09
昨日彩や明日葉くん、美作くんたちがしゃべってる事聞いちゃったこと。安田くんと廊下でお話したこと。今日の放課後に花壇に行くって約束したこと。急に安田くんがどっかに行っちゃったこと。それが寂しくて悲しくてどうしようもなかったこと。保健室に行こうとしたこと。保健室で、山田さんと…安田くんが二人でいるところを見たこと。全部を彩に話した。途中、思い出して辛くて、立ち止まったり座り込んだりしちゃって、遅刻確実になっても彩は私に付き合ってくれた。天気がよくて、お日様まで小さな私のためにあったかい日をくれてるような気がした。

チェルノブイリには行きたくねぇ

「あれ? さんに深田さん…重役出勤だね」

声を上げないにしろ、あたしに話を聞かせてるうちにまた泣き出した を連れて学校に着くと、保健室の先生が居た。あたし達のことを見てにやりと笑って、見た目に似合わず人懐っこそうに寄って来た。確かにもう1限目の授業は始まってしまっていた。あたしは構わないけど はまじめで、遅刻とか気にするから…どうしようかと考えてると、あたしの横でうつむいてぐずぐずと顔を覆っている を見て先生が神妙な顔で口を開いた。

「 さんも深田さんも。登校してすぐ保健室に居た。学校には来ていた。」
「は?」
「才崎先生には僕から行っておくから。君たちは保健室で休んでなさい」
「…うちらのことかばってくれる、って事ですか?」

ちょっと信じられない。 をあたしの背に回して訝しげに先生を睨んでみると、ふふっと笑って職員室のほうに歩いていってしまった。なんか、不気味だけど…いいか。ふらふらしてる を保健室まで連れて行って、ベッドに座らせる。少し落ち着いたみたいで、ぼうっと何も無いところを見てる。

「大丈夫? 」
「…うん、ありがとう。ごめんね?」
「いいわよ、別に」
「…2限目は、授業。出なきゃね」
「あんたはここで寝てたら?先生にはあたしがうまく言っとく」

 はあたしの手をとって笑った。落ち着いたら教室行くから、って。ああ、あんたいつからそんな笑い方するようになったんだろう…もっとバカっぽく笑いなさいよ。いつもみたいに。気に入らない。教室に行ったら絶対に安田を殴ってやる。ぼこぼこにして、縛り上げて、池に沈めてやる。

「あ、ねぇ…彩」
「ん?」
「私、放課後…安田くんに会ってくるね」
「そんなの、行ってやる事無いわよ」
「ううん、約束しちゃったし…お話したいこともあるから…」
「なら、あたしもついて行く」
「だめだよ。彩は今日彼氏さんのお家に行く予定でしょ?」
「そんなのいいわよ。」
「だめ。行って?私は大丈夫だから」

きゅうって手を握られる。

「分かった、でも」

なんかあっても、なくっても、絶対あたしに連絡しなさいよ。

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