目が覚めると…ってぇよりは、気がつくと。気がつくと俺はみょうじのベッドで肩まですっぽりシーツに包まれて寝ていた…ん?寝ていたんだけど、起きたわけだな。ベッドのすぐ横には窓があってそういえばカーテンが閉められていなかった所為で太陽がさんさんと眩しすぎてムカつくぐらいに輝いていて容赦なく俺の寝起きの顔を照らした。…あ、朝になってるー…。一瞬で焦ったけど、まぁ寝過ごしたものはしょうがない…ちょ、でも…これあれ?あの…お、おと…お泊りじゃね?これが噂のお泊り…?!え、あ…マジでかッ?!うわああああ!!

昨日の夜の…いや、夕方くらい?の…その、アレ…。…初めてのソレの所為の緊張とか興奮とか、あの…きもちいいのとかで心身ともに燃え尽きた俺はみょうじがシャワーから戻ってくるの待てずに寝ちまって…、…寝ちまって?ん?で、俺なんで起きたんだっけ?なんか音がしたんだよな…バタンっ見たいな…ドア開ける?閉める音がしたような…なぁんだっけなァ…。もっかい目を瞑ってさっきまでの夢と現実の間みたいな変な時間の自分の思考を巻き戻してみる。鼻をすするとスンっと乾いた音が部屋に響いた。

なんか…誰かにキス?された?頬を撫でられたり頭撫でられたりした気がするけどそれが夢なのか現実なのか、それとも極端にどっちかってわけじゃなくって現実と夢の間で俺が勝手に望んだ現実味のある夢を見てたのかも知れない…だとしら、きっとそのキスとかしてきた相手ってのは…

「…みょうじッ?!」

そういえばベッド、俺しか居ないッ?!みょうじが居ない事に焦って急いでシーツを剥ぎ取ってベッドから飛び上がると鏡台に映った自分が素っ裸でビビッて一通り叫んだ。長い時間何も飲んでない俺の喉はかれてて、いつもより野太くてかすれた声が出てそれについてもちょっと叫んでおいた。あたりを見渡すとベッドの枕元に俺の服がちゃんとたたんで置いてあって、ジーパンの上にいつの間にか乾かされていたTシャツ(昨日の夕方にはまだ濡れていたはずだった)、そして一番上に可愛くころんっと丸められたパンツが絶妙に転げ落ちそうで落ちずにTシャツのくぼみに収まっていた。

素っ裸のままじゃ落ち着かないからとりあえずパンツとズボンだけ蹴り上げるみたいに乱暴に無理やり穿きこなしてTシャツを手に持ったまま部屋の中を散策し始めた。みょうじの名前を呼んでみても反応はないし、およそ人が居るようには思えないくらい部屋の中はがらんとしていた。気配すらない。焦った。Tシャツを着ようにも、体中に皮膚を痛く刺すようにぷちぷちと汗がムリに湧き出てくる。キッチンを覗いて、リビングに戻って来て一応風呂とトイレをノックして洗面所もクローゼットも覗いて見たが掃除機とアイロン台、アイロンと冬物の服が丁寧に仕舞ってあってトイレットペーパーとか洗剤などの買い置きが薄い埃をかぶってじっとしているだけだった。

やることやって寝こけちまった俺に怒って(愛想をつかして)居なくなってしまったんじゃないだろうか?女としてはやっぱりああいう事の後は男に腕枕とかされながら寝ないと気が済まないもので、なのにアホのように眠りについた俺に絶望してしまったのか?自分に非がありすぎて冷や汗が止まらない…と、りあえず…電話してみよう…!!あと、謝ろう…!!

そう思いもう1度リビングに戻ると背の低いテーブルに置手紙と何かが置いてある事に気がついた。…なんだこりゃ?近づいて手にとって見ると、なんかの鍵らしい。片手で鍵をいじくりながらもう片手で置手紙を読む。…よかった、怒って出て行ったわけじゃねぇみてぇだな…

おがくんへ(・v・)

おはよう!よく眠れましたか?
今日は学校の子に早く学校に行くって約束してる日だったので、先におうちを出ます。おなかが空いたら電子レンジの中におにぎりがあるので食べてもいいよっ!

本当はもっとゆっくりおがくんの寝顔をみていたかったけど(おがくんの寝顔ってとうてい18さいの男の子の寝顔だと思えないくらいにかわいいです、知ってた?)あとねてるおがくんにちゅうしたり頭なでたりしたら寝たままにやにやしてたよ!おきてたの?そろそろ時間だから…、ざんねんです…

なので、なので?(ボールペンでかいてるからことば変でも書きなおしません)おがくんはお家に帰るときに部屋のかぎを閉めていってください。スペアキーを置いておきます。あ、これ…そうだね!おがくんにあげます。ぞくにいう"合かぎ"だね、ひゅーひゅー!あ、もう時間だ。

いってきまーす!あ、お昼ごろに電話しまーす!


先生って感じの読みやすい字で書かれた手紙を読み終わったとたんに色々感極まってぐっしゃあ…!!っと握りつぶしてしまった…な、こ…お、き手紙…かッわ、かわッ…かッ…!!!うわ、可愛い…。素で『可愛いなー』って思った自分にドン引きするわッ!!あーもー絶対に顔緩んでただろ俺ッバカッばーか!!ってかマジでキスされてた頭撫でられてたそして俺は寝たままにやにやしてた?!…ばかッばかやろう…!ばぁあああかぁあああああ幸せだぁあああばぁあかぁあぁぁぁああ!!!うわああああ!!じゃなくて、って事は…マジで?この鍵…?片手の上でなんだか急に重みを増した鍵に目を移す。何の変哲も無い鍵。タネも仕掛けもありません鍵。ザ・鍵…。


オガ は 『あいかぎ』 を てにいれた!!▽


っぎゃああああああああああああああ!!!!!ああああああああああああああああ!!!!勢い余って脇に挟んであったTシャツをテンション任せて引きちぎりそうになった、とんでもない朝だった。


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