べりーおしゃべり
つうかよおう、なんだい男鹿くんなんで?ほ?だってさアンタ石矢魔出て行く時に言っただろ?「まっぴらごめんだ」って言ったねな?…なんで?俺の事結局どう思ってたわけ?え、もともと好きだったけど(知ってるけど…寝言で言ってたし…)男鹿くん私がなんて言ったかちゃんと覚えてないの?あん?「高校生なんてまぴらごめんだよ」男鹿くんいまいくつ?…18ね?高校生?今日卒業しましたね?…?…あんたさ、なんかもっとねぇの?ん?なんかとは?だァかァらァ!!「好きだけど、高校卒業までは〜」とか「卒業した頃にまた会いに来る〜」とか…!!あーなンも無しに居なくなるか?!好きな奴の前から!!うー、私だって辛かったよ?ぐっ…でも、やっぱり私が思わせぶりな事言ったほうが男鹿くんにはよくないと思ったし、実際自分の気持ちにも踏ん切りがついてなかったし…でも男鹿くんと距離置いて、新しい生活が始まって…やっぱり男鹿くんの事好きだって思ってお、おう…だから、待とうと思ったの。2年2年そう、長かったよ…2年…うんあれ?男鹿くんも?は?!男鹿くんも2年、私の事思っててくれたの?辛かった?な…!!あ、そりゃ…その…まぁ…ふふ、ありがとう。やっぱり男鹿くんの事好きで良かった…よく、そんな小ッ恥ずかしい事言えるな…だって本当だもーんふうん…男鹿くんは?は?好き?私の事…さっき言ったろ?もっかい2年間好きでいてくれたんでしょ?じゃあ言って、2年分言ってなんだよ2年分って…これからすれ違ってた2年分のお互いの気持ちを埋めあって行こうと言う魂胆です…なんだそれ言って、とりあえず1回でいいよ男鹿くん…うーんね、私は男鹿くんの事好き。…うん男鹿くん…すきはっはっはっはっははは!!!!!男鹿くんかわいー!!はははは!!





みょうじが俺を家まで送ってって、車を降りた時にふと思い出したことがあった。

「そういえばよ、あのーベル坊たちの事…」

石矢魔の人間はみんなヒルダたちが魔界に帰るときにヒルダから本当の事(魔王の子とか侍女悪魔だとか)を聞かされてアイツが俺の嫁とかベル坊が本当の俺の子どもだとか言う誤解は解けている。が、みょうじは知らない。こいつは石矢魔に居たときヒルダに1度会っているわけだし…なんかその、誤解…とかされてると…今後の、その…俺たちの関係に何かしら支障が出るかもしれない…。誤解を解いておかねばと思って口を開いたが、みょうじは俺が説明を始める前に笑ってしゃべりだした。

「うん!ヒルダちゃんのことだよね?大丈夫!お母さん達に聞いたから」
「お、そうか…それならよかっ…た?」
「うん、私もてっきり男鹿くんとんだプレイボーイだなーって思ってたけど…勘違いだったんだね!よかったー!」

…今こいつなんつった?

「…お母さん、達?」
「そう、男鹿くんのお母さんと美咲さん」
「…?!い、いつの間に?!」
「男鹿くんが学校言ってる間に」
「なんで勝手に家入ってんだよ?!」
「えー、だって一応ご挨拶しておかなきゃって…」

嫌な予感に背筋が凍る。かけてもいい…絶対に、絶対に…母さんと姉貴にみょうじとの事ひやかされる茶化される笑われる…!!あいつらはそういう奴らだ…!!みょうじがどんな話を二人にしたかは知らねぇが(どうせろくな事言ってねぇだろうが)家に帰ったとたんに絶対に馬鹿にされる…!!

「お母さんもお姉さんもいい人だねー」
「そんな事ねぇ、絶対に」
「えー?そうかな、私なんだかすっごく安心しちゃった」
「…お前どんな話した…?」



男鹿くんのお家、近所に住んでたけど初めてインターホンを押す。なんだかドキドキするなー男鹿くんのお家…お母さんとか、どんな人なんだろう?男鹿くんのお母さん…大きくて、力が強くて…つり目?そんな感じ?お父さんとか…どんな人なんだろう…緊張するなぁ!!ああ!でも私は今から「お宅の息子さんと交際させていただきたいのですがよろしいですか云々」を宣戦布告しなければならないわけで…そして男鹿くんにはその、ヒルダちゃんと赤ちゃんが居るわけであって…ああ、その真相を突き止めるためと、もしも本当に男鹿くんの奥さんと赤ちゃんだったなら学校帰りの男鹿くんを車に乗っけて私は遠くに逃げるつもりだ…!!なのに反面ご両親に交際のお許しを頂きたいと思ってご挨拶に来てしまった…!!ううああ、色々てんぱってるんだなーわたしも…。だって…男鹿くん…だもんな…緊張しちゃううああ…!!

「はーい…て、ええっと…どちら様?」

なんか若い女の人(おっぱいがおおきい…!!)が出てきたッ!!お、おがくん…ヒルダちゃんだけじゃ飽き足らずこんなおっぱいの女の人をおうちに囲って…?!晴れやかな笑顔が感じのいい女の人が春にはちょっと薄着過ぎないか?って感じのラフすぎる格好でぬっと玄関から出てきた。お、おどろいた…一瞬でひるんでしまった…

「あ、のお!は、初めまして…!みょうじおなまえと申します!!本日は、あの…ご、ごあいさつ…お、おお男鹿くんッを頂きにご、ご挨拶に参りまみまッみょうじおなまえとも、もうみましゅッ!!」

…死にたい。顔を真っ青にして緊張と羞恥から沸き起こる吐き気を抑えようと必死な私とは反対に女性は足腰つぶれて崩れ落ちて床に突っ伏して大爆笑を始めた。その大きな声に驚いた男鹿くんのお母さん?らしき女性が早足に玄関まで出てきた。

「なによ美咲あんたお客さんの前で…」
「うっひひ、お、おかあさッお母さん…ひひひッこの人…ははははッ!!」
「はぁ?アンタ何言ってんのよ、すみませんねもう…えっと、どちら様で?」
「…申し訳ございません、みょうじおなまえと申します」

崩れ落ちた美咲さんを担いでとりあえずお家の中にお邪魔させてもらった…のはいいけど…この人男鹿くんのお姉さんなんだぁ…豪快で美人で…おっぱいがおおきい…。じゃなくって!!お部屋に上げてもらうとなんかすごく慣れた手つき?でおもてなされてしまった…!!ソファに促されている間にお茶とお菓子を出してもらっちゃった…。いやいや私はそんな上等なお客様じゃないんです…!!お宅の息子さんを頂きに参った招かれざる客なんです…!!だけどお茶がとっても美味しそうな匂いするので頂いちゃいますー!!

「じゃなくて!!」
「みょうじさんってなんだか情緒不安定な人だねー」
「失礼なこと言うんじゃないの!感情表現豊かって言いなさい」

お姉さんとお母さんを前に、男鹿くんのお話をするのはちょっと気合が要ったけど…学生の頃男鹿くんからただならぬアプローチを受け、それから2年経て教師と生徒という立場的問題を解決した上で1人の女として男鹿くんを迎えに来ました…!!的なことをお話しするとお姉さんもお母さんも大爆笑して机の影に隠れてしまった。…え、えー

「た、た…辰巳ッあの子…!!学校の先生ッって…!!」
「禁断すぎでしょッ…!!ってか、辰巳可愛いッかわッひひひ」
「えーっと、すみませんお二人とも涙を拭いてください」

とりあえず、なんか…お母さんとお姉さんは私と男鹿くんの事反対は…してない?なんか爆笑はしてるけどこれって怒ってるんじゃないよね?爆笑してるって事は怒りとか悲しみとかは無いよね?違うよね?…そして私としてはヒルダちゃんのお話をしたいわけでして…

「まぁみょうじさん可愛いし、先生してんなら安心でしょ?」
「そうね、ちょっとおっちょこちょいなところあるけど…」
「ヒルダちゃんといい、みょうじさんといい…辰巳が連れてくる子ってなーんかどっかアレよねー」
「ふふふ、そうねー…懐かしいわねヒルダちゃん」
「あ、の…!!その!…ヒルダ、ちゃん…の事なんですけどッ!!」

手をぎゅうっと握り締めて飛び出しそうな心臓を一生懸命抑え込む。汗がぽちぽち出てきて唇がふるふるする…。もしも、ヒルダちゃんが本当に、男鹿くんの奥さん…とかだったら…どうしよう…本当に最終手段・男鹿くん連れ去り拉致監禁的アレを実行するほか無い…!!

「ああ、ヒルダちゃんね。大丈夫だよ」
「いい子だけど辰巳とは夫婦でもなんでもなかったの」
「ベル坊もねー、辰巳の子じゃなかったし」
「というか普通に考えて髪と目の色が…ねぇ」
「本当だよねー!!はははは」
「はははは」
「「はははは」」



「って事があったんです」
「…俺の事拉致る気だったのか」
「てへッ!!」


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