ひだまりで溶ける

マスターのお仕事がおやすみの日は僕がお昼ご飯を用意する約束になって居るので今日はマスターの好物であるクリームスープパスタを作ったら、予想以上に喜んでもらえて何度も何度もあたまをよしよしされていい子いい子と優しく唱えてもらえた。僕はマスターが僕にしてくれるこの「いい子いい子」の音が大好きで何度も真似をしようとがんばって居るのだけどやっぱりマスターの「いい子いい子」のようなくすぐったいあったかい音は僕からは出てこなかった。もっとがんばらなきゃいけないと思う。

「片付けは私がやっておくよ、カイトは休んでて」
「でも…」
「いーの!いま私気分いいから、さっさと終わらせちゃってアイス買いに行こうアイス!!」

マスターはすごい。僕はマスターが喜ぶことをしてあげられる事が嬉しいのに、それのお返しに僕が喜ぶことをしてくれるのだ。僕はマスターが喜ぶと僕も喜ぶのだけれど、もしかしてマスターもそうなのだろうか、マスターも僕が喜ぶと喜ぶのだろうか。だとしたら僕が喜ぶとマスターが喜んで僕が喜んでマスターが喜ぶわけでそうすると僕が喜んで…あれ、最初に喜んだのはどっちだったかな…

お腹がいっぱいで、窓から差し込む太陽の光があたたかくて部屋も僕の体もとくとくと温められていくと僕のまぶたは重くなってぴとり閉じてしまう。指先には力が入らなくなって身体全体がぼってりと重たくなって頭がぐぐぐっと下がってきて…ああ、これは眠たいんだなァ…キッチンからはマスターの可笑しな鼻歌が聞えてくる。

これはマスターに言うときっと怒られるからマスターには言った事無いのだけれど、マスターがいつも口ずさんでいる歌。前に原曲を聴いたけど、マスターは決まってサビに入る前の音を外している。違うところでビブラートをかけたりブレスの場所も歌うたびに違っていて可笑しいのだ。可笑しいし間違って居るのだけど、マスターの鼻歌を聴いていると僕は体の奥から安心してしまって普段よりずっとずっと無防備になってしまう。ああ、眠たい…







「…ふ、ぅん」

身体がこそばゆい。自分の鼻から漏れた可笑しな感じの息で目を覚ますと目の前にはマスターが居た。驚いて、わっと声を上げそうになったけどその0.7秒前くらいにマスターが僕の前髪をぎゅっと引っつかんで口にマスターの口をむぎゅううっと押し付けてきた。わっと言う準備をしていた僕の口は少し開いてて、口の中は眠っていた所為で少し乾いていた。ぬるっとマスターのべろが僕の口の中に入ってきてまるでガラスのコップをスポンジで洗うときみたいにぐるりぐるりとべろを回して僕の口の中を嘗め回した。

口の中でにじみ出てきた僕のだ液とマスターの口から少しずつ漏れ入ってくるよだれが温かいのとぬるいのが混じってちょろっとだけ口の外に漏れる。ちゅっちゅぱっとたまにマスターがよだれを吸う音が口の中で反響すると僕は耳の内側から火でも出るのではないだろうかと思ってしまうくらいに熱くなった。

僕の膝に立ち膝で跨ったマスターに無理やり上を向かされて侵略とも言えるほど強引なキスをされている。いったいどうしたのだろうか?僕が眠ってしまって居る間に何があったというのだろうか?僕はマスターの背中にゆっくりと両手を添えながら、ぎゅっと瞑っていた目を開いてみた。驚いた僕はマスターにズボンを脱がされていて、上の服まで捲り上げられていた。気づかなかったけれど僕のペニスはきっとマスターにもてあそばれていたのだろう普段よりもずっとくっきりした形をしているし色も違って大またを広げているマスターのスカートの中を覗き込むみたいに上を向いていた。

「ふっちゅッ…ちゅぅ」
「ぁちゅッ…ふぅぷちゅッあ、す…ますちゅッ、た」
「ぢゅッず、ちゅ…んあ、起きた?」
「はぁ…おはようございますマスター」

やっと唇を放してくれたマスターの唇は僕のかマスターのか分からないよだれでベタベタになっていてお昼の強い日差しがぬらりと反射して鏡のように光った。でも鏡なんかよりもずっとあたたかくてずっとやわらかくてずっときもちのいいマスターの唇はお化粧の類をなにもつけていないはずなのに女性らしくほの赤く色づいていた。

「これはいったい…」
「え、ああ…カイトがきもちよさそうに眠ってたから」
「はい、おなかもいっぱいであたたかくて…」
「うん、だから私もきもちいのいいなーって思って」

僕に見せ付けるように自分の手をスカートの中に忍ばすマスターはわざと下着をつけていない柔らかな乳房を僕の胸元に押し付けた。ふにゃりと僕の胸の上で形を変えるマスターの乳房はぴったりと僕の胸に張り付いて、でも真ん中あたりの腫れているんだろうふたつの乳首は少し硬くなっていてここだよと自分の存在を主張するように僕の胸に頭をこすりつけてきた。そのうちに、小さな音だけどマスターのパンツの中でマスターが自分の指で自分の性器をこちょこちょくちゃくちゃ遊んでいる音がしてきた。

「ふッあ…ん」
「マスター、まだお昼ですよ」
「あッあ、んぁ…ぃッあぅん」
「こんなに明るいのに…」
「やッあカイトッすぐ、いまっ欲しいよ」

僕よりもずっと小さな体を必死に揺すぶって僕に押し付けてくるマスター。スカートの中から聞える音はもう先ほどとは比べ物にならないくらい大きな音にいやらしい音になっていた。マスターに求められてしまっては僕になんの拒否権も無い。もしもマスターが何も言わず一人で事を終えてしまったら僕は中途半端に熱を持った性器を携えてトイレだのお風呂だので一人で自分の性器の面倒を見ることになる。それが死ぬほど嫌だというわけではないけれど、もちろんこうしてマスターに求められてマスターと一緒になれるほうがうれしいに決まっている。

「カイト、もっ…いれるよ」
「どうぞ、マスター…マスターさん」

僕の両肩を支えにマスターが腰を下ろしてくる位置に僕は自分の性器の頭を向けて手で押さえておく。もう片方の手でマスターの細い腰を支え位置を誤らないよう誘導する。自分の性器がマスターの体の中に侵入していくのが判る、ああマスターの表情や漏れ聞える声からもマスターの体の中に僕の性器が侵入しているんだと言う事がよくわかる。言葉では表し辛いひどくねっとりとした音がする。マスターが上下に跳ね飛ぶたびにマスターの柔らかなお尻の肉と僕の平べったい太ももがぱちんぱちんと鈍い拍手のような音を立てた。

性器を吸い取られるような感覚が気持ちよかった。マスターの体の中でまるで僕の性器が小さなマスターにぎゅうっと抱きしめられているような優しくぴったりと寄り添ってでも強くこすり上げられるような感想がまとまらない、あたまがうまくはたらかないかんかくがかはんしんからびりびりとあたまのちゅうしんまではしってくる。マスターもすごく気持ちよさそうだ。腰に添えていた手を放してマスターの乳房を握るとマスターは普段の音域からは想像もできないような声を上げた。汗もよだれもわからなくなったマスターの唇を頭を抱え込むようにして自分の唇に押し付けた。さっきよりもずっとずっと乱暴にキスをするとマスターは苦しそうに体を反らした。僕は膝の上のマスターを抱え上げて床に寝かせてずっとずっとキスをしながら自分でも信じられないくらい強く激しくマスターの体に打ち付けた。ぎゅうっとマスターの事を抱きしめておかなきゃそのままマスターはどこかに押し飛ばされてしまいそうだ。

「あっあっあっカイッんあっああッカイト、ゃッんぅああっ」
「マスター…マスター、嬉しいですか気持ちいいですか」
「うんッあ、きもちッああんっあっあっ」
「ぼくもきもちい、うれしい…です」

マスターと一つになって僕は嬉しくてやっぱり僕も嬉しいとマスターも嬉しくて僕はマスターの事を喜ばせようとすると結局は僕を喜ばせることになってマスターはマスターが喜んでくれれば僕は幸せなんだから僕はマスターを喜ばせるために僕が喜ぶことをすればいいのであってでは僕は何が喜ぶかといえば僕はマスターが喜んでくれるのが喜ぶから…むずかしくてよくわからなくなってきた。あたたかいひだまりの中でそのまま僕とマスターは溶け合ってまるでとけちゃったバニラアイスみたいになってしまった。



「カイト、カイト!」
「ん、あ…マスター…」

お買い物に行くときのお決まりのバッグをぶら下げたマスターがびっくりした顔で僕を見ていた。あれ?おかしいな…さっきまで僕とマスターはバニラアイスになって溶けちゃってたのに…

「寝てたの?よだれ垂れてる」

くすくす笑いながら服のすそで僕の口元をぬぐってくれるマスターは全然服装も乱れてないし僕が放出したはずの精液もちょっぴりだって付いていなかった。おかしいなーへんだなーって思ってぼうっとする頭のままマスターの事を見ているとマスターはとっても可笑しそうに笑った。

「なに?カイト、いやらしい夢見てたの?」

マスターの視線を追って行くと僕のズボンは汚れていて、ああ夢だったのかと気がついて恥ずかしくなってしまった。ああ、僕はなんていやらしい夢を…マスターとあんなふうにみだらな事をする夢をみるだなんて…

「ズボン汚す悪い子はアイス無しだね?」
「ええ…!!ごめんなさいマスター!うわああアイスぅうぅぅうう!!」
「うそうそ、ごめんね実はもう買ってきちゃったんだ」

差し出されたマスターのお買い物用バッグの中を覗いてみるとバニラアイスとなんだかおしゃれなケーキをモチーフにしたアイスが入っていた。呆けている僕にマスターはまた可笑しそうに笑ってから頭を撫でてくれた。

「カイトがすごく気持ちよさそうに寝てたから、一人で行ってきちゃった」

出かける前にキスしていったんだけど…もしかしてそのズボンの汚れは私の所為かしら?

いたずらっぽく笑うマスターはすごくすごく嬉しそうなのに、こればっかりは僕には嬉しくなくって恥ずかしくって声も出せなかった。そしたらマスターは僕の代わりに茶化すようにはっずかしーと笑って、また音の外れてる鼻歌を歌いながらキッチンへ行ってしまった。アイススプーンを取りに行くマスターを追って僕もキッチンへと急いだ。


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