18.アルバム
あっちゃんの部屋で小学校と中学校の卒業アルバムを見せてもらうと、想像通りというかお約束というか当たり前というか昔からあっちゃんはぐんぐんと大きかった。幼稚園の頃も大きかったの?ってきけば、家族には生まれた時からおっきかったって言われるーとお菓子をもぐもぐするのをやめることなく返された。あっちゃんはよく食べるもんねそりゃあ大きくなるよねきっと赤ちゃんの頃にはいっぱいお母さんのおっぱい飲んだんだろうね授乳終わっても哺乳瓶とかそういうの口から離しそうに無いもんねあっちゃん。「おなまえちんの写真はないのー?」おかしを一袋ぺろりと平らげたあっちゃんが私を後ろからぬっと抱き込んで、それまで私が執心してた中学の頃のあっちゃんの部活別写真のページを開いたアルバムをぱたんっと閉じた。「えーアルバムなんて実家においてきてあるし…むしろあっちゃんが寮にアルバム持ってきてるほうが疑問だよ」部活の人が見せろってうるさいから、って言いながら私の手からアルバムを奪い「てかおなまえちん、俺いんのにアルバムばっか見すぎだし」ってアルバムをどこかにぽーんと投げ捨ててしまった。そんな乱暴に扱っちゃダメでしょ!と注意してやりたかったけど、苦しいくらいにぎゅうっと抱き込まれて「ぐへっ」とか可愛くない声が出た。「何その声、かわいくねー」分かってるかわいくねーことわかってるから腕の力緩めてくれあっちゃん内臓が、内臓がでる…「おなまえちんはさー中学の頃もそんなかわいくねー声出してたの?小学校の頃からそんなちっちゃかったの?」私の肩にぐりぐりおでこを押し付けるあっちゃんの声はくぐもってて、ちょっぴり聞き取りづらい。てか私特別ちっちゃくないしあっちゃんがでかいだけだし今のかわいくねー声だってあっちゃんがぎゅーってするから不可抗力で出た声だしてかちょっ!あっちゃん!何が気に入らないのか?!肩に噛み付くのはやめて!私おいしくないよ?!「どうしたあっちゃん、おなか空いたか?」「昔のおなまえちんが食べたい」「無茶言うんじゃないよ、この子は」彼なりの独占欲なのか子どもっぽい秘密主義なのか俺が見せたんだからお前もアルバム見せろよ〜のノリなのかわからないけどとにかく可愛くって私を求めてくれているようなのでにやにやを堪えながら、その体に見合った大きめの耳にキスしてやれば「…そこじゃねぇし」って真っ赤な顔でキスされた。

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