笠松くんと人妻
※森山くんのお母さんを好きになっちゃった笠松くん。幸せじゃないし意味不明な文章なんで閲読ご注意です。

年上の女性を好きになるなんて事、珍しい事じゃないんだと思う。つけっぱなしのテレビから流れてくるしっちゃかめっちゃかなワイドショーなんかでは20も40も歳の離れた男女が結婚しただとか妊娠しただとかにわかに信じ難い話題が過激に取り上げられているわけだし。信じられないといえば中学1年(つまり13とか14歳)の男子が、小学6年(つまり11とか12歳)の妹を妊娠させたとか言う、現実を疑わざるを得ない、目を覆い耳を塞いでどこかに逃げて隠れてしまうたくなるような事件(あるいは事故)も起きている世の中で、自分が、年上の女性に恋をしたことなんて、特に問題も無いように思えてしまう…気もしない…。例えばそれが、自分の母親と1つとか2つしか歳の違わない女性だったとしても。…友達の、母親だったとしても…。いや、やっぱおかしいぞ。おかしい、よな…友達の母親ってことは、つまりそれって自分の母親であってもおかしくない世代の人間なわけだよ、ってかそうなんだよ実際。だからお前、自分の母親で興奮すんの勃つの抜けんの?とか聞かれればそりゃあもちろん無理だけど、部屋干しされた母親のベージュのパンツなんて見た時なんてなんかちょっと落ち込むくらいそういう気持ちは向かねぇんだけど、つまりそういうことだろ?そんなおばさんパンツ一枚で萎えちゃうような奴が、母親にはもちろん、そのくらい歳食った女の人にお前は何を思って好きだとか言ってんだよどの口が恋とか言っちゃってんの?ってことだけど、こないだリビングで畳まれたまま放置されてた母親の控えめ薄めのピンクのデカいパンツを脳内で森山んとこのおばさんに穿かせてみたら簡単に勃った、抜けた。おれはばかやろうだ…。

クラス写真の女子生徒さえ直視できない俺が、家族親戚以外の女性を、あんなガッツリ穴でもあける勢いで凝視したのはあれっきりだ。初めて森山の家に遊びに行った時だ。食い物買い込んで週末の練習試合の相手校のスカウティング用のDVDを持ってどっか気楽に出来るとこ無ェかって話になったら、森山がしれっと「母親いてもいいなら俺ン家が近いけど」とか言うから、上がりこむ事にした。なんだか「母親いてもいいなら」って言い草がなんとなく鼻に付いた。母親=恥ずかしいものって認識を感じさせる言い方だ。「母さん居るから今日うちにおいでよ!」ってまで母親ゴリ推しされてもそれは違ェけど、なんか気分が悪くて眉をひそめた。そういう俺を見て森山が、何を読みとったのか「邪魔はしないと思う、たぶん」と肩をすくめた。だから、そういうんじゃない。もっと母ちゃん大事にしろって言いたかったわけだが、俺も思春期の息子だから、そんな簡単に母親擁護側にまわる事は出来なかった。

森山の間の抜けた帰宅の挨拶に、帰ってきた「おかえいなさい」は、俺に向けられたものではないのに、まるで素肌に染み入るようにしっくり馴染んだ。特別美人じゃない。たぶん。豊満な体だとか、いい匂いがしただとか、フェロモンが〜ってのも、たぶん違う。それでも、柔らかい体のラインにしっとりと着こなした落ち着いた服装が押し付けがましく無く清潔感を漂わせていた。息子の友人である俺に自然反射で微笑みかける口元、目元は歳を刻んだ愛らしいしわが幾筋か柔らかく姿を現した。「お友達?」と、控えめに刺す左の手のひらの薬指には、永遠の愛を(森山の父親と)誓ったシルバーの結婚が荘厳に輝いて鎮座している。「こいつだよ、笠松。でさ、バスケの試合のビデオ見たいんだけど」

「ああ!笠松くん!」

日頃森山が彼女にどんな風に俺の話をしているのか知らないが、悪い印象は無いらしい。むしろ、好印象しかないようで、花でも咲いたような笑顔を向けられて、面食らってしまう。すっと手をとられて、なにが彼女をそうさせるのかまるで俺が徳の高い坊さんか命の恩人か有名人か何かのように大事そうに手を握られた。あたたかく柔らかい手のひらに自分の硬く大きな手の皮膚を優しく撫ぜられると、なんだかまるで性的な愛撫でも受けているような可笑しな気持ちになった。恥ずかしくて、でも、振り払うのは勿体無い気がして、話しかけられている事にろくに答えもせずに、彼女の手と自分の手が触れ合ってる部分の皮膚の摩擦について恥ずかしいことを考えていた。

「やめろよ、恥ずかしい」

森山に一蹴されて、背筋がひやりとした。が、森山が言ってるのは俺じゃないらしく、森山の母親が不満そうに何か零しながら俺の手を放した。そのまま手を下ろす事無く、森山に向かって弁当箱やら洗濯物の催促を始める彼女と、こちらも何やら文句を垂れながら弁当箱やら洗濯物を手渡しする森山を眺めながら、静かで穏やかな森山への嫉妬を腹の奥で感じていた。一目惚れの相手が同級生の母親なんて、ラストが見え見えでドラマにもならない。


どうして自制が利かないんだろうと歯軋りしても、もう遅い。じっと、貝みたいに身動きをとろうとしないおなまえさん。…おなまえさん。森山のとこのおばさん。穿いてたパンツはデカくは無かったけど色は薄めでなんだか良くわからない装飾が施されてて、それが自分の家の母親のパンツのと似てると思った。パンツを脱がしたら盲腸の手術の痕があって、今の技術じゃそんな痕なんて残らない、残っても分からない位だって聞いたことがあったから、なんだかそれもおなまえさんの生きてきた中の1つなんだと思って、言い得ない感情を消化できずにその手術痕に舌を這わせた。俺が18歳でおなまえさんが41歳。この23の歳の差が、例えば俺が24歳でおなまえさんが47歳って数字だったとしたら、もっと違ったのだろうか?例えば俺と森山が、全然面識のない人間で、俺とおなまえさんは街でばったり偶然に、なんか物を落としたりそれを拾ったりってきっかけで出会っていたのなら、もっと違ったのだろうか?難しいことを考えるには体が熱すぎるし、胸が痛い。キリキリ痛むのは胃だけなのだとばかり思っていたけど、そうじゃないらしい。聴いてみたくて仕方なかったおなまえさんの熱っぽい声と、触れてみたくて仕方なかったおなまえさんの服の下の体に、翻弄されてバカになってるみたいだ。聴きたくて触れたくて欲しくて欲しくてたまらなかったものを、いままさに手にしているはずなのに、欲求の袋にまるで致命的な穴でも開いているように注いだとたんにこぼれてしまって、むしろ満たされない事への焦れに欲求はさらに涸渇する。もうめちゃくちゃだ。初めは、泣いてたのは、痛がって怖がって、震えて泣いてたのは、おなまえさんの方だって言うのに、今では鼻を啜って体を震わせてるのは俺の方だった。何度目か分からない射精に目が眩む、何が出てるのかも分からない。頭が痛いのが辛かった。射精しすぎると死ぬってマジかな。ぎゅっと強く握ったり噛んだりした所為で全くの綺麗ではないおなまえさんの柔らかい体に包まれて、優しくされて、急に怖くなって、ろくに体も拭きもせず萎えたちんこを隠すこともなくしがみ付いて泣いた。優しくあたたかく頭を胸に抱かれて、あやすように頭を撫でてくれる手がまだやっぱり好きで、泣きつかれた様子の声で「大丈夫、大丈夫」って自分に言い聞かせるみたいにそれにしがみつくしかないみたいに唱えるおなまえさん。飛び出てる俺の耳を、指先でそっと触れて、撫でてくれて、そういえばいつだったか森山が母親が子どもをあやす時にやるんだって、言ってたのを思い出したら、また勃った。もう死にたい。

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