アンダー・ザ・ベッド
おじゃましまーす!!って安田の家の玄関をばーんって開けると、どっどっどっどど!!ってTシャツにジーパンで裸足の安田がすっごい焦った顔で走りこんできた。おおう…滑り込みセーフって感じだ!!私は思わず野球のレフリーになった気分で「セェエエフ!!」って叫びたくなったけど、安田がすッごい必死な、カスタードクリームかと思って舐めてみたらなんだこれカラシじゃんかあああ!!みたいな、それはもう大変な顔をしてしーっ!!ってしーっ!!の指を立てて詰め寄ってきたから黙った。ん?今日だよね?安田が家に来いって言ったの…熱子ちゃんの新しいPV見せてやるよって、だから俺ん家おいでって言ってたの今日だよね?あれ?私、日にち間違えた?

(お前?!なんで来たのっ?!)
(安田が呼んだんじゃん!!熱子ちゃん!!PVッ!!)

こしょこしょ話したら安田があっちゃーなポーズしてそうだったあああって絞り出したような声で言った。なんで小声じゃないといけないの?もしかしてお客さんでも来てるのか?安田は安田の家なのに落ち着かなくってずっときょろきょろしながら、なんか映画に出てくる特殊捜査官?みたいにすッごく慎重に私をリードしながら自分の部屋に向かってった。すげぇね安田…お前の背中がすごくたくましく見えるよ…!!でもだからなんでそんなこそこそしてんの?

「ねぇなんでそんなこそこそしてるの?」
「はぁ?!…あぁ、今さ母さんと親戚のおばさんが来てんだよ」
「ほお!!じゃあごあいさつしなきゃだ!!」
「ばっ!!ばっか!!お前ばか!!」

部屋に入ってやっと落ち着いた安田は、なんだかお家にいらっしゃる安田ママとご親戚のおばさんに私を見られたくないそうだ。なーんかショックなんですけど…それ…私じゃ彼女ですって胸張って紹介できないって言うのか?!あん?!この安田野朗!!私に色々やっといて!!恥ずかしいところまで見ておいてそんな…!!ご家族にご紹介できないだと?!責任取れやッ!!せめて私(お客さん)にお茶のいっぱいでも出せやッ!!

「お前!俺の母さんとあのおばさんに捕まったら大変な事になるぞ?!夜が明けるまで質問攻めだよ絶対ッ!!俺とお前の馴れ初めから俺のちんこのサイズまで全部言わせてくるぞ?!」
「ぇえ?!安田のお母さん…!!自分の息子にそんな思いを抱いて…?!」
「っ?!ちげぇよ?!たぶん、いや絶対お前の考えてるような感情は抱いてるはずがねぇけどさッ!!あの人たち他人を尋問するの大好きなんだよ…だからお前捕まったらマジで今日帰れねぇよ…」

頭を抱えて沈みきってる安田を見ると…ああ、なんか本当なのかなって思っちゃう…。そ、そうだよね…安田のお母さんに安田とえっちしたの?とかどうだった?とか訊かれたら私恥ずかしすぎて破裂しちゃうもんね…よ、ようし…静かに、していよう…!!

「…!!隠れろッ!!」
「べぁあ?!」

安田が急にがばぁああって私に覆いかぶさってきてベッドの下にスライディング。お前マジで野球選手になれるよ、盗塁打者、ランナー安田。でもなんで急に滑り込みかましたわけ?!狭いッ!!暗いッ!!暑いッ!!そして安田が重いッ!!というかベッドの下とか絶対に埃まみれで汚ねぇじゃん!!虫とか居そうじゃんッ!!無理無理無理ッ!!私、足が4本以上ある生き物が無理ッ!!安田どけッ!!頼むマジどいてッ!!ほんとッ!!お前重ッ…苦し、い…べったりと引っ付いた私の胸と安田の胸、お腹とお腹、首筋と首筋。お互いの汗でぬるりとすべる感じが気持ち悪いのに、なんだかえっちの時の感じを思い出させてどきどきしちゃう…。安田はなんか、ドアの方を睨んで一生懸命息を殺してる。緊張してるんだろうか、どくんどくんって安田の心臓が脈打つ振動が2人分の服を通して私の胸にも伝わってくる。開いた足の間に安田の足がすっぽりはまってて、くすぐったいから動かしたいけど、動かしたら動かしたで恥ずかしいから出来ない…!!安田の荒い息が耳にかかる。はぁはぁって押し殺した声がかっこよくて脳みそをとろかしてくる。うう、ばかやすだ…!!

『あらァ?なんだか話し声が聞こえたんだけどね…』
『みっくんがお電話でもしてんじゃないの?』
『そうかしら?!女の子だといいわねぇ!!私まだあの子から彼女が出来たって話聞いたこと無いんだものッ!!』
『そうねぇ!!彼女が出来たら、みっくんの小さい頃のお話聞かせてあげなくちゃね!!』
『ああ!!それすっごく楽しそうッ!!覚えてる?昔みんなでキャンプ言った時…!!』

ドアの向こうで2人の女の人の話し声がする。おおう、安田はこれを聞きつけて隠れたのか…!!す、すごいな安田…!!今日はいろんな安田を見せられた気がするよ私ッ!!

「安田、そろそろどいて…?」
「ん?ああ、ちょっと待て…音が完全に消えてから…」
「というかベッドの下とか汚いからやだよ、早く出たい」
「はぁ?!俺のベッドの下すげぇキレイじゃんッ!!マジでマジで!!見てみろよッ!!埃1つねぇよ?!」

頭をぐるりと回し見てみると、そういえば埃っぽくない…へぇ、結構きれい好きなん…ッ!!

(ぎゃあああああああああああああああ!!!)

叫ぼうとしたら、がぶりって安田の口で口をふさがれて私の声は安田の口の中でくわんくわんと響いた。音が漏れないって分かってからもう2回叫んでおいた。安田のほっぺはぱんぱんに腫れて、苦しそうで、たまにしゅうううって鼻から抜く空気が私の顔にかかってくすぐったかったけど…!!けど!!そんなことより!!私の目の前の!!!!このッ!!雑誌ッ!!私が頭動かした所為でくしゃりと開いちゃったそのページッ!!女の人の…見えちゃいけない、見せちゃいけないところがぁああ!!くぱぁっと!!ぬらぁあああ!!っと!!!!!うぎゃあああああ!!!!!!!!!やすだッてめぇえええええ!!

私が足(唯一自由が利く部分)で一生懸命安田を攻撃してると安田がようやく口を放した。どろりと安田のよだれが私の口の周りに垂れて行ったけど拭けない…だからってべろで舐めとるのも釈然としないからそのまま放っておいた。はぁッはぁっ!!ってそれはもうただただ苦しそうな呼吸を繰り返してた。

「おまえッ!!なにこれ?!なにこのバイオハザード?!」
「はぁ?!なに?!ただのエロ本じゃんッ!!」
「なんで?!ただの?!はぁ!!これ、丸出しじゃんッ!!ダメじゃんッ!!」
「お前ッ!!声抑えろって!!」
「むぅッ!!」

安田がはぁって大きなため息を最後にいつも通りの呼吸に戻って、雑誌のほうをちらっと見てから「あんなの」ってつぶやく。あんなの?!いやいやいや、あれは確実に輸入品ですよな?安田くん!!無修正版ハスラーですよな?!中学生が持ってていいもんじゃねぇえ!!私は「えろ本を!ベッドの下に!!隠すんじゃねぇ!!」ってまた安田を蹴った。

「いやいや、大事なやつはちゃんと整理してしまってあるって!!」
「これは大事じゃなのかッ!!大事なのはもっとえろいのかッ!!」
「え…あ…お前の寝顔のアルバムとか…」
「やめろッ!!」
「…!!やめろって…ちょ、おまッ!!そろそろ、お前がやめろって…!!」
「はぁ?!」

目をキョロキョロさせながら顔を真っ赤にして居心地悪そうにもぞもぞ動く安田。いやいや、もちろん居心地がいいわけ無いんだよね。だってここベッドの下。すっごい狭いのに2人も詰まってるんだからね…!!…うん。…ん?…ふとももに…なんか…あったかくてかたい…ッ!!!!!

「おまッ!!マジでどいてッ!!やだぁ!変態ッ!!」
「お、お前が蹴るから悪ぃんだろ?!あ、ちょ…マジで…頼むから動くな…」

くぅってつらそうな顔してぎゅうって眉をひそめて口をきゅっと結び、汗を一粒ぽろりとこぼす安田。ぅうッ!!そ、そんなえろい顔されたら…私だって…。こんなに安田、近いんだもん…変な気分に…なっちゃう、じゃんか…。で、も…ベッドの下、は…い、やぁ…

「や、やすだ…ぁ」
「おまえ…声、えろい…」
「ベッド…なら、いいから…」
「?!」

体をよじらせて安田の腰に手を回して、どうにかしてベッドの下から出ようとしてると安田がびくんと体を揺らして動かなくなった。…え?…お前、安田…もしかして…

「や、すだ…?」
「へっ、へへ…すっきり…しちゃった」
「んなッ!!」
「だって!!おまえッ!!さっきのは反則ッ!!」



もんじゃ様の安田夢企画に参加させていただきました!!
なんかすっごく…中途半端で申し訳ないです…でもすっごく楽しかったです!!
もんじゃ様!!



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