ただ、貴方の幻想を追う。 | ナノ

相談 [ 14/23 ]


どうにもならなくなった俺は、親友である穂積と孝介に救いを求めた。
高校に入ってから、穂積と孝介とは少し疎遠だったのに、いざ相談となるとこの二人以外思いつかなかった。

高校に入ってあまり遊びに行きもせず、交友がなくなったのに虫が良すぎるかもしれないが、どうしようもなかったのだ。それくらい切羽詰っていた。
それに、二人は付き合っているし先輩とのことで話している。
俺と先輩のことを話しても、差別せずに聞いてくれると思った。


「別れたほうがいいよ」
「え、」
「だから、ごめん。俺からは別れろしか言えない。あの先輩は、お前には合わないんだよ」

何かいいアドバイスをしてくれると思っていた俺に、孝介は苦々しい顔をしながらそう告げた。

「先輩はさ、お前にはちょっと…」
「どうして・・・、」
「俺さ、見ちゃったんだよね。お前が付き合ってるって言っていた先輩がさ、他の男とラブホにいってたところ」
「は?」

寝耳に水の出来事に、口がロの字に開く。
そんな俺に構わずに、孝介は言葉を続けた。


「腕からませてさ。仲良さげだったよ」
「なにを・・・」
「それだけじゃないよ。学校で売春してんの。俺の友達も誘われたし、俺も現場見たよ」

孝介は、何をいっているんだろう。

「嘘…だろ、」
「ほんと。まぁ、お前も先輩信じたいだろうけどさー」
「嘘だ」

だって、あの先輩がそんなことするわけない。
売春だとか、そんな・・・。
清純そうなあの人がそんなことするわけないだろう。

あの、先輩が。


「お前は、親友である俺と先輩、どっち信じるの?」
「え」
「だから、俺の言葉と先輩、どっちを信じるのさ」

辟易としたように孝介が投げかける。
どっちを信じる?
先輩と、孝介を?

それは…。

答えが見つからずに、助けを求めるように、俺の部屋の隅にいた穂積を見つめる。
穂積は何も言わず、しかめっ面をしていた。

穂積も、反対なんだろうか。
付き合い始めの頃、そういえば穂積は俺たちの交際に反対していた。
付き合えば、絶対後悔するとも言っていた。


「俺は、先輩を、信じるよ・・・」
「はっ、熱いねぇ〜」

馬鹿にしたように孝介が笑う。
それでも、俺は先輩を信じていた。
信じていたかった。

他でもない、俺が好きになった先輩だから。
信じていた。

後日、孝介から先輩が誰かに抱かれた写真を見せられるまでは。


孝介が持ってきた写真は多数存在しており、相手は一人ではなかった。
写真は裸で衣服を身につけていないものがほとんど。

18禁のモザイクがかかってしまいそうなものもある。

先輩は、俺以外の誰かに抱かれていた。
俺に何も言わずに。

俺のことを、嘲笑ってた・・・?
先輩が好きな俺のことを見て、笑っていたの?
どんなつもりで、俺と付き合っていた・・・?




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