06
ちょっとお風呂狭いけど、彩と2人だけなら十分だね!2人で背中流しあいっこしようか?!あ、いやだ?な、なんだと?!ひでぇッ!!彩…!!私は生理中だからゆっくりしてられないし、彩はずっとサウナに入ってたからあんまりお風呂はどっちでもいいみたい。じゃあ部屋に戻ってまたトランプの続きしようか?!

第二十とちょっと診 安田くんのうそ

お風呂から出て彩と2人でロビーを抜けてお部屋に戻ろうと思ったけど、私みのり先生にお風呂出たこと言いに行かなきゃ!ってこと思い出して大浴場があるほうの廊下に向かった。彩は先に部屋に戻ってるって。お風呂使い終わったこと伝えるだけだからそんなに時間はかかんないだろう!帰りにジュース買ってって彩ビックリさせてあげようかな?!わ!私かっこいいッ!!そういえば、大浴場ってどのくらい広いんだろう?大浴場って言うんだもん、相当なんだろうなあ…私も入りたかったなあ!!ちょっと覗かせてもらおうかな?!みのり先生もきっとまだお風呂だろうし…!!そう思って女性の大浴場のドアをがらがらって開けたら…あれ?誰もいない…。どうしたんだろう?壁に貼ってあるタイムスケジュールではまだお風呂つかってる時間なはずなのに…。脱衣所にも、浴場の方にも誰もいなくて、あれー?って思ってお風呂から出てみる。私と彩、お風呂出るの遅かったのかな?でも、まだお風呂終わる時間じゃないし…そりゃあ確かにお風呂は入る時間は大浴場の子達より遅かったけど…みんなあんまりお風呂長く入らない人なのかな?あんなに広くて景色もいいお風呂だったのに!!もったいない…!!うむむ、でもこのままお部屋戻っちゃったらみのり先生困っちゃうよね…とりあえずみのり先生探さなきゃ…。って思ってホテルの中うろうろしてたら、廊下のちょっとひらけた休憩所にあるイスに座ってた人の足が見えた。あ!常中ジャージ!あの人に聞いてみよう!!

「あのー、みのり先生って…」
「あ! …!!」
「わッ!!安田くん!!どうしたのそれ?!その怪我ッ!!」
「あ…あぁ、いやいや…これな!…うん」
「だ、大丈夫なの?!なに?!ひどい…!」

包帯グルグルでぼろぼろになった安田くんが居た。安田くん!!何でこんな怪我!!どうして?!大丈夫なの?!すッごいいたそう…!!あ、わ…ど、どうしよう…!!わ、わたし…!!なんか、持ってないかな?!ば、ばんそうこうとか…!!あ、でも安田くんもう、怪我の手当ては受けてるみたいだけど…大丈夫なのかッ?!大丈夫じゃないよね?!私、こんなにひどい怪我してるひと初めて見た…

「や、やすだくッ…」
「わッ!なんで泣くんだよ…!!」
「だって…!やすだくん…いたそう…!かわいそう…」
「あ…う、うん…。でも、もう大丈夫だからさ」
「うん、うん…!!」

なんかぽろぽろ涙が出てきちゃって安田くんに変な心配かけちゃった…。だって、いたそう、だし…ちょっと、こわい…。イスに座ってる安田くんの膝にしがみつくみたいにへたりこんじゃって、私かっこ悪い…!!でも、涙止まらないし…とまれ!!痛いのは私じゃないだろう!!なんか「あー」とか「うー」って安田くんがちょっと居心地悪そうな声を出してから包帯巻いてない方の手で私の頭をこしゅこしゅ撫でた。まだ髪の毛を乾かしてなかったら、安田くんの手がいつもより余計にあったかく感じた。

「 さ…風呂はいった?」
「え、うん。さっきまでお風呂はいってた」
「え?だって…!!…ど、どこの風呂?」
「あ、みんなとは違うお風呂だったの…」
「あー…。…はぁ…そうだったんだ…」

安田くんは首をがっくんってうなだれてすごく大きなため息をついた。どうしたんだろう?なんで?って聞こうと思ったらロビーから続いてる廊下をハデス先生がこっちに向かって歩いてきた。わ!ハデス先生!!ナイスタイミング!!安田くんの怪我ひどいんです!!先生どうにかしてッ!!

「ハデス先生!!やすだくん!見てあげてください!!」
「 さん!才崎先生が探してたよ?お風呂に居なかったって」
「あ!!そうだ!わすれてた!!」
「まだロビーにいらしたから、行っておいで」
「はい!あ、でも先生!安田くんの怪我見てあげてください!!お願いしますね!!」
「うん、分かってるよ。…ね、安田くん?」
「あ、はは…はははは」
「そういえば、安田くんなんでそんな怪我…。ルパンの真似でもしたの?」
「ルパンって、古いね さん…」
「あー、これは…その、風呂場でさ、騒いでたらせっけん踏んで転んじまってさ!」
「あー!!私もそれ昔やったことあるよ!!頭思いっきりタイルにぶつけて!!すっごく痛かった!!やすだくん気をつけなきゃだめだよ!!」
「おう!こんどから気をつけて騒ぐから、 もうみのりちゃんのとこ行けよ、怒られるぜ?」
「うん!じゃあ先生おねがいね!安田くん!無理しちゃだめだよ!!」

安田くんとハデス先生にお別れしてみのり先生のところに行ったらちょっと怒られたけど、見つかってよかったって言われた。先生達お風呂出るのすごく早かったですねって言ったらなんかちっちゃい声でぶつぶつってしゃべってから さんは気にしなくていいわよって言ってお部屋まで一緒に行ってくれた。みのり先生優しいなあ!!

「せっけん踏んで、転んで…ねぇ」
「う…だって、彼女に風呂場覗いてぼこぼこにされたなんて言えねぇじゃないっすか…」
「はぁ…大浴場にはせっけんなんて置いてないよ。全部ボディソープ。」
「え?!ま、マジっすか?!」
「よかったね、 さんが大浴場使ってなくて」
「…はぁ」
「でも、彼女に嘘までついて…」
「…不甲斐ねぇっす。…本当は 目当てで…っ!!」
「安田くん…まぁ、いいよ。お仕置きは明日の朝、今日はもう部屋に戻りなさい」
「…はい」

(情けねぇ…!!)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -