08
まだ明るいのにベッドにもぐりこんでまた泣いた。目の下が荒れちゃっていたい。でも涙も止まらないし…。安田くん、私のこと嫌いになっちゃったんだ。好きじゃなくなって、どうでもよくなっちゃったんだ。山田さんのこと好きになっちゃったんだ。安田くんが誰のこと好きになったって構わないよ。そりゃあ、もちろん私のこと好きでいて欲しいけど…私はそれよりも、安田くんに嘘つかれてたことが…何よりも悲しいんだよ…

優しさをつかって

ぴんぽーん

ぴんぽーんぴんぽーん

ぴんぽんぴんぽんぴんぽん…


んむぅ…うるさいなぁ…なんだ、なんだ?ん?いま、何時?…というかお母さんは?もぞりもぞもぞ、頭までかぶってた布団から出て目覚まし時計を手に取る。…7:56。ん?よる?…AM 7:57。…ああ、朝か…一晩中寝ちゃってたのか…気持ち悪い…。布団から出てベットに座ってるとまたぴんぽんの嵐。うー、お母さん達居ないのかな?パジャマのままでぽてぽてと歩いて、部屋から出て、階段を下りる。階段においてある全身鏡に映った自分をちらっと見ると、ひどい顔してた。まぶたが腫れてて、目の下が赤い。髪はぼさぼさで、すっごくつかれた顔してた。…あれだけ泣けば無理ないか…。ああ、こんな顔なのにお客さん…本当に、お母さんは?リビングに入ると『今日はお父さんとお出かけです。夜には帰ります!!ご飯はキッチン! P.S. ケータイはどうしたの?』ってメモ。えええ…娘が泣いて夜を明かしたのに…まさかの両親の裏切り…というか、学校は休んでいいのかな…?昨日お母さん、学校に電話しておいてくれるって言ってたけど、どんな電話したんだろう…

ぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽん…

「はーい」
「あほ」
「あ…彩さん…おはようございます…」
「3分で制服に着替えて、髪梳かして来なさい。」

すごい怒った顔の彩さんが玄関で仁王立ちしていました…。お、恐ろしい…!!しかも私のこと学校につれてく気だ…!!あ、私のかばん…彩が持ってきてくれてたんだ…ぼうっとしてると彩が私のほっぺに手を当てて、優しく、でもちょっと寂しそうに笑った。

「10秒おまけしてあげるから、顔も洗ってきなさい」

鼻が詰まって、また涙が出てきた。ひくってのどが鳴って、顔を覆ってその場にうずくまりそうになったけど、彩が笑った顔がとっても可愛くて、とってもとっても優しかったから…私にはそんなこと出来なかった。ほっぺに当てられた彩の手はすべうすべしててやわらかくてあったかかった。

「何があったか、詳しくは知らないけど。あんたが学校行くのは、なにも安田だけのためってわけじゃないでしょ?」

ぺちぺちとほっぺを叩かれる。のどの奥からくぅって情けない声をもらしながらこくんこくんうなずくと彩の手が離れてった。また仁王立ちしてる。作ったような怒った顔して私を睨む。

「私を除け者にして、許されるだなんて思ってないわよね?あんた」

道中いろいろ聞かせていただきますから。そう言って彩は長い足で私のお尻を蹴った。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -