04
1人で事務室に鍵を返しに行ったら事務室のおじさんが「こんな遅くまで先生のお手伝いえらいね」って言ってミルキーをいっこくれた!!わあ!!おじさんありがとう!ていうかもう外こんなに暗いのか?!

時速27,870kmで落っこちる

ミルキーを口の中でころころさせながらスキップしているとちょっとあまりの衝撃にミルキーをごくんと飲み込んでしまった。だって安田くんが居る。校門のブロック塀にもたれかかってちょっとだるそうに道の方を見てる。誰か待ってるのかな?もう暗くなり始めてるのに、安田くん帰り危なくないのかな?そう思いながらミルキーをごっくんしてしまったのどの痛みと戦っていると安田くんがこっちを見た、気がした。

「おーい! !!」
「はい! ですけど」
「いや、知ってるけど」
「どうしたの安田くん?先生の出待ち?」
「違ぇよ 待ってたんだよ」

え? 待ってたの?私? って私だよね?私待ってたの?安田くんが?どうして安田貢広くんが  を待ってたの?先生からなんか伝言?

「なんかご用事?」
「こんな時間に女子1人じゃ危ねぇだろ?」
「なにが?」
「帰りだよ」
「おおう!!」
「おおうって…お前」

そうかそうか、こんな暗くなり始めた帰り道女の子1人じゃ危ないから…って安田くんが?!えーって心の中で盛大に驚いているといつの間にか歩き出してしまう安田くん。なんとなくちょっと後ろを付いていく私。なんだ…これ送ってってもらってるんだよね私。あの安田くんに?…もしかして安田くん私や彩が思ってるような人じゃないのかも…なんかイメージと違うぞ?いや、それは私の勝手なイメージなんだろうけど…なんだろう、安田くんって本当はこんなに優しいのか…さりげなく車道側を歩いてくれてたりしちゃったりして…うん、なんか…ちょっと…紳士だ。藤くんも明日葉くんも優しいけどなんか2人と安田くんはちょっと違う…気がする。うん。違う。仲良しだから一緒に帰ってるんじゃないもんね。なんかイメージだいぶ変わるよ…

「 って家どのへん?」
「あ、常伏東の方!」
「常伏東か、噴水公園の方?」
「うんくじら公園!」
「くじら公園?」
「あ、近所だとそう呼んでるの」
「ふうん。くじら公園か」
「そうそうくじら公園」

会話終わっちゃったよ!!というかくじら公園知ってるってことは安田くん実は結構おうち近かったりするのかな?ん?というか私そろそろ安田くんのおうち聞いて返してあげなきゃなんかいつの間にかすごく家の近くまで送って来てもらっちゃってるじゃないか?!私ばか!!安田くんだって男の子だからってくらい道危なくないわけじゃないのに…!!ここは早く安田くんにおうちに帰るよう言わなきゃ…!!

「俺、常伏南の方なんだ」
「お!そうなんだ、やっぱりちょっとご近所だ」
「だからここ曲がって帰るから…もう ん家近いよな?」
「うん!すっごい近いよ!」
「そっか、じゃあ明日な」
「あ、安田くん!」

お礼言わなきゃ!花壇手伝ってもらった事とか、送ってきてもらったこととか…!!ああ!!口が頭が回らない!!なんてお礼言おう?!あああだめだ!!早くしないと安田くん帰っちゃう!!安田くんはぽかんとして混乱してる私を見てたけど急にぶふっと笑った。え?!なになに?!

「俺がぶつかった時か?」

背中、砂まみれだ。っていいながら笑って背中をぽんぽんって叩いて砂を払ってくれた。あ…。

「今日は花壇のお手伝いありがとうね!あと送ってくれてありがとう!」
「花壇は遅刻の罰だって」
「うん、でもね!ありがとう」

 って変な奴だなって笑いながら安田くんは曲がり角を曲がっていく。ちょっと歩いてからこっちを振り返って手を振って「 はやく帰れよ」って大きな声で言ってくれたのが壁一枚はさんだ隣の部屋から聞こえてくる声みたいに聞こえたから私はもっと大きな声でちゃんと安田くんに届くように「うん」って返した。私も歩き出す。…なんだろう、変な感じがする。背中の砂を払う時にぽんぽんって叩いた安田くんの手がすごく優しかった気がする。 って変な奴だなって笑った安田くんがすごくかっこよく見えた気がする。心臓がぽこぽこ鳴って体中がぶわってあっつくなってく気がする。なんだか昨日のドラマのビデオなんかより安田くんの事が気になって仕方なくなってしまった…!(先生!これが『恋』なんですか?!)

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