ノンストップ森山くん


「なぁ笠松!きけよ笠松!」
「うるせぇよ、ちゃんと聞いてるだろ」

いやいや笠松、かーさーまーつー!!話してる人の目を見てなかったらそれは真に話を聴いていることにはなんねぇんだよー!ならないのだよー!ってこれなんだっけ?なのだよーってなんだ?まいいや、とにかく笠松!!お前マジで俺の話聞けって聞けって聞けってー!!月バス読んでる場合じゃねぇんだってー!!イスを反対に向けて笠松の机挟んで向かい合ったその強肩を掴んでがくがく揺すぶればいい加減ブチ切れた笠松がようやく俺の方を見た(殴られた)。

「俺さ!好きな人が出来たんだ!」
「みょうじだろ?昨日もきいた」
「愛してるんだ!」
「一昨日もきいた」
「だから、告白したいんだ!!」
「勝手にしろよ」

イスからバーン!と立ち上がってうんざりした顔の笠松に人差し指をズギャーン!とつきたててれば、信じられないくらい冷たい顔で手を叩き落とされた。それでも俺の恋は冷めないし、みょうじさんへの思いは絶対だし、人差し指なんて消耗品じゃないんだ!何度だってかざして見せるさッ!!

「だから俺!調べてきたんだよインターネットで!」
「またインターネットかよ…」
「いや、今度は女性ユーザーが多い信憑性の強いサイトをだな!」
「懲りろよ、ほんと…」
「ババーン!『相手を誘うエロチックな動作』どうだ!笠松!お前には少し刺激が強すぎたか?!」
「…お前、告白したいんだよな?みょうじに」
「さぁ!思い立ったが吉日…!!俺は行くぜ笠松ッ!!午後練で会おうぜ!!」

抑えきれなくなってきた激情とみょうじさんへの想いで、もう居てもたっても居られなくなってきた俺は走り出すことしかできなかった。ひやっとした視線を感じながらも、教室を出る際に出入り口で礼は忘れない。だってここ俺のクラスじゃないし。廊下に出るとマイスウィートハニー(に近々なる予定の)みょうじおなまえさんが待つ、我がクラスへと駆け出す。ああ、眩いくらいの晴天の向こう。高い位置をのんびりと漂う真っ白な雲に乗った運命を司る神様か天使かなんだかんだ!俺とみょうじさんの近い将来、その真っ赤なハートをこしらえた愛の弓矢でがっちり射止めちゃってくれよ!よろしく!!


「付き合っても無いのに…相手を誘うエロい動作試してどうする気だよ…」


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