屋に響く。
小暮の普段は高くもなく低くもない温和そうな声が、今は情欲に濡れ、甘い喘ぎ声となって口から零れ落ちる。

既に今夜だけで何回イカされただろう。
修司は何度も小暮の身体を絶頂に導き、己も小暮の中に何度も精液を吐き出していた。
シーツは二人の精液まみれでドロドロに汚れてしまっている。
小暮の太ももは、どちらともない精液で濡れていた。
アナルから零れ落ちる精液が、白いシーツを汚していく。


「りゅうじさん」
ちゅ、とリップ音を立てながら、唇を吸われた。上唇を歯で軽く噛まれ、啄まれる。
そのまま何度も何度も修司は小暮にキスを繰り返す。

どうやら、修司はキスが好きらしい。
出会ってから何度もキスされているし、情事の間も絶えず、どこかしらにキスをしていた。


現在小暮の身体は、修司がつけた赤いキスマークが無数に散らされている。
マーキングのようにつけられたのだ。所有の印を。

もし、また深見にこの身体を見られたら・・・、裸の自分を見られる筈もないのに、小暮はそのときを思い戦々恐々としてしまう。

首筋につけたキスマークの時だって、あんなに軽蔑した目で見られたのだ。
もし、この体を見られれば・・・軽蔑だけではすまないかもしれない。
深見によく思われていない自分が、今更だけど。


「キスマーク・・・こんなに・・・」
「ダメだった?なに、怒る男でもいるんですか・・・?」

不機嫌にいう修司。
怒りたいのはこっちのほうだ・・・、と小暮は顔を背ける。


「いたとしても、俺は知りませんけど・・・むしろ、そいつからりゅうじさんの心を奪いたいくらいですよ」
「修司くんって・・・」
「はい・・・?」
「強引」
「りゅうじさんだけですよ」

腰を掴まれ、更に中のペニスを奥へと入れられる。
小暮は、あ・・・、と色っぽい吐息を零し、修司の腕を掴む。

「また・・・?」
「・・・また、です・・・」
「・・・僕は・・・、年を考えて・・・」
「またまたぁ・・・」

途絶えながら零す小暮にクスクス笑う修司がにくい。
昨夜からずっと小暮の中から抜かずにいるペニス。
よくもまぁ、こんなに性欲があるのか・・・。
呆れる反面、尊敬してしまう。
付き合っているこっちの身にもなってほしい。
明日、まともに立てるんだろうか。

「それにりゅうじさんだって・・・、」
「ん・・・ぁ、」
「喜んでいるじゃないですか」

前立腺をペニスで押し上げられ、甘い喘ぎ声をあげさせられる。
全て出し尽くしたと思ったのに、数回前立腺を擦られればペニスはしっとりと濡れ始めていた。


「っ〜」
「それにね、言ったでしょ。お仕置きだって」
「お仕置きって・・・。僕はお仕置きされる理由なんて、」
「ないって?俺、待ってたんですよ。

りゅうじさんが来るのを、ずっと・・・あのバーで。また会うって、約束したから・・」
「でも・・・、」
「俺はまた会えるって・・・ずっと、待ってたんです。りゅうじさんを」

修司の拗ねるような口調に、小暮はいたたまれなくなって俯く。
約束なんて、ただの口約束だけだった。簡単に反故されるものだったのに。


「だって、僕は・・・」
「約束、してたじゃないですか。もう一度会いましょうって」
「それは・・・」
「俺、寂しかったんですよ。絶対もう一度会いたかったのに・・・。会えなくて。会いたいのに会えなくて・・・」
「それは・・・」
「俺は、もう一度会いたかったのに」

子供のようにそう言い募る修司に、小暮はぐっと詰まってしまった。
こんなことなら、あの約束に頷かないほうがよかったかもしれない。


「僕は、あの日だけだと・・・」
「俺はそんなつもりじゃありませんでしたよ。貴方を抱きたかった。ずっとこうして・・・」
「あっ・・・、」

腰を引き寄せられ、小暮の中にはいっていたペニスを大きく動かされた。
ぐるり、と回転するようなペニスの動きに、小暮の中がギュッと締まる。

修司のものに簡単に反応する自分が恥ずかしくて、小暮は羞恥から顔を赤らめた。


「・・・りゅうじさんも、慣れてきたじゃないですか。ほら・・・」
「あ・・・ん・・・ぅ・・・」
「なにが、ダメなんですか?そういえば、さっき言ってましたね。俺のセックスが嫌だって。なにが、嫌なんです?ここは喜んでいるのに・・・、」
「あう・・・う」

ここ、といって、ペニスの先を撫でられた。
ベチャベチャと、修司の手を小暮の欲望が濡らしていく。
白く染まっていく、修司のて。

「どこが、嫌なんです」
「それ・・・は・・・、」

目をうつろにさまよわせる小暮。
ふるふると小刻みに体を震わせながら、修司の手に可愛らしく反応している。
濡れた音を聞きながら、小暮は瞳に涙を浮かべた。


「あ・・・、きもちい・・・から・・・ぁ・・・」
「りゅうじさん・・・?」
「きもちい・・・から・・・やめてほしいんだ・・・、こんな・・・のは・・・いやなんだ・・・」

泣きじゃくりながら、やめて、と続ける小暮。ヒクヒクと泣いている小暮は40近くの男だ。40ちかい大人が泣くなんて気持ち悪い・・・、
しかし、今泣いている小暮は修司にはとても可愛く見えた。
保護してあげたくなるような・・・、そんな儚さがあった。
頼りなげなその視線が、泣きじゃくるその顔が、修司の胸を疼かせる。
修司は小暮の頭をなで、「りゅうじさんは・・・」と呟いた。


「この間もそう言ってましたね。酷くしてって。もしかして、マゾなんですか・・・、」
「マゾ・・・、」
「今だって、嫌だ嫌だって言いながら俺の手を喜んでる・・・。嫌なのがいいの?じゃぁ、もっと痛いことしたいの?」
「それは・・・、」
「・・・まぁ、いいです。マゾでも淫乱でも・・・俺は°M方が必要なんです」

小暮の手をとり、手の甲に唇を寄せる修司。

「しゅうじ・・・くん・・・」
「覚えていて・・・、俺には貴方が必要なんです・・・。貴方が・・・、そう、多分愛おしいから・・・」
「僕が・・・」
「貴方がいないなら、俺は、貴方を探すだけです。貴方を俺は捕まえるだけ・・・」

そっと、顔中にキスを降らされる。
小暮は目を瞑り、大人しくそのくちづけを受けた。





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