森山先輩とマネージャー
コロールドスプレーやらテーピングの在庫確認、過去のスコアブック・他校の試合DVDなどなどの生理整頓。ああ、これが終わったらタオルを洗濯して、その間にシャワールームを掃除してあれやこれやで目が回りそうな毎日ですが!海常高校男子バスケットボール部マネージャーみょうじ おなまえ!!今日も今日とて大好きな森山由考先輩のロッカーの隙間からこぼれる私物の匂いを嗅ぎつつ悦に浸ってがんばっております…!!森山先輩イエスっ!!あーもう、本当に…森山先輩の美しくたくましい肢体を包んでいた制服が、このロッカーの中にかけてあるんだと思うと、もう、何?気分としては、チョコレートタワーがそそり立つスウィーツの王国のそれに等しいよね、この部室。汗臭いとか全然感じた事ないもんね。森山先輩の汗だと思うともう香水だよねそれはすでに洗練された香水だ。あ、やばっ森山先輩の事考えてたらなんか口の中で変な汁出た。

洗濯しにいく前に、ちらっと体育館を覗いていこう。もしかしたら森山先輩に会えるかもしれない…。いや、1人っきりの部室だとね、森山先輩の制服から匂いがどうとか、床に落ちてる髪の毛はこれ果たして誰の髪の毛だろうか…森山先輩の髪の毛だったら持って帰っていいかな?それでミサンガ編んでもいいかな?とか、ハァン森山先輩なんで?!なんであんなにかっこいいの?!おかっし、おかしいッ!!規格外でしょアレは?!軽犯罪だわ存在がッ!!もう誰か逮捕してよッあ、でもやめてよッ!!逮捕なんてしないでッ!!あ、でも手錠された森山先輩って…がっふぉッ!!って変態丸出しで倒錯妄想がアンストッパブルな私ですが、本当はただの純粋な恋する乙女な訳でしてね?こう…ちらっと、森山先輩のお姿を拝見できるだけで、心臓がきゅうっと痛んで息が出来なくなって顔なんて真っ赤になっちゃって体も縮み上がっちゃう…小堀先輩に大丈夫?って心配されちゃうし、笠松キャプテンにも熱でもあんのか?って訊かれちゃうし、早川くんにもみょうじ変だぞ?って言われちゃうし、黄瀬くんには俺の所為っスか…?とか言われちゃう(違うんだよ)…し、…ああ!でも森山先輩がかっこいい所為なんです私が森山先輩のこと大好きだからしょうがないんですなんて言える訳もなくって…!!いっつもひっくり返りそうになる声を抑えて、なんでもありませんって体育館から逃げ出すんだけど…あ、えっと…そのくらいに純情乙女なんだけど…当の森山先輩は、そういう時、ちらりと私の事を見て…笑ってるんだ…な、なんで…なのか、いつも…気になって、ああ…もし、かして…バレて…るんだろうか?!私の恋心乙女心…!!


バッターン!!

部室から出たのと同時くらいに、体育館からすごい音がした。ボールかごでも倒したの「森山ッ!」かなー?…森山ァア?!笠松キャプテンの大きな声が、廊下まで響いてきて、私の世界のいろんな現実味が色あせていく。ぐおっと掃除機で吸い取られちゃうみたいに。も、もり…えええ?!もりッや…だ…何?!さっきの?!バッターンってすごい音?!うそ…やだッ森山先輩…森山せん、ぱ…うッ…まだ何が起きたかなんて分かってないのに見てないのに、笠松キャプテンの声の余裕の無さにただならぬ物を感じて、駆け出す。ああ、でも…体育館入り口ギリギリまで来て、中を覗き込む勇気が無い。ど、どどどどうし、よう…覗き込んで、森山先輩が…倒れてたりしたら…!!血、とか…出てて…そ、んな…ど、しよ…も、りやま…せんぱい…。汗がちくちく皮膚の隙間から湧いてきて、涙まで出てきた。唇がふるふるして歯がぶつかってかちかち音を立てる。うッ、ひ…も、やませ…もぃやま、せんぱッ…死なないでェ…

「森山せん、ぱ…ぶっふぁッ!!」
「お、おなまえちゃん」
「ぶわぁああぁあぁぁああ!!!!」
「丁度良かった、シップもらえる?」
「ひぎゃああぁぁあぁぁああぁ!!!!」
「大丈夫?え、俺もしかして汗臭い?」
「ンのぉぉおおぉっぉおおおおぉ!!!」
「…え、あ…NO?」

意を決して体育館に飛び込んだら、飛び込んだつもりの体育館は森山先輩で…(私の妄想では)血を流して瀕死状態で倒れこんでいるはずの森山先輩が目の前で生き生きしてて、といか森山先輩の胸にダイブする形になってしまった私のほうがむしろ精神的に大興奮を通り越して瀕死状態な訳でありましてなんじゃこりゃああああぁあぁあああぁあああ!!!!っていう大混乱大波乱大乱闘をすべて心の奥底に飲み込みきれずに森山先輩を目の前にぎゃんぎゃん叫んでしまったわけだけど、森山先輩は笑って全部流してくれて、本当にどこまで?!森山先輩のイケメンはどこまで行ってしまうの?!ローマ?!最終地点ローマ?!すべての道はローマに通ずからいずれ森山先輩は男前選手権inローマに日本代表として出場なされるの?!とかいう妄想と爆発を繰り返してる間に、森山先輩は私の肩をそっと掴んで(これだけで失神できる)部室へと連れて行った…(森山先輩と部室で2人っきりとかもうそれだけで空飛べる勢いだけど)私はもう緊張しまくりで興奮と喜びに震える体を一生懸命抑えるのに精一杯で、口もきゅっとつむっちゃって、もう…もう酷い…騙されてホテルにつれてこられた少女のようだ…

「背中がなんか…さっき転んだときに痛めちゃったみたいで」
「背中?ですか…」

ああ、さっきの音は…転んだ音…、…にしては大きな音が出たなぁ…なんて思いつつ、背中…。痛んで良いところなんて無いんだけど、背中は…特に良くない。私は急いで森山先輩の後ろに立って、失礼して背骨に沿って手を這わす。…触れた分では違和感は無い。先輩が、痛がってる様子も…無い。よかった…大きな怪我では「大胆なんだね」なさそ…、…う…っだぁああぁあぁあぁあああぁあ!!!!!

「もっ、ももも…もっもも!!」
「桃じゃないよ」
「か、からかわないで下さいッ!」
「だっておなまえちゃん、いきなり背中撫で回すんだもん…俺」
「てッてれないでくださいッ!!」
「おなまえちゃんだって照れないでよ」

くるっと振り返る森山先輩の顔が、その…かっこいいのは、当たり前なんだけど…!!そ、の…なんっていうの?!し、真剣?!な、感じで…ほッあ、わ…気抜くと体がとろっと溶けちゃいそうなくらい…かっこよくって…。知らない間に手首をきゅっと握り締められてて、とてとてぽてっと簡単に、壁まで追い詰められてしまった。正直、理解不能…。え、なん、で…森山先輩…、…わ、たし…え…。…え?!な、ない!!ないないない!!いっぱい自分の都合のいい事を(森山先輩じつは私の事…す、す…好き?!とか、気にしてくれてる?!とか、やっばいこのまま何?!も、しかして、ええ?!私今日どんなパンツはいてたっけ?!とか)考えちゃって、脳みそとろっとろ。もっとちゃんと冷静に…なって…本当に、ビークール!!私ビークール!!な、のに…!!森山先輩、近いッ!!息遣いとか、温度とか…!!さっきまで運動してた森山先輩の、匂いとか、体温が…今までに無いくらい、近くって…あ、その…ご、ご勘弁を…!!森山先輩が鼻かんだティッシュ勝手に持って帰った事謝るんで…!!本当に、これ、は…!!

「ほら、なんで下向いちゃうの?」
「うへェ…せんぱッ、ご勘弁を…」
「ねぇ、ちゃんと俺の事見て?」
「う、むむむりです…ごめんなさい本当にッ!!後生ですから!!」

申し訳ない限りだけど、このまま脳みそが沸騰するよりはマシだと思って、心臓が張り裂ける思いで森山先輩の手を振りほどく。押しのけるつもりで、森山先輩の体を(はわぁああぁあ)手で押しのけ「んッ、ぁ…」られませんでした…

「なッ、なな…な?!」
「おなまえちゃん、なんで俺が左の乳首弱いって知って…」
「〜?!もひやみゃしぇんぱ?!」
「由考って呼んでよ」
「ぶっふぁッ!!」
「ねぇ、おなまえちゃん…とりあえず背中シップ貼ってもらっていい?」
「とりあえずも何もそれが最終目的でしょう?!」

も、う…!!な、なんなの?!森山先輩…こわいッ!!

「あッ…そこォ、うっくゥ…おなまえちゃん…上手だね」
「…あーあー、今日の夕飯なにかなー」
「はァん、もっとッもっと…強くッしてッ」
「帰ったら昨日のドラマの録画見てー」
「ぁあッ!!今のッ、いまのとこォ…ビリビリぃって…すごい」
「うっせェ!!マッサージでひゃあひゃあ喚くなッ!!!!」
「シップだけで良いって言ったのに、触りだしたのはおなまえちゃんだよ?」
「マッサージ、です!!」

結局、私も…人間な訳でして…あーもう、色々弁解してるとお前分裂症なんじゃね?って疑いがかかるからもうしない。説明なんて誰が出来るの?だって、大好きな、憧れの、先輩が…先輩と、2人っきりの部室で、背中丸出し無防備な姿で寝転がっちゃって無防備極まりない無防備で美しくて無防備でいやらしく無防備な先輩を目の前に、シップ貼ってはいお仕舞い!先輩どうぞ!練習戻ってくださーい!なんて…!!出来るわけ無いでしょうに…!!どうしても、緊張に爆発しそうになるけど…も、もう少し…森山先輩と、2人っきりで、いたくて…頼まれても無いマッサージを始めて…な、なんか…そんなのって、もう…先輩に、いろいろバレてるんだろう…だって、もう…さっきから、先輩…わざと変な声出して、意地悪だし…ニヤニヤしてこっち見てくるし…でも、かっこよくって、すごく色っぽくって…あうう…完全に先輩の手の平で踊ってる、私…情け無い…けど、ちょ、なんだろう…これ、すっごい幸せ…鼻血でそ…

「俺さー」
「変なこと言ったらお尻の穴シップで塞ぎますよ」
「え、何それ。ちょっとやって欲しいかも」
「泣いていいですか…」
「俺さ、おなまえちゃんの事好きなんだよね」
「…泣いていいですか?」
「え、マジで?このタイミングで?」
「マジです、このタイミングです」




「笠松センパイ、なんか部室からみょうじっちのすすり泣く声が…」
「…俺、正直関わりたくねぇと思ったんだけど…キャプテン失格か?」
「キャプテンは何があ(ろ)うと、オ(レ)たちのキャプテンですッ!!」
「森山とみょうじの事は…そっとしておいてやろう…」
「…だな」




初めての森山くんぐっだぐだで申し訳ないです…なんだこれ…ちゃんと書いてくとめちゃめちゃ長くなりそうだったので愛する海常メンバーに無理やりしめてもらいましたごめんなさい

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