氷室辰也と白ワイン
白ワイン/氷室辰也

ローテーブルに置き去りにされた1つのワイングラスと1つのワインボトル。グラスの中にはたっぷりの白ワインが注がれてて、それでもそのワイングラスを用意した人間は、フルーティな香りを漂わすその白ワインにまだ一口だって口をつけていないようだった。まあるいグラスはワインがどれほど美味しく冷えているのかを語るように表面にたっぷり結露していて、ちょうど喉が渇いていた私を誘惑するようだ。さぁ私を飲んで飲み干して?優しく語り掛けてくるように穏やかな水面、グラスの表面の水滴が、耐え切れずにつっとグラスの輪郭をなぞり滑り落ちるのと同時に、私はごくりと生唾を飲み込む…「あっこら!俺の!」カウンターキッチンからひょこっと、片手に英語表記のドでかいチップスの袋と、アツシがうちに貯蔵していたまいう棒を数本持った辰也が現れた。ああ、白ワインを注いだままおつまみの捜索に発っていたのね辰也…。ソファにぐでんと寝そべってローテーブルに鎮座する3杯目のワインを眺めている私に、ため息をつく辰也。ぺたぺたとフローリングを素足でこちらに近づいてきて、ちょっと乱暴に私を押し退けて隣に座り込む。丁度しょっぱいものが食べたかった私は辰也にチップスをねだり手を伸ばす。ため息をつかれたけどちゃんとチップスをくれる辰也が私は大好きさ。「こんなに飲んで…ピッチ速すぎるぞ」ワインボトルを掲げて、電気にすかして中身を確認して小言を言われても、喉が渇いていたんだものーとチップスをぱりぱりやりながら答えれば、ぐっと手を引かれて、すっかりしょっぱくなった私の指をぺろっとべろんとちゅうっと舐めしゃぶる辰也

「ベッドには運んでやらないからな」

そんな顔で覆いかぶさってきちゃって、何がベッドよ色情狂
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