窓際の恋 | ナノ



「あの…ん…、あ…の…、」

何か口にしかけた小暮の言葉は、男の口へと消える。
やんわりとした、ついばむほどの、キス。

男は、ちゅ、ちゅ、と何度も頬に唇を落とす。
初めはただ翻弄されるだけだった小暮も、次第に、おずおずと舌を絡める。
それに気をよくした男は、より、翻弄するように舌の動きを激しくした。


「ん…ふっ…、」
口端からこぼれ落ちる唾液。二人を紡ぐ銀糸


ついには、身体の力が抜けてしまった小暮はそのままくたりと倒れこむ。
倒れこむ小暮の腰を抱いて、男は、

「御馳走様」
と囁き、頬に口づけた。

「あの…、」
「顔、真っ赤ですね…。」
「君が…キスするから…、」
「りゅうじさんが可愛いのがいけないんですよ…?」

こんな、いくつも離れているだろう親父に可愛いだなんて…。
小暮は何も言えなくなり、顔を伏せる。

そんな小暮をまたベッドにやり、男は、「もう1ラウンド、しませんか?」と、妖し気な声色で誘った。


今日は土曜日。
生憎、現在独り者の小暮には、とくに一緒にいたいと思える人も、休日を取っておくべき人間もいない。

なので、その甘い誘われるまま、頷けば、男はまた、優しく小暮の身体を愛撫し、萎えそうにない己の欲望を、小暮の中へと挿れた。


この2日、会話よりも長い時間セックスし続け、小暮の精液という精液が空になるまで泣かせられた。

こんなに愛されたのは、初めてなんじゃないだろうか。
自分は、男で…、蔑にされるべき存在なのに。
こんなの、違うのに…。

男の手にどろどろになりながらも、小暮の心はどこか晴れなかった。
心にしこりのような…固いものが、小暮の胸を痛めた。





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