ただ、貴方の幻想を追う。 | ナノ

[ 23/23 ]

「俺の知り合い・・・」
「そう、わからない?」

挑むような悪びれた笑みで穂積が尋ねる。
俺の知り合いのせいで、先輩は、こんな風に抱かれた?

先輩に、何があった?

穂積と先輩の、写真は・・・。
穂積の口角が弓なりにあがり、ふっと息を零す。
視線に、一辺の影が落ちた。


「これはね、孝介≠ノ言われてやったんだ。それからね、先輩を傷つけるようにすべてを計画したのはね、お前の親友である孝介と、お前の恋人だった村上だよ」
「嘘、」
「嘘?じゃあ、聞いてみたらいい。孝介に。僕の言葉が嘘だと思うのも、お前次第だ。もう僕は疲れた。変わってしまった孝介と一緒にいるのも、騙されているお前を見ているのも、なにもかも」

穂積は声を上ずらせながら
「もう、なにもかも、疲れてしまったんだ」

ポツリと、呟いた

「僕は、お前みたいなやつ、反吐が出る」

穂積は、混乱する俺を残し、部屋から立ち去った。
もう用はない・・、とでも、いうかのように。。


なにか、隠してる。

先輩じゃなかった。
俺が、加害者…。

もしかして、俺が…、先輩を、追い詰めていた?

俺のせいで、先輩は・・・。
先輩は、どうしたんだ。
何故、穂積に抱かれた?

何があって、孝介と村上は先輩を傷つけようとした・・・?

身体がガタガタと震える。
俺は、間違えていたんだろうか。
信じるべきものを、間違えてしまったんだろうか。


「せんぱい、せんぱい、せんぱい、先輩」

ズルズルと、壁を背にして、しゃがみこむ。今まで信じてきたものがガラガラと崩れ去る。

俺は、まるで壊れたように先輩を呼んだ。
先輩の名前を呼ぶことしか、できなかった。





[*prev] [next#]





×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -