05
公園で安田くんとキスした後に、安田くんがもう一人で遅い(暗くなっちゃう)時間に私一人でうろうろしちゃダメだよって頭をぽんぽんって叩いた。それがとってもお兄さんみたいで、なんだか同級生じゃないみたいですごくドキドキした。なんで安田くんってこんなに色んな顔を持ってるんだろう…?!そしてなんでどれもかっこいいんだろう…?!

間者の足音

昨日、安田くんは補習の帰り待たなくていいよって言ってたけど…やっぱり一緒に帰りたいから、みのり先生に補習が終わる時間をきいてみたら本当は最大でも6:30には生徒は帰らせなくちゃいけないんだってッ!そういえば私と花ちゃんが図書室から追い出されちゃったのもそのくらいの時間だったなーって思って、安田くんの補習がすごく長かった事をみのり先生に言ったらびっくりしてた。

そんなに長く学校に生徒を居残らせたらダメなのに!ってみのり先生は怒ってて、担当の先生に注意しておきますって約束してくれた。優しいなァみのり先生ッ!私はよろしくお願いしますって言って、でもみのり先生無理しないでくださいねって言ってからポケットに忍ばせてたビスケットの小分けの袋をみのり先生にこっそり渡した。みのり先生は優しく微笑んでありがとうってお礼を言ってくれた。いやいや、お礼を言うのは私のほうなんですけどねッ!!ありがとうございますみのり先生!私やっぱり2-Aでよかった!アホのワゴンセールってc組の先生が悪口言ってるの聞いちゃったけど私は2-Aでよかったと思う・・・!!

これで図書室で残ってれば安田くんと帰る時間合わせれるなーって思うとなんだかうきうきしちゃってお弁当の時間に彩に気持ち悪いって言われちゃった…。く、くそう…彩だってそのうち明日葉くんの事を想うだけでこう…わくわくどきどきしちゃうんだからなッ!!そのきれいで細長くて真っ白な足が浮き足立っちゃうんだからなッ!!



「あれ? さん、めずらしいね図書室で会うなんて」
「お!本好くんだ、そうだよただ今猛烈テスト勉強中!」

授業が終わってすぐ、まだ人が少ない図書室で教科書とノートを机に広げてとりあえず今日の宿題からはじめかかったところで本好くんが声を掛けてくれた。本好くんは少し難しそうな分厚い古そうな本を持ってて、ソファで読もうとしてたみたいだった。私の向かいに座って、頬杖をついて私の教科書をちらっと覗いてからまたこっちに向き直った。

「一人で?いつも花巻さんと勉強してたよね?」
「うん、でも帰りが遅くなっちゃうと花ちゃん危ないから…今日からは別々に勉強する事にしたの」

でもまだ明るい時間だから、本当は私のカバンの横には花ちゃんのカバンがあって今はおトイレに行ってる。そして今日は花ちゃん学習塾の日だから5時には帰っちゃうんだ。一人ぼっちで図書室で勉強するのはちょっぴり寂しいけど、集中してればそんなの気にならないかなーと強がってみたりしてる。

「 さんは?」
「え?」
「 さんは暗い時間に帰っても、危なくないの?」

本好くんが首をかくんっとかしげると髪の毛がさらさらって本好くんの真っ白なほっぺたに流れ落ちた。私はちょっと俯いて、照れながら持ってたシャーペンをころころ手の中で回しながら顔が赤くなっていくのを実感した。

「あ…の、私は…安田くんと帰る、から…その」

大、丈…夫で、す

って付け加えると本好くんはふっと鼻から空気が漏れるみたいに優しく、囁くみたいに笑った。本好くんは悪い人じゃないから私の事を馬鹿にしたんじゃないんだろうけど、ちょっと笑い方が気になったから目だけで本好くんを見てみると、本好くんは困ったような笑いかたしてた。おお、美しいな…

「一人よりも安田と一緒のほうが危なそうだけどね」

そういうと本好くんは席を立ち上がって、勉強の邪魔してごめんねって言って行っちゃった。安田くんと一緒のほうが危ないって言う本好くんの謎の発言の真相も追及できずに、私は図書室にひとりぼっちにされてしまった。



廊下から図書室を覗くと と本好が向き合って喋ってる(?)のが見えた。扉が閉まってるから中の声は聞えなかった。授業が終わってすぐに、帰る前に保健室によって仮眠してから帰るかどうか考えてたら廊下で花巻とすれ違って、急いで呼び止めた。案の定顔を真っ赤にした花巻は腹ペコの鯉みたいにくちをぱくぱくして可哀相なくらい緊張してた。

「花巻さ、 知らね?  」
「あ、えっと… ちゃんなら、いま、と、図書室で…」

そこまで聞いて花巻に礼を言って、階段を上って図書室に来た。のはいいが…本好に勉強教えてもらってのんか?テスト週間だしな…。安田…では、ないんだな…。…それならいいか。

やっぱり寄り道せずまっすぐ帰ろうと思って校舎を出るために廊下を歩いてると、ハンカチで手を拭きながら歩いてくる花巻とすれ違った。何気なしに「じゃあな」って手を上げて挨拶をしたら、花巻は爆弾に火でもつけられたような顔して固まってしまった。なんなんだアイツ…?


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