はじまりの月曜日
ああ、赤司くん…なんで赤司くんってあんなにかっこいいんだろう?なんであんなにも輝いているんだろう?輝いているのにどこか人には触れさせない闇?ダークサイド?を持ち合わせたような…私の脳みそじゃ理解しきれない深度の神秘さを持っているんだ…かっこいい…眩しい光を煩わしそうに額に手をかざす仕草とか、ぴーんとした綺麗な背筋…同じ制服のはずなのに誰よりも完璧に着こなしてしまう抜群のスタイル、綺麗な赤い髪…ねこみたいな目…ああ、かっこいい…かっこいいとか言う簡単な言葉で終わらせていいレベルじゃない…でも私はあんまり頭がいいほうではないのでたくさんの気持ちをこめてこめてこめまくって、幸福感と充足感のため息とともにつぶやくのだ

「はぁう…赤司くんかっこいい…」
「でた、おなまえの赤司くん病」
「みょうじちゃん、本当に赤司くん好きだよねー」

そうなんです私赤司くん大好きなんです。実は洛山には「赤司くんファンクラブ」が存在するんだけど、それには所属してないんです。だって、ああいう事を集団でやるって言うのはちょっと理解が出来ないんだ…。3年の先輩たちのコネで赤司くんとおしゃべりしたり、ちょっとだけ練習見せてもらったって言う子が居るけど…もちろんそんなの羨ましすぎるんだけどッ!!でもでも、そんなのって赤司くんにしてみればただの迷惑行為じゃないんだろうか?分からないけど…知らない子に馴れ馴れしくされて嬉しいのだろうか赤司くんは…?いや、そんなの嬉しいわけないよ…!!そうだ絶対にッ!!って、思いたいのは私が赤司くんの事好きだからであって…本当はどうなのか分からない、よ…ね…。女の子にちやほやされて、赤司くんって嬉しいのかな…もしかして私が知らないだけで、もう彼女とか…いたりして…。あー、だったら嫌だなァ…あーいーや、でも…赤司くんが幸せならば私はそれが幸せなんだし…んー、でもやっぱり赤司くんのこと好きだし…だからって、私が万が一、億が一!!赤司くんの彼女とかに…なれたらそれって…それってどうなんだ?!ちょ、現実味が無さ過ぎて妄想すら追いつかないけど…もし…もし、赤司くんとおしゃべり、できたり…さらには、一緒に、下校…!!とか出来たら…それは私、宝くじが当たったくらいに大はしゃぎするなァ!!

「ってかおなまえはファンクラブ入らないのなんで?」
「…うーん、だってさぁ…なんか、ああいう追っかけって…品がない」
「みょうじちゃんも、よだれたらしながらはぁはぁ言うのは品が無いよ」
「こっこれは…!!コレは違うよっ?!コレはあの…今日あったかいからッ!!」

赤司くんの事おいかけまわしてきゃーきゃー言いたいわけではない…。ただ、学校でふっと赤司くんが視界に入ると…それだけで空気が新品になって、全部の事がきらきら輝いて、私みたいな女の子でもなんだかとってもすごく世界の中で意味のある存在になれたような…それでも赤司くんに比べたら道端の石ころみたいなんだって思い知らされるような…不思議な感覚が、きゅーんと体を駆け抜けていく…のが、ただただ好きなだけなんだ…。そして赤司くんはとっても素敵でとってもかっこよくてとっても頭が良くてとってもとっても…とっても赤司くんなんだ…!!だから、仲良くなりたいとか、恋人になりたいとか大それた事は望んでないんだよ…。ただ、こうして同じ学校に通って居るからには、私としては赤司くんが楽しくなるために、嬉しくなるために(あるいは悲しくならないように、不快な想いをしたりしないように)微力ながらも影ながらでも…私が出来る事ならばなんだって赤司くんのためにしてあげたいんだ…!!ああ、でも、もし…もしも私が、あ、あ…あかしくんと!!恋人同士とかになれたら…なれちゃったら…!!

「わたし赤司くんの為ならどぶとか食べれるよ!!」
「…きみ、面白い事を言うね?」

友達に向かってわたしの確固たる決意をガッツポーズ+ドヤぁで見せ付けてやると、2人は心底驚いた顔をしていて…わたしは、わたしはといえば…頭上から降ってきた聞き慣れない、甘くて低い声に…驚いて…振り、返った…ら

「あっ…か!あっわ…わっ、なっ」
「みょうじおなまえさんだよね?隣のクラスの…」

声が出ないし、頷くことも出来なかった。今、目の前に居るのは、天使でも神様でも悪魔でも大仏様でもないけど…わたしはその存在の偉大さに圧倒されて、腰が抜けそうになった…。あ、かしくんが…こ、こんなにも…近くに…あ…、…だめだ、気絶する…

「僕の為ならどぶでも食べるって本気?」
「へっ?!え…あ…、の…」
「そんなに僕に心酔してるんだ?」
「あ、あ…あ」

ぐっと近づく赤司くんの顔…あ、の…!!心臓から口が出そう…あ、違う…口から心臓でそう…訳もわからずこくこく頷く。とにかく赤司くんの目は私に何も許してくれなくて、実は左右の目の色が違って、その目に魔法でもかけられちゃったみたいに私は赤司くんに止められるまで首をこくこく頷き続けた。自分がとんだ大告白をして居ることに気づいたってやめられなかった。だって赤司くんの事、好きなのは本当だし…これから、もう二度と…こんな風に赤司くんとおしゃべり(になってないけど)出来るチャンスが来るかどうかなんてわかんないんだから…。

「ふふっ、じゃあ明日から5日間テストしてあげる。合格したら恋人になってあげるよ、みょうじさん」

赤司くんがにっこり微笑んで、瞬間、宇宙が、爆発した。
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