短編 | ナノ


「こんにちはー」
「うんうん、こんにちはー」

俺をとくに気に入ってくれている、この族の副総長・三井さんはまるで犬にするかのように俺の頭をがしがしと撫でてくれた。

ちょっと、痛いです、三井さん。

俺、ハゲちゃいそうです…


三井さんは、とっぽい感じのお兄さん。

わりとチャラ男に見えるんだけど、こう見えて、かなり頭がよく、チームの参謀役もかねているとか…。


そんな俺たちを天龍寺はどこか冷めた目で見つめる。


「あのさぁ…お前さ…」
「は、はいっ」

や、やった。
なんでか知らないけど、天龍寺から声をかけてくれた!
どきどきと高鳴る胸をそのままに、俺はスライディングでもする勢いで、天龍寺に近寄る。


「な、なに、天龍寺…はぁはぁ…」
「俺たちは、族だ。わかるか?」
「は、はぁ…」


族って。俺も族だし。しかも族長ですけど…。


「お前みたいなもんが出入りすると、指揮にかかわる。気が散る。うせろ。へらへらした面しやがって。俺たちの族が舐められたらどうするんだ。お前みたいなのがいるだなんて知られたら…」
「え…と、俺、見た目によりも喧嘩強いですよ」

力こぶを見せながらにっこり笑う。
まぁ、俺、結構華奢だし小さいけど…。

こう見えて総長だから、ほどほどに喧嘩強いんだけどな。

舐められたら、そのぶん返り討ちにしちゃうんだけど…。


「ああ?ちびが嘘ついてんじゃねェ。さっさとここからうせろ。好きだなんてきもいんだよ、はっきりいって」

き、きもい…
きもい…。

天龍寺くん、会心の一撃!
俺、急所にあたる。
うう、今の言葉ぐさっときたよー。

でも、でも、この気持ちは止められないよぉぉ。


天龍寺の顔が見られなくなるなんて嫌だ!
ここにこれなくなるなんて嫌だよぉぉぉ

だって好きなんだもん。
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