さッかッきクぅ〜ン!!
榊くんは寡黙な人だ。神秘的って言うか、その静かな感じが榊くんが醸し出している落ち着いた雰囲気?色気?に良く似合っていてかっこいい。いや、むしろ逆なのかも…寡黙だからこそのあの色気?男なら言葉で語らず態度で語る感じ?いやいや…榊くんはそんな、高慢な感じではないけど…お家柄?生まれつき?血筋?キャラ作り?なんなのかなぁ…よくわかんないけどすさまじくかっこいいのだ。

THE・侍?みたいな?榊くん、君こそラストサムライだよって感じにかっこいいのだ。そして私はそんな榊くんにメロメロメロンなのだ。そういえばこの間榊くんにむかって「メロメロメロン」って言ったら、真顔でぎゅううって腹筋を握りこぶしで押さえながら、小刻みに痙攣し始めた。恐すぎて無くかと思ったけど、小さい声で「…爆、萌」ってつぶやいたのが聞えたから、心臓が飛び跳ねて嬉しくて泣くかと思った。


榊くんと新庄くんと一緒に教室でおしゃべりしているんだけど、やっぱり榊くんは喋らない。私たちとおしゃべりするの面白くないのかな?私と二人で居るときだって、ずっと私ばっかが喋ってて、榊くんは頷いて聞いてくれてるだけ。私はそれでも、榊くんと一緒にいられれば嬉しいし楽しいからいいんだけど…榊くんはそれで楽しいのだろうか…?私がお笑い芸人さんくらいにおしゃべりが上手で、楽しいお話ばっかり提供できるすげぇ人間だといいんだけどなァ…

新庄くんはさっきからクラシックの歴史について一生懸命話してくれるんだけど、正直私はバッハさんとかリストさんっていう知らないおじさんの事よりも、目の前の、窓から吹き込んでくる風に髪を揺らしている、榊くんの事のほうが気になって仕方が無いので、新庄くんには大変申し訳ないのだが、ちょっと無視して榊くんを観察することにしてみた。

肌が白くて、本とかに書いてあるみたいに本当に陶器みたいにつるりとしててお肌トラブルなんてお母さんのお腹の中に忘れてきましたミ☆見たいなお肌だ。髪は真っ黒で、つやつやしてて、なんどか触らせてもらったことがあるんだけど、なんだか濡れてるみたいにしっとりしてて、男の人の髪の毛だなんて思えなかった。女の人よりもずっときれいな顔立ちで、目だってあんまり開けてくれないけど…本当は切れ目でかっこよくて、唇はちょっと薄くて鼻筋はすっとまっすぐで…きれい過ぎて、見てると息をするのも忘れそうになる…。

「ん?」
「あッ!!いやッ!!なんでも…!!」

うひゃああ!!榊くんの事見てたら、気づかれてしまった…!!あ、ま!いや…そうだよねッ!!榊くんは、アレだもんねッ!剣道部の部長だもんねッ!!あの、その気配とかさッ!!そういうの、さ!びびーんっと感じ取っちゃうんだよねッ!!うう…なんだろう、そういうのがまた、凄くかっこいいんだよね…。恥ずかしくて変な声が出ちゃったのを、くすって…本当に、空気が抜けたみたいに、幻みたいに…くすって笑った榊くんが…かっこよくて…うぐぅううって体の真ん中が、ぎゅううううって…!!うっはぁ…っていうか、さ…。榊くん、声かっこいいんだよね…。さっきも一瞬、喉から漏れたみたいな小さな声だったけど…すごく…かっこいいのに…もっと、聴いてみたいのに、なァ

「ねぇ、榊くん?」

ん?って言いたげに、眉を動かす榊くん。う、わ…なんでそんなに大人っぽいんだ…かっこよすぎて、耳からなんか出そう…。

「榊くんってさ、あんまり喋らないよね?それ、なんでかなーって…思って…。あ!!でも、言いたくなかったらッ!!全然、無視してくれて構わないんだけどッも!!えっと、はい、そうそう…あんまり、喋んないねーって、話で…榊くん、声かっこいいから、せっかく…もっと喋ってくれればいいのにーって…思って、はい。…そんな、感じ…です」

うっわ!!私、何言ってんだッ?!考えまとめて無さ過ぎでしょ?!ああ!!バカバカミラクルバカッ!!喋らないよねーって?!そんな無神経な切り出し方がるかぃ?!ああ!!死にたい!はずかし死にできる!!

「そんな感じ?」
「そ、そんな…感じ」

笑って、ゆっくりそう言い返されてしまった。う…わ、ダメだこれあれだ、心臓発作とかで死んじゃう…。首を、かくんって傾げた榊くん。髪が少し遅れて、流れてくるみたいにさらりと落ちた。それだって国宝級にかっこいい。でも、いつもより、ずっとずっと穏やかな表情で、私のほうを見てくれてる榊くんはなんかもう…世界基準で見ても最上級のかっこよさだ。

「みょうじさん」
「はいっ」

榊くんに、じっと、見つめられる…。なんか、もう…それだけで体中の水分が蒸発するんじゃないかって心配になっちゃうくらい緊張するし、照れるし、う、嬉しい…けど…やっぱり、恥ずかしい…!!


「みょうじさん、可愛いよみょうじさん。みょうじさんは俺の嫁、恋する俺は切なくてみょうじさんを想うとすぐに」
「ああああ!!ちょッ榊くッ!!ううううれしいけど!!恥ずかしいからあんまり!!そう言う事、はッ!!言わないでくださいッ!!」
「…萌」




「二人とも、完全に私のコト忘れてませンカ?」
「あ、ごめん…」
「(′・ω・)ゴメンネ」

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