邦枝先輩が爆発してる男鹿幼馴染
まだ昼なのに、下校しようとする男鹿くんとその友達(古…古内?古市?くん)を見かけたので、先輩として!!先輩としてね!!ここはひとつ注意しておこうと思って、追った。

あ、その…これは全然!!男鹿くんの事が気になるとか、そんなんじゃなくって!!本当に、学校舐めちゃだめだよって事を先輩として教えておこうと思ってね!そうよ!全然そんなんじゃないから!!

裸の赤ちゃんを肩にのせた男鹿くんはどこと無く上の空で、となりでお友達が大きなあくびをしていた。の、のんきそうね…

学校の前の道路を渡って、本格的に帰ろうとしている2人の背中に声を投げる。

「ちょっと!男鹿くんッ!!」
「あ?」
「あ!クィーン!!」

振り返った男鹿くんはぼうっとした流し目が、なんというか…どこと無くセクシーというか…斜に構えてる感じがして…ああ、…?!じゃなくて!!注意を…!!『まだ下校時間じゃないのよ?』とか『学校から出ちゃダメでしょ!』とか…!!その、先輩らしい…!!なにか…!!

「あー、男鹿!と、古市だ」
「ん?なんだみょうじか」
「なんで俺のことおまけみたいに言うんだよッ!!」

向かいから歩いてきた女の子(他校の制服を着てる)が、なんとなく馴れ馴れしい…というか、慣れ親しんだ感じ?に2人に声を掛けてきた。私に呼ばれたときよりも、ずっと気持ちのいい反応を示す男鹿くんと古市くん。…べべべべべつに!!妬いてなんてないからね?!…ふんッ!!

「なに?あんたらもう帰るの?まだ昼じゃん、学校舐めんな」
「もう昼だからだよ。ベル坊のメシ、忘れてきちまったし。ヒルダは魔界に帰っちまってて届けにこれねーからな」
「っていうかみょうじも人のこと言えねぇじゃん」
「古市ばーか、私は今から学校だもん。早退よりも遅刻の方が向上心見られていいでしょ?」
「余計性質悪ぃだろそれ!!学生が重役出勤ってッ!!」
「あー古市うるさーい!!…もう学校行く気なくなっちゃった。古市の所為だ。お昼おごって」
「どうしてそーなるんだよッ!!」

「…あ、あの…」

すごく置いてけぼりの状況…。古市くんは女の子と言い合いで忙しそうだから、それを傍観している男鹿くんに声を掛けてみる。

「あの子は…石矢魔の子じゃないわよね?」
「ん?ああ、アイツ?俺の幼馴染のみょうじだよ」

お、お…おさななじみィ?!

そ、それって…!!それってつまりアレじゃない!!小さな頃から何もかもを共有してきた、気心の知れた仲…!!結ばれた強固な絆はいつしか友情を超越して愛情に…?!悪魔のような奥さんに押し付けられた子どもと路頭に迷った時、希望の手を差し出してくれたのはいつまでも友達だと誓った彼女…!!やっぱり君の隣にいたいッ?!?!

「あ、えーっと…ねぇ、男鹿…そちらの方、大丈夫?」
「んー、なんか大丈夫じゃ無さそうだよな…」
「く、邦枝せんぱーい!大丈夫っすかー?」
「…ッは!!…だ、だだだ、大丈夫!!よ!!…大丈夫大丈夫…」

(だいぶ、自分に言い聞かせてる感が…っていうかさっきの1人芝居みたいなのなに?聞いちゃいけない声?)
(邦枝せんぱい、なんでか男鹿のこと気になってるらしくてな…もしかして男鹿に親しそうにしてるみょうじに妬いてんじゃねぇ?)
(あ、ええ?!マジで?!男鹿にもとうとう彼女が…!!ちょ、誤解されてたら困る困る!!)

「あのー!クニエダ?せんぱい?さん?…その、私あれですよ!男鹿と古市の幼馴染、で!そのなんでもないんです!あれですよ、ただのアレ!ちくびの友!」
「ち、…っち?!」
「竹馬ァアア!!ち・く・ば!!ちくばの友だろォオ?!」
「ああ!!そうそう!それそれ!古市さすが!たけうまを割ったようなお友達なんです私達!!」
「なんだよそれ…竹馬割るって…」
「ああ、だから別に全然!!男鹿と付き合ってるとか、全然そういうのないんで!!気にしないでくださいッ!!」
「みょうじ!その言い方なんか不自然だぞッ!」

は…な、なんだ…彼女とか、では無いのね…よかっ…たとか!!思ってないから!!別に全然!!男鹿くんの事そういう、恋愛感情で見てないし…!!

「あ、そういえばみょうじ。こないだ借りた漫画返すわ。夜、家行くから」
「あー!あれめっちゃおもしろかったでしょ!!夜だとお風呂はいってるかもしれないから、勝手に部屋入って棚にしまっといてよ」
「おう」

えええええ?!お、幼馴染ってそんな感じなのォォオオ?!

「だ、大丈夫っすか?邦枝先輩…?」

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