短編 | ナノ

「ジャッカル…っダメだよ。師匠、止めてください…、ぼく…」

ウルウルとリクゼを見つめるレノに、

「う〜ん。でも、一番手っ取り早いのが抱かれることだしねぇ・・・」

リクゼの無常の返事が続く。


「…そんな…、」
「まぁ、諦めなさい。レノ。大丈夫、ジャッカルなら大丈夫だよ」

なにを持って大丈夫だというのだろうか。
レノは、痛む腹を抱えながら縋るようにリクゼを見つめる。

「ぼ、ぼく…」
「…諦めろ、おとなしく、俺に抱かれろ…」

ジャッカルは、シャツを脱いで、レノに乗りかかる。
レノは抵抗するも、華奢な身体では抵抗らしい抵抗もできない。


「…まぁ、死滅しちゃえば、OKだし。あ、そうそう、ジャッカル」
「はい」
「君、獣人をだいたことは?あ、人でもいいよ」
「何人かは…、全てメスですが」

ジャッカルくらいの獣人だったら、そりゃ、もう経験はしているだろう。
無口だが男前のその顔は、たっているだけで絵になる。
獣人としても、ジャッカルは非常に優れており、よく街に降り立ち依頼をこなしているから、その時にでも誘われれば抱いているのだろう。


「そっかぁ〜、じゃぁ大丈夫かなぁ・・・。」

言いながらベッドに乗り上げ、レノの顔を覗く。


「ししょ・・・」
「レノは、初めてだよね…?」
「はじめて・・・?」

舌っ足らずな子供のような口調で聞き返すレノ。
それにリクゼは苦笑し、

「誰かに抱かれるのだよ」
と返す。

「ぼ、ぼく…」
「わかってるわかってる。お前はウブウブだものね。もし、誰か得体のしれない馬にでも抱かれていたら僕もジャッカルも許しはしないよ」
「…ジャッカルも…?」
「師匠」

リクゼの言葉をジャッカルが止める。

「言っちゃダメだった?」

リクゼは悪戯っ子のような顔をし、肩をすくめた。


「まぁ、溜めすぎも良くないと思うけどねぇ。僕は…」
「…師匠が考えていることなど、俺は全く考えてないです。レノにそんな…」
「君は強情だねぇ…」


頭上で行われている会話に、レノの頭はクエスチョンマークが飛ぶ。
あの…と声をかけ、突如襲われる痛みにうめいた。


「…ううん、あまりのんびりしすぎてもアレだし、早くやっちゃおうか。ジャッカル、男同士が使う場所はわかるよね」
「…わかってます…」
「男はだけないとか、弟弟子はだけませんとか、聞かないからね」
「わかってます」

レノの、剥き出しにされた足に手を這わせる。
ビク、と大きくレノの身体が跳ねた。


「や…、」
「や、じゃないよ。レノ。大丈夫。僕もちゃんとサポートするし。怖いことはないからね」
「し、ししょ…」

縋るようにリクゼを見つめるレノに、ジャッカルはレノを見つめる瞳を鋭くする。
何も言わずとも…、その瞳は怒気が孕んでいた。


「し…」

未だにリクゼを呼ぶレノの言葉を無理やりジャッカルは自分の口唇で塞ぐ。
柔らかな唇は、今までキスした中のどのものよりも甘い。

ジャッカルは、ぎゅっと目を瞑り、口を閉じるレノに何度もくちづけを降らせた。


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