カラ松パパとトド松(3さい)
カラ松パパトド松(3さい)
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ピンクのウール素材で出来た肌触りのいいパーカーを着たトド松は、今朝はひどく機嫌がいいようだ。キッチンからは、トド松のための温野菜を茹でるあたたかな湯気のにおいが漂い、嫁さんの陽気なハミングが漏れ聴こえている。毎朝の幸せをかみ締めながら、今朝も俺のパーフェクトヘアスタイルをキープするため手鏡を覗き込んでいた。いつもならこんな時間は嫁さんの足か胡坐をかいた俺の膝かお気に入りのウサギのぬいぐるみの耳にしゃぶりついて、険しい顔でうなりながら何かしら幼児なりの不満を訴えている時間だというのに、どうしてか今朝のトド松は恐ろしく機嫌がいいらしい。嫁さんの趣味でウサギの耳が縫い付けられたパーカーをすっぽりと被って、ぴょこぴょこ跳ね回っては、そのウサギの耳を楽しげに揺らしていた。



「どうした、トド松。今朝はずいぶんハッピーボーイだな」

「あんっあんっ、あっあ!んっあ!っあ!」

「ん?なんだ?トッティのニューオリジナルソングか?」

「ママ!」



ママ!!!!!!あんっあんっ、あっあ!んっあ!っあ!=ママ???!!!不味い!!不味い不味い不味い!!!!これは完全に昨晩の俺と嫁さんのメイク・ラブのワンシーン!!いつもなら俺か嫁さんがトド松に絵本を読み聞かせ完全に寝かしつけてからでないとベッド・イン→メイク・ラブまでたどり着けないのだが、昨晩はどうにもカラ松ジュニア(トド松ではない方)のオーバーヒートに歯止めが利かず、トド松に絵本を読み聞かすことも出来ず、ベッドに寝かせて「おやすみトッティ。ハッピーな夢を見るんだぞ」と言い残しトド松が寝入ったかどうかの確認も無しに寝室に駆け込んで嫁さんをベッドに組み敷いたわけだが、あの寝つきの悪いトド松がこんなに早く眠るはずはないと疑惑し俺の熱いリビドーを拒む嫁にしつこくキッスを繰り返し「ノープロブレムだ」「心配いらない」「ぐっすりと眠っている」「頼むから、今は黙って俺に抱かれてくれ」「お願いします!!いれさせてください!!」を繰りかえしやっとの事で成しえた愛の営み……!!嫁さんのあの拒みようからして、トド松には俺とのメイク・ラブをどうしたって見聞き知られたくない(俺にだってそんな趣味は無い)のだろう……!!ああ不味いぞ!!こうしてる間にもトド松は何がそんなに気に入ったのか俺の遺伝子のなせるわざなのかはたまた運命のいたずらなのか嫁の愛のさえずりがひどく気に入ったらしくまだ飽くことなく「んっ!あっ、あ、あぅ」わああああ!!アナザーバージョンに突入しているううう!!不味い、トド松に聞かれていたどころか嫁のスウィートボイスをトド松が気に入ってあまつさえ真似を楽しんでいるなんて嫁に知られたらっ……!!どうにかトド松のこれをやめさせなければ……!!



「トド松、この魅惑のスウィートキャンディーをやろう」

「きゃんでー!!ぴんくいの!!」

「そう、キャンディーだ。キャンデー好きだろう?甘くておいしいもんな?本当は食事の前のキャンディーは禁断とされているが、パパと約束できるか?内緒のキャンディーをやるから、トド松はもうママの真似をしない。わかるな?んー?」

「ないしょのきゃんでーしたら、ママのまねしない!!」

「そうだぞトド松。内緒のキャンディーを食べたらママの真似はなしだ。さ、ほら、ママに見つからないようこっそりこのキャンディーを」

「きゃんでー!!」



俺の手からお気に入りのキャンディーを奪い取ると、トド松は一直線にキッチンにかけて行った。……え?



「あれ?トド松、その飴どうしたの?」

「パパがないしょのきゃんでーでママのあんあんしないって!」

「……え?」
「トド松、なにもかも違うぞトド松……」





この後めちゃくちゃ怒られた。
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