愛の確認
拘束プレイから3日。絶花は私の家に連日通い続けてる。あの日、射精した後の絶花の体をふいてやって、服を着替えさせてやるとなんだかとても絶妙な顔(照れてるのか怒ってるのかはたまた笑っているのか…よく分からない顔)で「ありがとう」って言われた。私は絶花の世話をしてやっている間、今回の実験の結果(と、同時に次回の実験についての新しい課題)について思案をめぐらさせていたので不意打ちなそのセリフに素っ頓狂な声を上げてしまった。何に対してのお礼なのかいまいち分からず、玄関先でもじもじしている絶花に「射精させてくれてありがとうってこと?」と聞いてしまった。

「あ、あんなの…!恋人同士がするもんじゃねぇよッ!!」
「えー、でも合意の上じゃなきゃあ犯罪だよ?」

口を尖らせて反論すると絶花は顔を赤くして「二度とするなッ!!」って怒って出て行ってしまった。二度とするなっていうのはもう1回お願いします!のフリとしてとればいいのかな?


「ねータッチー」
「その呼び方やめろ」
「紅茶飲みたーい」
「…アッサム?」
「ダージリン!!」

リビングで爪の手入れをしてる私の横で絶花はなんかの専門書(難しそう過ぎて書名を読む気にもなれない)をもくもくと読みふけってた。なーにがそんなに楽しいのか…。というか、私の部屋に来てもずっとこんな調子で本を読んでるくらいなら、自分の部屋で読めばいいのに…。そうすればこうやって私にあごで使われなくて済む…。って思っても言わないけどさ…。だって、やっぱり1人より2人だ。しかも絶花はだまっていれば大変イケメンなので目の保養になる。あと、田舎から上京して着た私に、とてもじゃないけど友達だなんて呼べる存在を持たない。もともと人付き合いは苦手な方だ。顔を合わせれば口げんか、それが発展すれば拳をまじえる。だから友達…っていうか、ケータイに登録されてる人間?も地元の人間を抜きにすればバイト先の似非メイドが3、4人。業務上の記録に残っているだけだ。最近では『タッチー』が登録されたけど、一度も使ったことが無い。だって、ずっと家に居るんだもん。使い道が無い。

私に背を向けてキッチンに立つ絶花は背が高く、なんというか…いちいち身のこなしが優雅だ。袖まくりされた白い腕は男らしく筋張っていてたくましく見えるが、その先の細い手には私のどピンクのマグ。実に不釣合いだ。はいてるスリッパだって、私のに揃えて購入させたもこもこ素材もふわふわスリッパ(青)。似合わない。でもそれが笑える。私はそれのそろいのふわふわスリッパ(ピンク)を履いた足先をこしょこしょ動かす。紅茶のいい匂いが部屋に漂いだす。

「ねぇタッチー」
「その呼び方はやめろ」
「私に扱き使われて嫌じゃないの?」
「…」

私のマグと絶花のマグ(パンダの四十八手のやつ)を両手に絶花がリビングに戻ってくると、怒った顔で私を睨んだ。おおう、なに?タッチーってそんなに気に入らないの?私は結構気に入っているんだけどな…

「お、お母さんが…」
「お母さん?!」
「…台所を任せられるのは、信頼されている証拠だ。と…」
「ほ…ほーう」
「女性にとって自宅の台所って言うのは、いわば自分の領域…認められた人間にしか触らせないとか…」
「…私がタッチーのことを信頼して、認めていることの証になるってこと?」

八重歯を出してちょっと恥ずかしそうに、むずがゆそうにわざとしかめっ面を作ってちいさく頷く絶花。なによ、可愛いじゃない。

私の横にまた座りなおした絶花は本を読み出すことは無く、私のことをじっと見つめてくる。私はマグに口をつけてにおいを楽しんでいたのに、その熱すぎる視線に阻止された。

「なによ?襲って欲しいの?」

ば、ばばばッ!!ばかやろう!!女がそんな事言うんじゃねぇよッ!!顔を真っ赤にして手をぶんぶん振り回しながら怒鳴る絶花から体を少し背けて、その手がマグにぶち当たらないようにした。なによコイツ?怪訝な顔で絶花を睨みつけていると、そんな私に気付いたのか絶花はこほんとわざとらしいせきをして座り直した。私も体制を戻してまたマグに口をつける。絶花はうじうじと「あー」とか「うー」って呻ってから頭をぼりぼり掻いて、もう一度私のほうに向き直った。正座をして、ぐっと顔を私に近づける。びっくりしてマグを落としそうになった。

「なによ?」
「俺がお母さんって言ってもなんとも思わないのか?」
「はぁ?」

ふざけてるのかなって思ったけど、鋭い目は私の真意を掴もうと必死に私の眼球を覗き込んできてた。真面目な絶花はかっこいい。すこしだけ胸がどきりとした。いい意味でね?乙女的な意味。

「俺がお母さんの話ししても、いやじゃないのか?」
「私だってお母さんの話し位するわよ?昔体操服にネーム札つけてもらおうと思って『お母さん、体操服に名前つけて』って言ったら『タロウ』って言ったわよ?笑えるでしょ?」

私のお母さんの鉄板ネタも通用しないくらい絶花は真剣で、まだじっと私のことを見つめてた。なんだかそろそろいい加減恥ずかしくなってきたので、とりあえずマグをテーブルにおいて絶花を押し倒してみた。

「で、何よ?私に『お母さん』が禁句だとでも思ってたわけ?」

絶花が着てるシャツの小さなボタンをプチプチ外しながら、ちょっと怒った調子で尋ねると押し倒されたくせに顔色1つ変えない(しかも脱がされてるのに動じない)絶花はすこしだけ頭をもたげて私を見た。

「今まで、女性に向かってお母さんの話をすると気味悪がられた…」
「あー、たいていの女の子マザコン嫌いだからね。あんた顔とのギャップ激しいし」
「だから…なまえにお母さんの話してから気が付いて…その、嫌われるんじゃないか…と思って…」
「はぁ?なにそれ?」

呆気にとられた私は手を動かすのを忘れて、絶花のおなかにまたがったまま上体を上げた。絶花は少し口元を押さえて恥ずかしそうにしてるけど、何が恥ずかしいんだコイツ?わけが分からん。わけが、わからんのだが…かわいいな…

「だって、べつに…お母さんでしか射精できないとかじゃないんでしょ?」
「あ!当たり前だッ!!それにお母さんはお母さんであって!!性的対象には成り得ん!!」
「じゃあいいじゃん」

さらけ出された白い胸の、少しだけ怪我はえた薄桃色のちくびをちうっと音を出して吸ってやると、絶花はぴくんと体を揺らした。…マザコンがコンプレックスだったんだ…案外可愛いところあるじゃん。でも私は基本そういう欠点?弱点?人間としての何かしらの欠落を愛しいと思えるタイプなので(たとえばゆがんだ性癖)全然問題なし。むしろそういう危ない設定はシュミゲ、エロゲには必須じゃない?っていうポジティブシンキン。ちゅうちゅう絶花のちくびを吸ってると「あっああっ…ひゃぅ…ん」って気持ちよさそうな絶花の声が聞こえる。いい声で喘ぐんだよなー

「私はタッチーが私のテクで喘いでくれる限り、タッチーがマザコンだろうとファザコンだろうと、はたまたショタコンだろうと嫌いになったりしないと思うな」

本心だった。1、かっこいい。2、私に惚れてる。3、性的にも奴隷としての労働を厭わない。結論。嫌いになる要素が無い。よだれでぬめるくちびるを少し舐めあげて、もう一度絶花のちくびにしゃぶりつこうとしたら、急に絶花の両手でほっぺをぐわっしゃーん!!ってプレスされた。

「んむにゃ?!」
「やっぱり好きだ!なまえ!!」

ぐいッ!!って顔を引っ張られた。くちびるにぐにんと当たったのはあったかい絶花のべろ。口を開けてべろを少し出したままの絶花にくちびるをべろりべろり舐められて、挙句の果ては口の中にまで入ってきてねろりねろり。気持ちがいい。絶花のやわらかいべろと絶花のよだれが私の口に侵入してきたけど、そんなことよりもプレスされたほっぺたが痛い!!我慢しきれなくて絶花の腕をぎゅうっと握ってみたけど効果なし。仕方ないので絶花の可愛いふたつのぴんっとたったちくびをぎゅううううっとつねってやった。

「?!…むっぱぁああ!!」

お母さん、お父さん。…あとついでに絶花のお母さん、お父さん。私達なんだかとっても相性がいいみたいです。事後報告になりますが、みょうじなまえこの歳にしてとうとうファーストキスを終えました。相手はちくびの弱いイケメンです。これからも仕送りお願いします。あと紅茶の葉っぱも。(マグの中身…冷めちゃってるな、こりゃあ)

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