04
なんか…俺、本格的に頭おかしいのかも… とキスすることばっか考えてると、どうしたらキスできるかとか、誰にアドバイスしてもらおうとか考えてるといつの間にか時間が過ぎてて、気がつくと授業にも出なくて(いや、出たかも知んねぇけど記憶がねぇ)いつのまにか下校時間になってた。ええええ?!俺マジでどんだけ必死なの?!てか、 ッ!!今日1回も会ってなくねぇ?!はッと気がついたときに廊下の窓からグランドのほうを見ると、たまたま と深田の後姿が見えた。ああ、今日は深田と帰るのか…まぁ、一人で帰らせるよりはいいか…。

確かなものなど何も無い

「おい!!大変だぜッ!!マジこれ大事!!」
「どうしたの美っちゃん?」
「美作うるさい」
「美作くん、すごい汗かいてるよ?」

オッス!おれ美作連太郎!今は弁当の時間の後の、ちょっとした休憩時間なんだぜッ!!みんなは教室でおしゃべりしたり、ケータイいじったり、午後の授業で提出しなきゃならねぇ課題を友達に写させてもらったり、よだれたらして寝たり、廊下できゃあきゃあ騒いでたり、校舎全部を使って本気鬼ごっこ・かくれんぼしたりする時間だぜッ!!

「無駄の無い的確な説明だね。さすが美っちゃん」
「美作うるさい」
「で、何が大変なの?美作くん」
「ってか!えええええ?!なんで本好とアシタバがクラスのマドンナ、同級生には高嶺の花!!深田ちゃんと一緒に休憩時間過ごしてんだよっ?!」

一つの机を囲んで、イスに座った深田ちゃんと、その向かいに立ってる本好。机に手を添えてしゃがんでるアシタバ…!!なんだよ?!なんでお前ら深田ちゃんと仲良さ気なんだよ?!俺のこと無視して良い思いしてんじゃねぇよ…!!本好が笑って(声上げて笑うわけじゃねぇけど)数学の教科書を俺に見せた。え?今日数学ねぇよな?ん?時間割変更もねぇしな…背面黒板を見たけど、そこには通常通りの時間割が記されてる。

「来週からテスト期間入るでしょう?深田さんが俺に教えてくれって」
「中二の学年末で成績下げらん無いでしょ?しかも今回の数学、応用ばっかって聞いたから」
「深田がまじめにテスト勉強してると、なんか僕もちゃんと勉強したほうがいいのかな?って思って、一緒に教えてもらってるだけだよ?」
「おおう、なんだそういう事か…だったら俺にも教えてくれよっ!公式の応用とかあれマジで悪魔の所業じゃんっ!!」
「もちろんだよ、今ちょうど問題集の…」
「え、美作くん!さっきの大変だって騒いでたのは?!」

ああ!!そうだ!!そうそう!!大変何だよマジで!!俺に手招きしてた本好がちょっとむっとした顔でアシタバのほうを見た。まぁまぁ落ち着けって本好!まじすげぇから!!いや、そんなに喜ぶような話じゃねぇんだけどさっ!!まぁでも大事っちゃあ大事なんだって!!マジ聞いて聞いて!!ってケータイを取り出しながら3人のほうに近づいてくと深田ちゃんがすげぇ怪訝そうな顔をした。ええー…

「あ!!ってか ちゃんは?!居ねぇ?!」
「 ? なら花巻と一緒に中庭の花壇で土いじりしてるわよ」
「 さん、花壇当番だっけ?」
「いや、違ったと思うけど…ボランティアかな? 」
「 ちゃん居ねぇなら、ちょうどよかった…これなんだけどよ!!」

汗ばんだ手に握ったケータイの画面を3人に向ける。じぃっとそれを見つめる3人の6個の目玉にケータイの画面が小さく映る。アシタバは口を開けっ放しにして「えっ、え?!」、本好は特に顔色を変えてねぇけど不快そうにちょっと眉を動かした。俺は一番怒ると思ってた深田ちゃんが、何にもいわねぇし怒りもしねぇからちょっとびっくりした。ケータイに映したのは望遠機能をフルに使って激写した、ある男の胸くそ悪い浮気現場だ。

「こ、これ…安田くん…だよね?」
「おう!で、隣の女子はM田なんだよッ!!」
「くっだらない」

そういいながら深田ちゃんは俺のケータイを奪い取る。お、おおう!!深田ちゃんが俺のケータイを…!!

「こんな画質悪い画像、信じられないわね」
「たしかにぼやけてて誰が誰だか、正確な判断は出来ないけど…」
「いや!でもこのでけぇ三つ編みは確実にM田だろう?!」
「美っちゃんがでたらめ言うとは思わないけど、安田は さんが居るでしょう?わざわざ山田さんと浮気なんてする必要あるのかな?」
「いや、俺には安田が何考えてるかなんてわかんねぇけど…これはマジだぜ?昨日の下校のときにたまたま見かけたんだよ!」
「…昨日は確かに安田と 、一緒に帰ってないけど…」
「ねッ?!ほら見ろよッ!!安田あいつ ちゃん放っといてM田なんかと…気が知れねぇ…」

すごく嫌な顔をしてまだ、ケータイの画面を睨んでる深田ちゃんは安田の浮気が相当気に食わないらしい。そうだよな… ちゃんと深田ちゃんめちゃくちゃ仲良いもんなあ…にしても安田の野郎ッ!!ずっと ちゃん ちゃん言ってたくせになんで急にM田?!なになに?!もしかしてスキー合宿のときに女風呂覗くの協力して…愛情、生まれるか?うーん…奇怪だ。そして不快だ…。

「でもなんで山田さん?安田くんって山田さんと仲良かったっけ?」
「安田はもう、相手の性別が女で生きてるものなら何だっていいんじゃないかな?俺には分かんないけど」
「分かりたくもないわね。でも、あの二人。安田と 、あんなにウザいくらい仲良かったのになんで?理由によっちゃ、いや、どんな理由でも…これが本当に浮気なら、安田が血を見ることになるわね」
「深田ちゃん…相当 ちゃんのことが大事なんだな…」
「深田と は小学校の頃から仲良いから…」
「とりあえず安田に聞いてみようよ?深田さんにこっぴどく叱られればいいよ」
「ほんとだよなッ!!あいつ!! ちゃん居るのにスキーん時は女子風呂覗こうとしたし、しかも今度はM田と浮気?!頭おかしいんじゃねぇの?!」
「覗きに関しては美作くんも何もいえないんじゃ…」
「安田が覗きって何?その話?聞いてないわ」
「ああ、この間のスキー合宿のときにさ!!」


「あ、 …ちゃん…大丈夫?」
「はなちゃん…私、どうしよう…ッ!」

花壇のお手伝いが終わって、花ちゃんと教室に戻ってきてドアを開けようとした時に聞こえてきた。彩や美作くんたちのお話。山田さんと浮気?…スキー合宿のときに女の子のお風呂場を覗いた?だって、石鹸で転んだって…もしかしてあの怪我、女の子に怒られてできた怪我?私…安田くんに、うそつかれた??…からだがふるふる震えて、頭がガンガンする。そういえば、スキーから帰ってきてから、安田くん、ちょっと変だ。ぼうっとして、声かけても上の空だったり、移動教室一緒に行ってくれなかったり…休憩時間も教室に居なかった…背中に気持ちの悪い汗が垂れて、目が熱くなった。花ちゃんが隣で私の心配をして、服のすそをそっと握ってくれた。どうしよう花ちゃん…私、わたし…

「安田くんと、話さなきゃ…!」


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