14.自己満足
休み時間に自分の机に頬杖を突いてじゃがりこをぽりぽり摘んでる私のことを、静かにこの世の終わりみたいな顔で見下ろす玲央ちゃん。玲央ちゃんはその美貌維持とスポーツ選手として健康管理をしっかり食べ物飲み物から徹底してるから、こんなぽちゃボディ幼児体系甚だしい私が間食してるのが許せないんだろう。前の席のイスに腰掛けて、私から残りの入ったじゃがりこを取り上げて、その辺のクラスの子に横流ししてしまった…そ、そりゃ無いよ玲央ちゃん…「あんたねぇ…きゃあッおなまえッ!あんた何よその眉ッ!!」食べかけのじゃがりこを口にくわえて、ハンドタオルで指を拭いてから前髪を掻きあげうへへっと笑って見せれば、今度こそ玲央ちゃんは世界が終わった顔をした。昨日の夜まゆの手入れを失敗してしまったのだ、わはは!テレビ見ながらやっちゃダメだねって笑うと、玲央ちゃんの白魚のような指先が私のおでこに触れた。中指薬指で前髪をよけて、親指でそっと私の失敗まゆ毛ちゃんを、可哀相な捨て犬でも哀れむように優しく撫でる。綺麗な顔を、なんの気兼ねもなく私の顔に寄せる。じっと、まゆを観察して、よしよしとでも落ち着かせるように親指で何度も私のまゆを撫ぜた。「ポーチ」「はい玲央さま」言われるがままカバンから自分のポーチを取り出すと、玲央ちゃんはまるでそれが自分のもののように、ポーチの中のまゆハサミやら毛抜きやらを自然に自在に取り扱って、私のまゆの応急処置を始めた。優しくて、でもしっかりとした手つきで、私のまゆを改善していってくれる。「今度からまゆのお手入れの時は私を呼ぶのよ?いい?分かった?」「うぇーい」仕上げに、私の頬に手を添えて、親指でまゆの形を整える。私のまゆに注がれる玲央ちゃんの視線は私の視線とぶつからない。あたたかい手と優しい親指「ほらっ出来たわよ、おブスちゃんッ」頬に添えた手で、そのままぎゅうっと私の顔を押しつぶし、満面の笑みで私のおでこにおでこをぶつける玲央ちゃん。「うふぃあ、あうぃわひょ〜」私の頬をむにむにと遊びながらきらきら輝く玲央ちゃんの笑顔「おなまえ、あんたサッカー部の松くん狙いなんでしょ?気ぃ抜いてちゃダメダメよ?」イタズラっぽく笑って、私の鼻先にぴっと人差し指を突きつける。…ああ、そうそう…そうだね、玲央ちゃん…私、「じゃあ、また、お買物ついて来てくれる?」首を傾げれば「あったりまえよ」即行でウインクを飛ばしてくれる玲央ちゃん。ああ、玲央ちゃん…玲央ちゃん、誰より可愛くって誰よりかっこいい。こんな私じゃあどうすれば玲央ちゃんと一緒にいられるのか分からなくて、明日は私、片手だけネイルを忘れてくるね?

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