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「俺の知り合い・・・」 「そう、わからない?」
挑むような悪びれた笑みで穂積が尋ねる。 俺の知り合いのせいで、先輩は、こんな風に抱かれた?
先輩に、何があった?
穂積と先輩の、写真は・・・。 穂積の口角が弓なりにあがり、ふっと息を零す。 視線に、一辺の影が落ちた。
「これはね、孝介≠ノ言われてやったんだ。それからね、先輩を傷つけるようにすべてを計画したのはね、お前の親友である孝介と、お前の恋人だった村上だよ」 「嘘、」 「嘘?じゃあ、聞いてみたらいい。孝介に。僕の言葉が嘘だと思うのも、お前次第だ。もう僕は疲れた。変わってしまった孝介と一緒にいるのも、騙されているお前を見ているのも、なにもかも」
穂積は声を上ずらせながら 「もう、なにもかも、疲れてしまったんだ」
ポツリと、呟いた
「僕は、お前みたいなやつ、反吐が出る」
穂積は、混乱する俺を残し、部屋から立ち去った。 もう用はない・・、とでも、いうかのように。。
なにか、隠してる。
先輩じゃなかった。 俺が、加害者…。
もしかして、俺が…、先輩を、追い詰めていた?
俺のせいで、先輩は・・・。 先輩は、どうしたんだ。 何故、穂積に抱かれた?
何があって、孝介と村上は先輩を傷つけようとした・・・?
身体がガタガタと震える。 俺は、間違えていたんだろうか。 信じるべきものを、間違えてしまったんだろうか。
「せんぱい、せんぱい、せんぱい、先輩」
ズルズルと、壁を背にして、しゃがみこむ。今まで信じてきたものがガラガラと崩れ去る。
俺は、まるで壊れたように先輩を呼んだ。 先輩の名前を呼ぶことしか、できなかった。
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