アールなの?トージョなの?どっちなの?
どうしようどうしようどうしよう…!!このままじゃ私、トージョさんに嫌われちゃう…!!ああ、どうしてこんな簡単な事に今まで気が付かなかったんだろう?!そしてどうして気が付いてしまったんだろう?!私ったら…!!もうだめッ!!でも手術だけは嫌なんだ…!!ヨナくんの手前、口に出して言えないけど…私もこんな歳で注射が怖いから手術なんてできっこないんだ…!!だけど、それじゃあ…私…!!

シャワーを浴びながら、ぴったりと自分のひかえめなおっぱいに手を当ててみる。…正直、日本人の基準で考えて…小さくは、無い。と、思う…。口が裂けても言えないけど、ココさんよりは大きい、と…思う。でも、ココさんは他がスレンダーだからなァ…!!手足とかすららら〜んって嘘みたいに長いからなァ!!モデル体系だよなァ!!本当に…!!ココさんよりは大きいけど、そりゃあバルメさんに比べれば…比べるほうが失礼ってもんで…。彼女の肉体美の前には老若男女関係も国境も宗教も関係ない…。つい両手を合わせて崇め奉りたくなってしまうほどの御身体…。思い出しただけで、エッチな意味ではなくドキドキしてくる…!!

じゃなくて…!!そうじゃなくて、私が直面している問題はココさんのモデル体系でもバルメさんの究極肉体美でもなく…!!トージョさんおっきいおっぱいが大好きって事件だ…!!なんだ?!知らなかったっていうか、気づかなかった…!!トージョさん、大きいおっぱいが好きだったんだ…、いや…そりゃあ…おっきいおっぱいが嫌いな男性なんていないんだろうけど…。という事は、あれですよ…あの、私…今までトージョさんとうんにゃらモゴモゴをしていた際「ああ、まぁおなまえちゃんはこの程度だよね。ジッサイ」みたいに私のおっぱいのサイズの事に関して図らずもトージョさんのことをがっかりさせてしまっていたのだろうか?!私はトージョさんのおちんちんのサイズには何も文句はなくって、むしろいささか立派過ぎるのでは?マジでトージョさん日本人?みたいな所だったわけだけど…!!今まで実はトージョさんの事満足させられずに居たくせに、自分だけはがっつりトージョさんのおかげで気持ちよくなったり幸せになっちゃったり絶頂迎えちゃったりしてたのかー?!って思うと、もう…うあわわあああああわぁぁあああ!!!!


「なっ、どうーしたのおなまえっ?!すげぇ顔」
「あ、アールさん…ごきげんよう」

シャワーを終えて着替えて、自分のおっぱいの行く末と、これからのトージョさんと私のあり方にもうすでに絶望しか見出せない私の不甲斐ない脳みそをどうにか覚醒させてやろうと適度なアルコールを求めて食料庫へ向かう途中。ワインボトルを2本抱えたアールさんに出くわした。私の顔を見ると、抱えていたボトルを落とさん勢いで声を上げて驚いて、イタリア男らしく女性に優しくの概念からか身長差にハンディのある私に視線を合わせるため少し屈んでくれる。まだ乾いてない前髪をそっと指で押し退けてくれる甘いマスク。まさにプレイボーイの口角を適当な位置まで上昇させて、うわべだけでも私の精神状態を落ち着かせようと図ってくれる。

「なんかあったかァ?せっかくのカワイイ顔が台無しだぜ?」

まさか、言えるか?おっぱいが小さいの悩んでるんですぅ〜?トージョさんに飽きられちゃったらどうしようって思うと動悸と吐き気がすごくて頭痛と眩暈に襲われてリロードだって儘ならない用無し傭兵になりさがっちゃったんですぅ〜?ってか?わはは、笑えない…。自分でも考えたんだ。ココさん…には相談できない。おっぱいの相談なんてしてみろ、給料が何分割されるか考えたくも無い。バルメさん、も…おっぱいのサイズなんて気にかけたことなさそうだし…相談して恥ずかしい目にあうのはわかりきって居る…でも、この隊にもう女性は居ない…。もう私はこのおっぱいへのジレンマを書いて字の如く胸にしまって生きていくしかないんだろう…

「体調よくねぇのか?それとも、なんか悩み事か?」

ぽんぽん、っとまるでお兄さんのように私の頭を撫でてくれるアールさん。…彼なら、大丈夫だろうか?イタリア男だし、プレイボーイだし…女性経験が豊富な彼なら、私の相談に乗ってくれるのではないだろうか?あるいは手術以外の豊胸術を知って居るかも?ほのか期待の視線を向けると、彼はその対女性用さわやかスマイルを97%発揮。規律正しい真っ白な歯は「俺に任せろ」と無言の信頼を語る。

「あ、あの…非常に言いづらいんですが…」

立ち話もなんだから、とアールさんが私を部屋に誘ってくれる。そりゃあ、廊下でさっくりと済まされる話題ではない。さらにはたまたまトージョさんが通りすがってしまう…!!なんてことも無きにしも非ずだ。


ボトルとグラスを並べたテーブルを挟んで向かい合った私達は、口を開くべきその時を待って芳醇な香り漂うワインを口の中で泳がせた。ごくりと、5口目を胃に収めて私は決心をつける。訊く(アールさんに相談するの)は一瞬の恥、訊かぬ(トージョさんを満足させられないの)は一生の恥…だッ!!グラスをテーブルに置き、ぎゅうっと膝小僧を握り締めて、アールさんを見つめる。優しい目で私の言葉をまってくれるアールさん。

「あ…えっと…その、アールさんもその…おっ、おっぱ…む胸ッ!!女性の胸は…やっぱり、大きいほうがいいんでしょうか?」
「…は?」
「ええっと、トージョさん…!!トージョさんもやっぱり、私なんかよりバルメさんみたいな、豊満な体の女性のほうが好みなんじゃないだろうかって思って…そうだとしたら、私には圧倒的にバストサイズが足りない…訳でして…その、ええっと…」
「胸を大きくしたいわけだ?」
「…はい。…そういうのって、今日明日でなんとかなるものでは無いと分かってはいるんですが…。女性経験が豊富なアールさんだったら、もしかして…と思って…」

バカにするでも呆れるでもなく、ちゃんと私の話を聞いてくれるアールさん。ああ、こういう所がプレイボーイたる所以?それともやっぱり甘いマスク?それらの併合によるもの?そりゃあ世の女性が黙っちゃ居ないだろう。…私はもちろん、トージョさん至上主義なわけだけど…。光を反射してミステリアスに見える眼鏡とか、硬派な見た目に似合わないなかなかフランクでウィットに富んだ内面とか…ちょっと子どもっぽいところとか、それでもやっぱり痺れちゃうくらい大人なとことか…ああ、トージョさんの事かんがえるだけで体が痺れてきた…。私って重症なのね…。

「豊胸の方法、ね…無くは無いね」
「え…?!ほ、本当ですか?!」
「ああ、でも…トージョには内緒、ね?けっこう荒療治だから」
「あ、はいッ!!もちろん!!」



って、喜び爆発ススメ爆乳への道ッ!!でいきり立ったのはいいけど…!!いいけど!!いや、よくない…!!これは、ちょ、想定外というか…!!だって、まさかアールさッアールさん?!

「やっ、あ!んぅぃ〜!!アールさんッああっ!あ、やっだァ」
「大きくして欲しいってったのは、おなまえだろ?」
「だっだからって…!!これ、これはッ…んッ違ァ、違う気がッ」

やばくないか?私コレはやばくないか?ってかヤバイだろう?!なんか流されるままベッドに寝かされて、最初は服の上からだった「荒療治」が、今ではブラジャーまで外されて、直接おっぱいを揉みしだくとかいうただの愛撫に成り代わってしまっている…!!な、なんだコレ?!謎過ぎる、謎過ぎるよアールさん…!!揉んで揉まれて大きくなるってんなら、私トージョさんにやってもらうし!!むしろトージョさんにお頼み申し上げたいところっていうか!!すでにトージョさんにして頂いてますからぁぁあっあっああっん!!

「はぁはぁ…どうおなまえ?お、おおきくなりそうか?」
「わッ、わかりませっん!!というか…降りてくださっあっ、やめッあ!!」
「あー、可愛いよおなまえ…このままいれちゃっていい?」
「?!なッなに言ってるんですか?!ふざけ」

るなぁぁぁあああぁぁぁああぁぁあ!!!!アールさんッ!!私に馬乗りになったアールさんが私の腕を拘束したまま、脚を割って入り込んでくる…!!私の下着越し、アールさんの穿き物越しにこすり付けられるいわゆるショットガンは既に状況を開始できる状態にまで温められている、あああああああ!!!!いやだッ!!絶対にいやだッ!!アールさん、好きですが!!そういうんじゃないんです!!乙女心ちゃんと分かってくださいッ!!隊の皆さんに心は許して居るつもりですが、体まで許すのはトージョさんだけだって決めてるんです私ぃぃいいぃぃいいぃやぁああぁあぁぁぁあああ!!!!はぁはぁあっついアールさんの湿った息がみ、耳にぃぃいいい!!もうやだ気持ち悪い!!ここまでくると気持ち悪い!!放っておけばこの人体中嘗め尽くさん勢いで発情してるいやぁぁあああ!!トージョさぁぁああぁんんんん!!!!


バババババババババ…!!

息を呑むような凄まじい銃声と弾薬の臭い。45口径サブマシンガンが吠えながら、扉を付きぬけ、器用にも私に馬乗りになったアールさんのボディラインぎりぎりに壁に埋まっていく。驚きを隠せない私とアールさん…き、気が付かなかった…と、いうか…アールさんの熱々だったショットガンがサブマシンガンと背筋の凍るような何者かの殺気に、あからさまに生気を失っていくのが肌で分かった。

「よう、アール。楽しそうだな?なにしてんだ?」
「トージョさんッ!!」
「よ、よう…トージョ!これは…その」
「おなまえちゃんの豊胸の前に、お前の去勢の方を優先したほうがよさそうだな?」
「ちっ、ちがうッ!!誤解だって!トージョっ!!ヤダなーそんなマジな顔して!!」
「ダハハっ!!そうか!誤解か!!ならよかった!!それじゃ去勢じゃなく開発してやるよ」
「えっ、ちょ…まっ…!!それ45口径ッあ、あああああああ!!!!!!」

「で、おなまえちゃんは何してんの?アールに何されちゃってんの?」
「だ、だって…おっぱい、大きくなりたくって…」
(俺に言えよっっっ!!!!)

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