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昼休みになったとたん、みょうじが劇的に倒れたから急いで保健室に連れてったら、保健室がまるでパーティー会場になってた…

みょうじを担いだまま保健室に飛び込んだ瞬間、ハデス先生、アシタバ、鏑木、花巻、美作がぱーんと愉快にクラッカーを鳴らして(本好と藤はソファで弁当食ってる)安田くんお誕生日おめでとー!!的なことをばらっばらに叫んだ。…う、嬉しいけどさ…何?このグダグダな感じ…。あっけにとられてると、みょうじが目を覚ましてにこーって笑った。

「サプライズパーティーにようこそ!」

手を放してみょうじを床に落としてやった。いたーい!と騒ぐみょうじに、女の子にそんなことするなんてひどい!悪魔ッ!中二ッ!!と批判の罵声を浴びせる鏑木に美作。いやいやいや、君らね?俺がどんだけ心配したと思ってんですか?バカですか?ドッキリ?アホですか?パァですか?マジで、俺…みょうじ…死んじゃったら…ど、どうしよッう…って…!!保健室来るまでに、マジで涙でそうになって…そ、それで…最後かもしれないって思ってみょうじにちゅうしちゃったんだぞ?!なのに…みょうじ意識あったとか…?!俺、ただの変態じゃん?!色情狂じゃん?!サプライズパーティーとか気遣うんじゃねぇよ…!!ばッばか…!う、うれしいじゃねぇか…!!

「安田くんいらっしゃい、じゃあここ座ってね?」

ハデス先生が車椅子(『今日の主役』って習字が飾ってあったり、電球がいろんな色にちかちかしてる)を運んできて俺をすわらせて、テーブルまで運んだ。なんだこれ?俺病人?

テーブルには菓子とかジュースとかもう本当にパーティーみたいなお祭り騒ぎのようになってて、困惑しながらもテンションは上がった。俺が誕生日席で右側に美作、鏑木、花巻。左側にアシタバ、藤、本好。向かい側にみょうじ。先生の席に先生。なんかやばい会合っぽい…。

「えっと!改めまして!!安田くん!!お誕生日おめでとうございます!!」

立ち上がったみょうじ(鼻眼鏡装着済み)が意気揚々と謳い上げると。テンションバラバラな声がこれに続いた。藤と本好…祝う気ねぇなら来なきゃいいのに…。ちょっと切ねぇじゃん…そういう雰囲気出されると…。

「それじゃあ!時間もネタもあんまり無いので!花ちゃん!よろしくお願いします!!」
「はッ!はいいい!!」

なんかぶっちゃけちゃったみょうじ(パーティーグッズにまみれてる)に促されて花巻ががちごちになって運んできたのはバースデーケーキ。おおう…なんか立派だな…。

「え、っと…や、たすだくん!お誕生日、お、おめ…おおめ…」
「あ、ありがとうな花巻…」

どもりだした花巻は顔真っ赤にして頭ん中ぐるぐるですーって顔で立ち尽くしちまった。藤が「誕生日おおめってなんだよ」って笑った時、いろいろ爆発した花巻がばーん!!と立派なバースデーケーキを俺の顔にたたきつけた。…え?

「あっははははっはははっはは!!」
「安田くん?!大丈夫?!」
「ごごごごごめ、ごめんなさッ…!!」
「花ちゃん…大丈夫だよ!!安田くんはこんな事で怒ったりしないよ!」
「そうだよ花巻さん。気にかけるようなことじゃないよ安田のことなんか。」
「というか、ケーキがもったいねぇよな」
「お、お前ら…!!」

俺が立ち上がって藤とか本好に掴みかかろうとしたら、鏑木が肩を抑えて(力強ッ?!)苦笑いした。

「お、落ち着いて?安田くん?これ、私からのプレゼント」

はい!って差し出されたのは、なんか変なオーラを出してる奇抜すぎるぬいぐるみ(?)。保健室に飾ってあるやつら(アボカド)の仲間か何かか…?俺はその物体Xからなんだか病魔の気しか感じられなかったからそれを流れ作業的にハデス先生に回した。

「や、やすだくんひどい…!」
「あ、シンヤちゃん…!!」

保健室を飛び出していった鏑木を追いかけるみょうじ。なんだこれ?いや、だって…あのぬいぐるみは…プレゼントって…絶対嫌いなやつに贈ったり、死んで欲しいやつに渡したりするやつだろ…?!ハデス先生は笑って可愛いぬいぐるみじゃないかって言った。えー?!

「鏑木さん、大丈夫かな?」
「みょうじちゃんが行ったなら大丈夫なんじゃね?あ、安田。これ、俺からの誕生日プレゼント」
「うおおお!美作サンキュー!!これ俺の欲しがってたCDじゃん!」
「アイドル系以外にもお前ロックとかちゃんと聞かねぇともてねぇぞ?」
「いーじゃん!いーじゃん!!俺、もうみょうじいるし!」
「その余裕がムカつくぜ」

えー?誕生日に憎まれ口叩かれちゃったよ…

「あ、これは僕、と…本好くんから」
「二人から?なんか珍しいなッ!なに?これ?ニット帽?」
「う、うん…安田くんに似合うかなーって思って…」
「おう!アシタバサンキュー!寒くなってくる頃だしなッ!」
「うん、気に入ってもらえて嬉しいよ」
「で、なんでお前…ゴム手袋してんの?」
「あ…そ、それは…プレゼント、汚しちゃダメかな?って…」
「ほー!そんな気遣わなくていいのに」
「おい、なんかこの菓子腐ってきてねぇか?」
「ん?お、ホントじゃん!なんだこれ?!」
「安田、早くかぶってみなよ。きっと似合うよ」
「なんで本好ガスマスクなんてつけてんだよ?!」
「え?だって俺、体弱いから…」
「わッ、安田くん!早く帽子受け取って!手袋が溶けてきた…!!」
「は?!本好てめぇ帽子にどんな仕掛けしたんだよ?!」

美作、花巻が気絶してベット送り。アシタバの手のひらにイボが出来て、机の上の菓子やらジュースやらが紫色に気持ちよく変色した。…かぶってたりなんかしたら死んでた。最低はげてた。

「じゃあ、僕からはこれね。」
「『自分をコントロールするための10の方法』?」
「それと『自制心を育む』『思春期の悩み・解決法〜悩んでるのは君だけじゃない〜』の3冊だよ」
「よかったじゃん、安田に必要なもの全部そろってんじゃんか」
「はぁ、読むかどうかは分かんねぇっすけど…頂いときます」
「うん、読んでね?それと、お誕生日おめでとう」

3冊で計2.4kg。

「ほい」
「…」
「なんだよその反応?」
「藤麓介さん、これは一体なんていう嫌がらせですか?」
「は?何言ってんだよ?誕生日プレゼントだろ?みょうじが用意しとけって言うから…」
「いやいやいや…プレゼント?ガラじゃなくて?」

伊勢えびのオブジェ(半分)(少し身が残ってる)(臭う)(確実に弁当に入ってた伊勢えびの残骸である)。

「あ、そろそろ午後の授業が始まるね」
「あー、めんどくせぇな…先生、俺もとよしの毒ガスの所為で調子悪ぃ。午後寝させて」
「え?!大丈夫?じゃあベッドの用意するからちょっとまってて…」
「先生、俺の薬品は鈍感で無神経な人間には効かない様になってるんで大丈夫です。」
「も、もとよしくん…。…安田くん?大丈夫?もしかして安田くんも毒ガスで気分悪い?」
「だから、俺のは無神経な人間には効かないって…」
「安田くん、もしかしてみょうじさんが居ないから寂しいんじゃないかな?」
「ええ?!安田くんにも寂しいとかあるんですか?!」
「アシタバくんってたまに俺より失礼だよね。素な分。」

クリームまみれになってた顔を洗って、午後の授業に出たけど、みょうじは教室に居なかった。鏑木はクラスが違うからどうかわかんねぇけど…。帰りのSTには花巻も美作も戻ってきてたけど、みょうじはやっぱり戻ってこなくて、B組のやつに聞いたら鏑木も戻ってないらしかった…。あーあ、せっかくの誕生日なのにな…。みょうじが居ないんじゃなー…。鏑木に酷い事したとは思うけどさ、みょうじまで連れてっちゃうこと無くね?まぁ、みょうじが勝手に追いかけてったんだけどさ…俺よりも女友達取ったってことかー…せつねぇ…うらむぜ鏑木…。

「帰るか…」

もうほとんど空っぽになった教室で、みょうじのかばんも持って帰ろうとしたときに、ポケットでケータイがなった。

『保健室に来て下さい』

みょうじからだった。

!ヘツヅク
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