くだらないやつ その1
「じゃじゃじゃん、ここで問題です。」 「え?藤くん?ど…どうしたの急に…頭打った?」 保健室のベッドでふてぶてしく寝転んでいた藤くんが急に声をかけてきた。私は安田くんの帰り(なんかえっちな雑誌が見つかっちゃって、みのり先生に怒られてる…)を涼しい保健室で待っているわけです。その間に今日の数学の宿題を終わらせちゃいたいわけです。だから、藤くんに絡まれても結構、困るって言うか…ううーん…なんだけど… 「な、なぞなぞ?」 「そう、なぞなぞ」 のどが、ごくりとなる。だって、だって…!!小学校の頃から『なぞなぞマーダー』と呼ばれ、図書室においてあるいわゆる『なぞなぞ本』は、常に私貸し出し中で、何十人もの低学年生を泣かせ続けてきた…!!そんななぞなぞ好きなんだよう…!!ちくしょう!!藤くんに構ってる場合じゃないのに!!サイン・コサイン・タンジェルマン?ジェントルマン?…?をどうにかしなきゃいけないのに…!! 藤くんの手に輝く『ひっかけなぞなぞ!中二版☆』が私を惑わせた。 「私、昔ね…なぞなぞマーダーって呼ばれてたくらい…なぞなぞには熱いんだよ?いいの?藤くん、負けるよ?」 (負けるって、何にだよ…) 「まぁいいさ!!来いや藤くん!!けちょんけちょんにしちゃうかんね!!」 「じゃ、問題。舐められるとたっちゃうモノってなぁんだ」 「?!な、なめられると…なんて言った?!」 「舐められると、たっちゃうモノ」 ふ、ふじくんのばかああああ!!!!! お、女の子にそ、そそそそんなこと!!…言わせる気かぁあああ!?!? 「どうした?なぞなぞマーダー」 顔が赤ぇよ?って笑う藤くん…!!く、くそう…!!だってだって!!!!答えはわかってるよ!!あれでしょ?!アレなんでしょ?!分かってる!!知ってるもん…!!でも、なんか…!!い、いえないッ!!藤くんに向かって、そんな事…!!言える分けない…!!恥ずかしすぎて死んじゃう…!! 「はーい、お待たせ…って、なに?なんでお前顔赤ぇの?藤になんかされた?」 「なぞなぞしてたんだよ。安田にもきいてみたら?」 「や、安田くん…!!」 安田くんならきっと…きっと!!サクっと答えてくれちゃうはず!!めいっぱいの期待をこめて安田くんを見つめる。 「な、舐めると…舐めると硬くなるものってなんだ?!」 「え、 (問題変わってるし…あいつ、答え分かってて自爆したな) 「そんな、どや顔すんなよ。問題間違ってるし、『舐められるとたっちゃうモノ』だってば」 (あああああああああああああ!!!!!!) 「舐められるとたっちゃう…え、 (こいつらダメだな…)「じゃあ、ヒント。美作はでかい」 「ふッ藤くん!!!そんな話!!せ、せくはらだわよ!!」 「え?!じゃあ、美作と俺はどっちがでけぇ?!なぁおい!!」 「圧倒的に美作」 安田くんはありえない位へこんで、床に突っ伏してしまった…私は藤くんのセクハラ発言が耳に入ってこないように一生懸命ぎゅむうっと耳をふさいでる。と、ハデス先生が保健室に戻ってきた。あ、私は宿題もかねてお留守番してたんだよ!お帰り先生!!っていうか藤くんの暴走を止めて…!! 「あれ?どうしたのみんな…なんか、とりあえず安田くん、大丈夫?」 「せんせぇ…せんせぇ!!中学生だもん!!まだまだ成長するよな?!俺の…!!もっと立派になるよな?!美作にだって負けねぇよな?!」 「ん?ちょっと、ごめんね…何が言いたいか全然分からないや…」 「先生!舐められると硬くなっちゃうものって何?!」 「えッ?!なに、それ…?!保健体育…?」 「もう…じゃあ、大ヒント。お前も持ってる」 びしり!と(指したわけじゃないんだけど…)藤くんが私を指差す…?! 「お、おまえ…!!」 「そ、そうだったの…?!」 「え…?!ち、ちがう…!!私、女の子だもん…!!」 「先生は多分、全校生徒のそれを見た事がある。場合によっちゃあ触った事もある」 「「せ、せんせい…!!」」 「…?!ご、誤解だよ…!!僕はそ、そんな趣味…!!」 「ちょ、先生!!こっち来ないでください!!」 「せんせぇ…うっ、う…自首してください…!!」 「え、ええ?!」 (答え『腹』だっつうの…) くだらないッ!!ごめんなさいッ!! |