03
お家に帰ると安田くんからメールが来た。『体調どう?』「風邪気味なだけっぽい!心配してくれてありがとうねッ!!」『そっか、よかった。悪化させないように気をつけろよ?』「うん!ありがとう!お母さんがジンジャーティー作ってくれるから大丈夫!!安田くんも風邪気をつけてねッ!」『おう、じゃあ早く寝ろよ?おやすみ』…けほっ。寒くなってきたからだ。熱が出てきたわけじゃないんだけど、安田くんの何気ない一言、一文が優しくて、嬉しくて、どきどきと体温が上がってくる。ああ、私はいつだって安田くんにお熱なんだなあ…(ちょっとこの言い方は古いかな?)

こんなにちっぽけな惑星の上

学校に居る間、まぁ学校じゃなくても家でも登校中でもだけど…俺はずっと、どうしたら と、自然に、合意の上で、こう…気持ちよく?キ、キス…できるか、を!!考えてる。昨日は が可愛すぎたから、あんまりあの後の記憶がない。あれは反則だ…。可愛すぎた…あああ!!そうか!!あのタイミングで俺もこう、ぐっと のことを抱きしめて、見詰め合って…ちゅっと、ちゅっ!っと…!!ああもう!俺のバカッ!!もっと機会をうかがって、貪欲に行かなきゃ…!!じゃなきゃキスなんて本当にできねぇ!!…うう、誰かキスのエキスパートとかいねぇのか…?!

「おい、ドアの前でしゃがむなよ。邪魔」
「…藤?…!!うおおおお!!藤ぃぃッ!!!」
「な、なんだよ…お前いつにもましてキモいぞ?」

藤ッ!!藤ッ!!!!THE・イケメンの称号を欲しいままに『居眠り王子』だとか褒められてんのかバカにされてんのかいまいちよく分からんがそういう!王子だとかイケメンだとかでもてはやされて女子からキャーキャー言われて、つい最近まではちくしょうあいつマジで学校で下痢になってトイレ駆け込んで恥ずかしい思いして人気下がればいいのに!!って思ってたけど(俺は が居るから他の女子がどの男子がどーとか言ってもあんま興味ない)…藤ッ!!マジお前ッ!!藤ッ!!

「藤ッ!!」
「うっせぇよ、なんだよ」
「ちょっ、あの!マジでお話があるンすけど…!!」
「安田…お前マジキモいんだけど…」

そんな事言っときながら、なんだかんだ俺の話を聞いてくれるこいつは案外いい奴なんじゃねぇかなって思う。美作とかなんで藤とつるんでんだ?って思ってたけどさ、口悪いけど、嫌な奴ではねぇらしい。…モテる理由はそれか…?!

「あの…キスって、どうやるンすか?」
「くちとくちで」
「はッ?!いやいや!!それくらい俺でも知ってるよ?!保育園児でも知ってっからッ!!違くてさ!こう、同世代の女の子といい雰囲気の中でロマンチックなキッスをするにはどうしたらいいですかどうしたら出来ますかって訊いてんだよッ!!」
「いや…俺に訊かれても…」
「…へ?」
「…察しろよ」
「…あッ!!えッ?!マジで?!藤麓介サマともあろうお方が?!マジか?!ぎゃははッ!!マジマジ?!藤お前マジで?!なぁおい!!マジかよ!!俺はてっきり…なんだお前マジか!はぁ〜なんか、ぎゃはは!そっかそっか!!へぇ!!藤がねぇえ!!」
「俺に敬語まで使ってやり方訊いて来た奴の台詞じゃねぇだろそれ」

なんか意外だ。藤ってなんかもう、ブイブイ言わせちゃってる感じだと思ってた俺。だから一日中保健室に居るのいかと…。へぇ…そうなんだ…、へぇ〜。笑ったら藤は呆れて(恥ずかしがって?)どっか行っちまった。ああ、結構頼りにしてたんだけどなあ…まぁ、仕方ねぇか!!そのうちに俺のほうが先輩になって藤にいろいろと伝授してやれるようになってやんなきゃなあ!!てかマジかよ!藤あいつマジ?!なんかちょっと藤の事好きになったかも知んねぇ。いやいや、変な意味じゃねぇよ?俺が一番大好きなのは だからね?そういや 、風邪治ったのか?や、まだ、風邪ではないのか、気味?風邪気味?…それって、さ…振り、だよな?確実に…。キスフラグ?「風邪ってさ、キスして相手にうつせば治るんだぜ…?」的な?!おおおおッ!!それはすげぇえ!!いや、でもあせんな!!貢広!!急いて事を仕損ずる!落ち着いて、やはりここは色々とリサーチしておくべきだろう…!!体験談とか、誰かに聞いといたほうが、絶対いいよな!!歯、とか…ぶつけて…かっこ悪いって思われたくねぇし…!!なんかぬいぐるみとかで練習しておくべきか?!いや、それはさすがに気持ち悪すぎるなッ!!誰ならキスの仕方とか、上手なやり方知ってっかなー。みのりちゃん?いや、みのりちゃんも恋愛下手だからな…経験なさそうだ、し、ぜってぇ説教食らうことになる。中学生同士の恋愛のなんちゃらかんちゃら、学生の間は勉強が仕事ですだとかさ、みのりちゃん堅ぇんだよな…3年の先輩とかにもあたってみっかなー…。

「あら、珍しいわね。 が移動教室一人なんて」
「彩!なんかね、安田くんどっかいっちゃってて…授業でないつもりかな?」
「浮気でもしてんじゃないの?」
「えッ?!」
「冗談よ。あんた達こっちが気分悪くなるくらい仲良いし。浮気?無いわね」
「そ、そうかな…?私と安田くんって、そんなに仲良し?えへへ」
「自覚症状無いのね…具体的にベタベタしてないくせにお互いにやにやしてんのがキモい」
「ひどいッ!!なんだその言い方ッ!」
「ほら、早く行かないと授業始まるわ。仕方ないから彩ちゃんが一緒に行ってあげる」
「えッあ!!ええー!なんか彩が優しいッ!!いつもなら走って置いてくのに!」

ダッ!!

「ああああ!!彩ッ!!やっぱり置いてった…!!待ってよー!!」


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