08
1日目のテストが終わると、 は花壇の事で先生と話があるからって言って俺に先に帰ってくれって言った。待ってるよって言ったけど はお腹空いちゃうよって困った顔で笑ってばいばいって言ったから、俺も素直に帰る事にした。

君の知らないところで

確かに腹減ったしなー、テストの日ってなんであんな絶妙に腹が減る時間に生徒を帰すんだろうなー?そこまで学校においとくんなら学校で昼飯食わせろって思うんだけどなァ…家に帰るまで腹へリのピーク来ちゃうじゃん。 に言われた頃から俺の腹はくるくるぅとかきゅう〜っとか似つかわしくないくらいに可愛い音で泣き始めて、ああこれ に聞かせて恥ずかしい思いするくらいなら先に帰っても良かったなーとか思ったり…。

ひとりで帰る道は久しぶりだけどまだ日中だし天気いいしぽかぽか陽気で気持ちもいいんだけど、なんだか喪失感?ケータイいじる気にもならねぇし…あ、でも になんかメールしておこうか?…なにを?明日もテストがんばれ的な?いやいやそんなメール、お前ががんばれって感じだしな…。あー、 さーん、やっぱ一人でかえるの寂しいわー

「お、本好だ」
「うわ」

前方に本好発見。見つけたからには一応声を掛けておこうと思って、思ったから声をかけたわけなんですが露骨に嫌そうな顔をされた…そして嫌そうな、っていうか確実に嫌がってますーって態度でそれはもう発せられた言葉とか声が十分なほどの物語っていた。

「何それ、お前そんなに俺の事嫌いかよ」
「好きではないって事知ってるでしょ?」

おーうこいつ…言うようになったぜ…。ちょっと心に沁みるその目つきに俺の目頭が熱くなる。それでもぶん殴ってくるとか火つけてくるとかやばい事してくるくらい嫌われて居るわけではなさそうなのでそのまま隣を歩いてると本好のほうから声をかけてきた。

「 さんは?今日は一緒に帰らないの?」
「んー、なんか花壇がどうとかって」
「花壇? さんって花壇委員だったっけ?」
「違ぇけど、なんか花壇好きなんだってさ」
「…ふぅん」

…やっぱり、本好って の事好きなのか?なんで今 の話になったんだ?あ、いや…まぁ俺= ?的なその思考回路は俺としては全然嫌じゃないんだけど!むしろその直結回路は嬉しいって言うか、本格的にまわりの人間に俺と が恋人でーすいぇいいぇい!!って事認識されてるって事でありまして俺としては大変嬉しいんですけど…。その…本好には(俺の中で)黒い噂がある…ん、だよな…。

ふぅん、とか言ってまた俺の事を無視するみたいにまっすぐ前見て歩き始めた本好をちらっと盗み見るみたいに様子見る。あんまりこいつが自分の感情を態度に表したり顔に出したりってしないんだけど(いやみ以外にね)やっぱり今も、顔見たって何にもわかんなかった。怒ってんのか喜んでんのか楽しんでんのか何も読み取れない…俺が馬鹿だからか…?うーん…

「気持ち悪い」
「えッ…えー…」

気持ち悪いとか言われたー、あでも…今のは気持ち悪かったかも…そりゃあ男なのに男に顔じっと見られたら気持ち悪いよな…俺ももし本好にじっと見つめられたらさすがに気持ち悪いよな…。そう思ったから何も言い返さずに居ると本好がふっとため息をついた。えー?

「なんで さんって安田なんかがいいんだろ?」
「それ俺に訊いちゃうところ本好っていい性格だよな」
「安田なんかに人間とのまともな関係が築けると思えない」
「いやいや、普通に出来るし。築くし、てかほら俺ら友達じゃん?」

握手を求めて手を差し出したけど、なんか食べかけの弁当差し出されたみたいな嫌な顔された…。え、友達じゃねぇの…?

「ってかさ…」

いきなり核心を突くような話方って本当はその…事情聴取?とか的にはアウトなんだろうけど、俺話術とかねーし…まぁ馬鹿がどんだけがんばったって結局馬鹿の力量しか持ってないんだからさッ!!

「本好って、 の事どうなの?」

俺がそういうと、本好はぴたっと足を止めて睨むみたいに俺を見た。まさかこんな反応来ると思わなかったから訊いた俺のほうがびっくりして気おされた。キッと睨んでるような、俺が考えて居ることをさぐるような変な嫌な目つきを向けてくる本好。

「なにその聞き方?」
「え…あ、いや…なんか本好って の事よく気にしてんじゃん?だから」
「 さんは好きだけど…」

心臓が嫌な音を立てた。別に、本好が の事好きかもなんて、前々から考えてた事だったわけだけど…だからって俺と の関係がどうなっちゃうって訳じゃないんだけど…やっぱりライバル?自分の彼女を狙ってる奴?が居るって言うのは…いい気分じゃない…。

「でも… さんは競争率高いからね」

さらっと言い流して本好はいつの間にか近づいていた自分の家の中に入っていった。もちろんさよならもバイバイも無しに。まぁ本好がそんな社交的なことしても気持ち悪いけど…。

「…競争率、ってなんだよ?」

残された俺は残念ながら馬鹿だった。

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