安田くんと、キスしちゃいました…

I feel so nice cause you are with me now.

あのあと、公園でずっと安田くんは私のことを抱きしめててくれて、耳元で何度も「あんな事になってごめん」「本当に の事しか考えてなかった」「キスできて嬉しい」って言ってくれた。はじめはそれが嬉しくて、何度もそれにうなずいて答えてたけど、本当に安田くん、何度も何度も言うからだんだん恥ずかしくなってきちゃって「怒ってないから、私も安田くん大好きだから。もう、恥ずかしいよ」って笑ったら、安田くんからちゅってくちびるにキスしてくれて寒いから帰ろうかってお家まで送ってってくれた。私の冷たい手を、あったかくて大きな手で包むみたいに握ってくれて…安田くん、やっぱり一番好きだ。道路の車ッ側を歩いてくれる安田くん。安田くんだって寒いはずなのに、風邪ひどくなるとダメだからって自分のカーディガンを無理やり私に着させた安田くん。その時に私の髪の毛がぐちゃぐちゃになたのをすごく笑ったちょっと意地悪な安田くん。好き。

「そういや、深田に蹴っ飛ばされたよ。学校で」
「えっ、彩が?安田くんのこと蹴ったの?!…!帰っていいって言ったのに!!」
「なんか、 のこと心配して見に来てたっぽいよ。明日葉と」
「彩…」
「なに?深田なんか用事あったの?」
「彩、金曜日の夜は彼氏さんと会う約束になってて…そっちに行ってって言ったのに…」
「ふぅん…相当 の事好きなんだな…深田」

彩…。空はもう暗くって、何時ごろだろう…7時は過ぎてそうだな…ちゃんと彼氏さんのとこ行けたのかな…明日電話してお礼言おう。いつもはつんけんしてて冷たいけど…というか、安田くんのこと蹴っ飛ばしたってのはちょっと、え?彩さん…?!って思うけど、きっと私のこと思ってやってくれたんだろうな…彩は変なところ不器用だからな…でも彩、ありがとう大好き。下を向いてると安田くんが私の肩をとんとんってした。ん?

「…彩!」
「あんた帰ってくんの遅いのよ、おばさんには私が言い訳しといたから」

私のお家の前に彩が(仁王立ちして)いた。

安田くんにばいばいして、彩と一緒に家に入って、私の部屋へ。彼氏さんのところに行かなくていいのか訊いたら「あんたは気にしなくていいのよ」って頭をぽんぽんってされた。部屋を暖房であっためて、私がカーペットに座り込むと彩はベッドに座って、私の頭をタオルで拭いてくれた。安田くんの、袖がいっぱい余った部分を手のひらでもみもみしながら(たまににおいをかぎながら)彩に安田くんとのお話をした。「病魔」のお話「山田さん」のお話「キス」したお話。彩は全部静かに聞いてくれて、たまに頭を優しく撫でてくれた。安田くんほど大きくないけど、私の手より大きくて、指がすらっと長いきれいな手で、お母さんみたいに撫でてくれた。お母さんが彩もうちで夕ご飯食べてったらって言うから、私と彩は一緒に一回に降りて行ってちょっと遅めの夕飯を食べて、彩は帰った。

安田くん安田くん。私ってすっごく幸せ者だよね。だって、恋人は素敵でかっこよくて優しくて面白くてでもちょっと変わってて、今日は安田くんのこと泣かせちゃった…女の子みたいでちょっと、可愛いと思った。ごめんね安田くん。友達は強くて優しくて綺麗で美人ですごいの。彩、ちゃんと彼氏さんに会えたといいな。

風邪がひどくなっちゃう前に、あったかいお風呂に入ってパジャマに着替えてこっそりパジャマの上に安田くんのカーディガンを着た。あったかい。安田くんのにおいがする。…っていうのはちょっと変態っぽいかな?私…ああ、でも。安田くんのカーディガン着てると、なんか…安田くんにぎゅううってしてもらってるみたいでドキドキするなあ!!袖を握った手をにぎにぎ動かしてから、自分の体に腕を回して、1人でぎゅうううってしてみる。鼻の辺りに自分の二の腕が当たって、やわらかくて、安田くんのにおいがする。

「やすだくん…」

かさり

ん?何だ今の音?なにか、紙?みたいなのがこすれる音がして、周りを見回してみたけど、紙なんて落ちてない。クッションとカーペットとケータイが転がってるだけだった。ううん?もういっかい体を動かしてみると、また。かさっ、っと鳴る。んん?カーディガンの…ポケット?安田くんのものなんだから、勝手にポケットなんてあさっちゃダメって思ってても、気になって仕方がない。だめだめ !!そんなの!!安田くんが私のか、彼氏!!だからって…こんな、勝手に見ちゃだめ…だけ、ど…

ダメだって分かってて、でもおさえらんなくて。ポケットに手を突っ込むと、やっぱりポケットには何かが入ってて、かさりと指先に触れた。取り出してみる。あ…

そのまま、私は安田くんのカーディガンを着たままベッドにもぐりこんだ。1人でにやける顔が止まんなくて、ほっぺが痛くなるくらいだった。安田くん。大好き、おやすみなさい。

安田くんが白い馬の着ぐるみを着て、王子様の服を着た真っ白なマルチーズを連れて私のお家に学校のお迎えに来る夢を見た。私は学校の制服を着ていたのに、安田くんが「おまたせしました。では、参りましょう」って私の手の甲にそっとキスをすると魔法みたいに私がキラキラ光って、シンデレラとかお姫様が着るような素敵なドレスに変わっちゃった。それでわんちゃんを連れて学校へ…ああ、安田くん。早く会いたいよ。学校がおやすみの週末が、こんなに憎く思えるのは初めてだ。安田くんって本当に、私のいろんな初めてを作っていってしまうなぁ。

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -