よ!
カキ氷機のほうに戻るともうハデス先生とシンヤちゃんが片づけを始めてた…。え?!まだ…だめなの…!!片付けちゃ…

「あっ!!まだ片付けないで…!!」
「なに?みょうじ、まだ食いたりねぇの?」

隣に立ってる藤くんが笑う。本好くんは保健室に戻って、明日葉くんはシンヤちゃん達のお手伝いに走ってった…。さっきの女の子はどっかに行っちゃって…やっぱり安田くんはまだ来てなかった…。

「やすだくんが…」
「…安田?」
「うん、安田くんも一緒にカキ氷しようって誘ってて…来るって言ってたのに…」

藤くんにぐってすごい力で二の腕を握られる。い、いたいっ!!なに?!どうしたんだ藤くん…!!やめてって言おうとして藤くんのほうを見ると、すっごい苦しそうに口をぎゅうって噤んだ怖い顔をした藤くんが私をにらんでた。

「なんで…」
「え?」
「なんで安田なの?」
「…?」
「俺、安田呼んでいいって言ってねぇじゃん」
「あ…ごめっ」
「いっつも安田安田ってさ…なんなの?そんなに安田がいいわけ?」
「…藤くっ」
「なぁ、みょうじ…俺じゃだめなの?」
「…っ」

ぎゅうって二の腕を掴む力が強くなる…藤くん…藤くんじゃないみたいで、こわい…

「なぁ!!黙ってないでさ…!!」

ヴーヴーヴー

「あっ…!!ごめんね…電話だ」
「…」

び、びっくりした…!!でもよかった…電話してくれた人ありがとう!!

「もしもし、あ!!安田くん?!もう!!遅いよっ!!もう氷片付けちゃったよう!!どこまでお買い物行ってたの?!え?あ、道迷ったの?!えー?!そんな遠くまで?何買いに行ってたの?!へ?練乳?うん、うん…え?!ガンシャ?なに?!目医者さん?もう!なんでもいいよ!!迎えに行くから、待っててね?!うん…うん…じゃあね」

電話をきって藤くんがなにか言う前に先に口を開く。

「安田くんが迷ったって言うから…迎えに行ってくるね!!」
「…もうみょうじなんて戻ってこなくていいよ」
「ええ?!ひ、ひどい…!!」
「嘘だよ。はやく行けよ…もう」
「うん…ごめんね藤くん!!」

学校の門をくぐってどっちに曲がろうかと悩んで、きゅって止まったら学校の塀にもたれて安田くんがいた。…いた!!

「安田くんっ!!迷ったんじゃなかったの?!」
「…俺がいなくてもすげぇ楽しそうだったじゃんか…」
「え?!」
「…なんか、藤とも仲良くしてたみたいだし?」
「…安田くん?」
「練乳買ってきてさ、みょうじにいたずらしようと思ったらさ!!なんかみんなすげぇ楽しそうにしてんじゃん?入りずれぇって」
「…やすだくん…もしかして、妬いてる?」
「べっっっつにー!!」
「みんなと一緒にいて楽しかったけど…安田くんがいなくて寂しかったんだよ?」
「…ふーん」
「まだ来ないかなあって…ずっと待ってたんだよ?」
「…」
「好きなのは安田くんだけだよ?」
「…分かった」

拗ねてつーんとしてた安田くんの顔がどんどん赤くなってった。かわいいなあ…本当に私、安田くんのことばっかり考えてたんだよ?そう言って手をぎゅうってつないだら、安田くんの反対側のレジの袋を持ったほうの手がぎゅうって握られて、緊張してるのが分かった。あ、本当に練乳買って来てくれたんだ…宇治金時のためかな?あ、でもさっきガンシャって言ってたな…なんだろう?それにいるのかな?

「やすだくん?練乳何に使うの?ガンシャ?って…わたし手伝う?」
「みょうじお前意味分かってて言ってんの?!」
「ううん、わかんない。でも安田くんがやりたいことなら手伝うよ?」
「おまっ!!おっまっ!!!しらねぇよ?!もう!!」
「えー?!」

「安田くん…!!みょうじさんにあんな恥ずかしいこと言わせて…!!ずるい!!」
「え?!鏑木?!ずるいって何?!」
「なんか…先生は一教員としてあいつら放っといていいの?」
「う、うーん…自然発生したものなら仕方ないんじゃないかな?」
「とりあえず俺は安田がちいさい不幸にたくさん見舞われればいいと思うよ」
(みんなそうだよね…!!)


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