趣味のはなし
「貢広、いーして、いー」

みょうじが言うままに俺は、はいチーズ!にっこりッ!!の『いー』をする。っつっても、そんな記念撮影だとかプリント倶楽部だとかの楽しい嬉しい爽やかキラキラなシチュエーションではないので、気恥ずかしさの残る俺の『いー』は少しゆがんだ、だらしない『いー』になった。

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「あのね、私、貢広の事だいすきなの。だから貢広の歯も好き。というよりも、もういっそ歯が好きなの。歯とかべろとか、歯茎とか喉ちんことかが好きなの。だからいいでしょ?」

こう言う事真顔で言うから怖いわみょうじ。最初はなんか、素直に俺の事好きって言うのが恥ずかしくて、こうやって遠まわしに判りづらく言ってんのかと思ってたらなんか様子が違った。目をぎらぎらさせて俺との距離を縮めてくるみょうじの息は熱く湿っていて、鼻息はふんふんと荒い。動物みたいになってるみょうじに、俺の言葉は通じなくて、ライオンとかが獲物ににじり寄るみたいに、四つんばいになって俺に近づいてくる。彼女が人間じゃなくなったような気がして、怖くなって後ずさるとベッドにぶつかって万事休す。みょうじがにやりと笑った。



「ふぁ、ひょんひゃふぉみょふぃふぉひ?」
「あ!しゃべろうとするとべろが動くよッ!!にゅらにゅら動く!」

みょうじは、体が半分寝転んだ状態(上半身はなんとか腕で支えて起きてる)の俺に馬乗りになって、俺の口の中に手を突っ込んだ。口の中に自分のじゃない手が入ってくるのはすごく…奇妙な感じで…。気持ち悪い、わけじゃないけど…なんか…複雑だ。俺のそんな乙女心のように複雑な心境なんて知らない(気づいてもきっと気にしない)みょうじは、きゅっきゅっと俺の歯を指でこすって音を立てたり、歯茎をつるつる撫でたり、下をぐにぐにと押しつぶすようにいじくったり…やりたい放題だ。何度かのどちんこを触られてえずいた。俺のよだれで、みょうじの指も手もずべずべになってるし、もちろん俺の口の周りも水浸しだ。水浸しならまだましだけどよだれだから、乾くときにひんやり冷たかったり、ちょっとにおう。最悪だ。

でもみょうじはそんなことお構いなしで、サルが初めてケータイ見た!触った!見たいなテンションで俺の口をいじくる。ぐいぐい広げられる口が、裂けそうになって痛いけど、結局は自分のよだれでコーティングされてるから切れたり避けたりは間逃れる。きゃあきゃあ楽しそうに俺の口をいじくるみょうじは(被害者である俺がこんなこと言うのも可笑しいけど)すごくかわいい。こんなかわいいみょうじが見られるなら、夢中になって居る対象が俺であるなら…いいかなー?口ちょっとくらい痛くてもいいかなー?って思っちまうところ、俺(もちろんみょうじも)重症だと思う。

興奮したみょうじが何度も、何度も俺の腹の上で姿勢を直そうとケツをすりすりふりふりするのが可愛い。前傾姿勢になってるからいつもより大きく、気だるそうに見えるぴったりとしたTシャツに包まれたふたつのおっぱいがゆらゆらと軽くダンスしてます、見たいな感じに揺れる。一緒に踊らない?って右側のおっぱいが揺れて俺を誘う。左側のおっぱいが、それはいい案ねって弾んで俺を急かす。手を伸ばすと、みょうじに見つかって、触れる前に声をかけられた。

「触りたいの?」

親指と人差し指でべろの先っちょをつねるみたいに、くすぐられる。さっきまで、結構乱暴に、引っ張ったり引っかいたりしてたくせに、急に触り方が優しくなるからじれったい。口の外で、ゆっくりと乾こうとしているみょうじの手を、自分から銜えにいって、じっとみょうじの目を見つめる。みょうじもじっと俺を見てた。心なしか赤くなっているみょうじ。ぬるぬるした舌の上で、ピアノでも弾くみたいにうにゃうにゃと指を不規則に動かされる。気味の良いくすぐったさ、ぴちゃぴちゃ鳴るよだれ。よだれでずべずべになった唇は乾く前に、みょうじがべろりと舐めるから、もっともっとぐちゃぐちゃになる。

「いいよ、触って」

口に入ってないほうの手で、手をとられておっぱいに導かれる。けど、一緒にみょうじがキスしてくるから、どっちに集中すればいいのか分からないままみょうじのいいようにされる。指でべろを押さえつけられたり、無理やり口を縦に横に広げられる中でみょうじのあたたかくて柔らかいべろが、いやらしいエイリアンのように口の中を侵食してくる。容量オーバーの俺の口からどんどんこぼれるよだれは、糸を引きながらカーペットにしみを作った。ぷちゃっぷちゃぬるぬる、れろれろべたべた。気持ちよくておかしくなりそうだ。

…じゅううっと、みょうじが俺の口の中のよだれを吸い取って、唇を離した。俺の口はもう、自分とみょうじのよだれでふやけきってて、口も利けそうにない。自分のよだれをきゅうっと腕でぬぐってみょうじが真顔で口を開く。

「私、歯科衛生士になろうかな?」

俺限定にしといてください。


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