26.ショートケーキ
土曜日のお昼過ぎ、お昼ご飯が足りなかったわけじゃないけどどうしても私の舌がショートケーキを食べたい!ふんわりスポンジになめらか生クリームすっぱいイチゴの味が欲しい!と嘆いて仕方が無かったので近所のコンビニに入ったら、丁度休日練習が終わったばっかりらしいバスケ部の子達と鉢合わせた。棚からぽこぽこと飛び出した色とりどりの頭を、コンビニの入り口からぼうっと眺めている私にいちばんに気がつたのは赤司くん「やあみょうじ」「赤司くん、こんにちわ!部活?お疲れ様だね!」みんなに近づいていってこんにちわの挨拶を交わす。みんな練習上がりの空腹を我慢できずおうちにたどり着くまでにおなか空いて倒れちゃわないように軽く何か食べてから帰ろうということになったそうで、なんだか私の中で赤司くんと買い食いってどうしても繋がらなくて「赤司くんも買い食いってするんだね」ってついうっかりこぼしてしまうと、赤司くんは怒ったりせず「俺だってからあげくんくらい食べるよ」って笑った。失礼なこと言っちゃったのが恥ずかしくて笑った赤司くんがかっこよくて私は無駄にへこへこしながら「私はショートケーキを買いに参ったしだいであります」なんて言いながらデザートコーナーへ。冷蔵陳列棚から溢れるひやっとした空気で赤くなってるだろう顔を冷やしてると、黒子くんがひょこっと顔を出して「みょうじさん、僕ら先に帰りますんで。お気をつけて、また月曜に」って丁寧に挨拶をしてくれた。私も手を振ってそれに答えて、無事にショートケーキを買ってコンビニを出た。ら、「どこかよって行こうか」からあげくんが入ったコンビニ袋をぶら下げた赤司くんが居て、まんまとつかまってしまった。状況(コンビに近くの公園のベンチ)はどうあれ、となりでつまようじでからあげくんを食べてる赤司くんに「食べないの?」って私の膝の上のショートケーキをさされれば、食べたいです。だってこれ食べたいがためにコンビにいったんだもん。でも、なんか恥ずかしい。となりに赤司くんが居るのに何かを食べるって言うのが・・・なんか「俺のことなら気にすることないだろ」また笑った。「な、なら…頂きます」ざらっと荒いけどふわっとしたスポンジ何故か粉っぽくて甘すぎるちょっと固めの生クリーム硬くてすっぱいイチゴ。コンビニクオリティのショートケーキでも2つ入り298円の安物でも私には十分美味しくて顔が緩む「おいしい〜」間抜けな声を漏らすと、また隣で赤司くんが笑った。からあげくんをもう1口、もぐもぐかんで、ごくんと飲み下す。「みょうじはショートケーキの原価を知ってる?」「んぐ?」「一切れ300円程度のショートケーキなら原価は15〜30円くらいらしいよ」え、じゅ、じゅうご・・・から、さんじゅ・・・え?「みょうじのその美味しい笑顔も15〜30円ってわけだね」「えっ、ちょ、赤司くん、ひどくない?!」「『赤司くんも買い食いとかするんだね』〜」「あ!うわ!根に持ってる!!」「もってないもってない」「ごめんね?!怒ったなら言ってくれればいいのに!!」「あーからあげくん美味しいー」

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