02
無事にスキー合宿場に着いた。バスから降りて建物の中に入るとばかみてぇにぼかぼかあったかくて顔がじんじんした。他の奴らははやくスキーしたくてうずうずしてるのかしきりにゲレンデを指差してはきゃーきゃーわーわー言ってる。ガキが…。ばかだなあ。点呼してんのにちゃんとクラス順に並ぼうとしない奴らにみのりちゃんの怒声が走る。あー、早く解散させちまえばいいのにさ…ん?そういえば、 いねぇな…。

それぞれの思惑

一般の客の邪魔でしかない学生の列はやっと解散されて、みんなわいわい更衣室へ走っていった。先生たちもその引率に駆けてく。かばんをロビーのイスにおいて俺はちょっとの間だけゲレンデを観察。おーけっこう見晴らし良いんだなここ。常中の奴らがぞろぞろ出てきた。着替えるの早いなあ…ロビーを見渡すと、もう先生も生徒も居ない。ようし…作戦開始、だな。

バスから降りて私はすぐにトイレに走る。みのり先生に一言言ったらついて行かなくてもいい?って聞いてくれた。…!!先生やさしッ!!わああ!!大丈夫ッ!!一人で大丈夫ですッ!!ありがとうございますッ!!ナプキンを代えて戻ってくるともうみんなはゲレンデに行っちゃってた。あー、トイレ込んでたからなあ…。彩も居ないや…って思ったらみのり先生が居て私の荷物を持って、待っててくれた。

「あ、ありがとうございます!!すみません…待ちましたよね?」
「大丈夫よ、 さん今日は体がつらいでしょう?お部屋で休む?」
「あ…とりあえず荷物はこんじゃいます。それからロビーでみんなのこと見てようかなって思ってます」
「そう、一人で大丈夫?私も付いてましょうか?」
「ううん!大丈夫です!ありがとうみのり先生ッ!!」
「いいのよ。…はぁ、2のAの生徒がみんな さんみたいな子だったら…」
「はい?」
「ううん、いいのよ気にしないで。じゃあ荷物はこぶの手伝うわ」
「平気ですよッ!!先生、先生のお仕事あるでしょう?お世話かけらんないよ!」

なんかみのり先生はハンカチで顔を覆いながら「そうね、そうよね」って言いながら更衣室のほうに歩いていった。おおう…なんかみのり先生、ふらふらしてる…私より、みのり先生のほうが心配だ…!!誰も知ってる人が居ないロビーを見渡してあったかい空気を吸い込む。ふぅってため息をついて、床にどかっと座ってる自分の荷物をよいしょっと持ち上げてしおりを出して部屋の番号を確認。フロントの人(黒縁のメガネですらっと背の高いかっこいいお兄さんだ…!!)に聞いて部屋に案内してもらって、お部屋でお茶を入れてもらった。わあ、ありがとうございますッ!!お部屋の窓からもゲレンデが見えるんですよってメガネお兄さんがカーテンを開けてくれて、景色を見せてくれた。わあ!!本当だッ!!けっこう広い範囲が見えるんですねー!って言ったらお気に召しましたか?って笑われちゃった。ああ、ちょっと反応が子供過ぎたかな…うう、でも本当に綺麗だ。銀世界ってこれのことなんだなー、あっあれ、常中の人かな?うーんちょっと遠くて見えないなあ…私が窓にぎゅうぎゅう顔を押し付けてゲレンデを覗いてるとメガネお兄さんがまた笑った。

「もしよければロビーのほうでご覧になられてはいかがですか?あそこでしたら暖かいし、ソファもご自由にお使いいただけますよ。」
「わ、あ!ありがとうございます…!!」

お部屋の準備を済ましたメガネお兄さんは何かありましたらフロントにお声をおかけくださいってお辞儀してお部屋から出て行った。…おおう、メガネお兄さんかっこいいな…。いやいや!!私にはね!!安田くんが居るからそんな、ダメだよ?!っていういかメガネお兄さんかっこいいけどそんなのもちろん安田くんには敵わないって言うか!!ベクトルが違うって言うか…!!うん!!そうだよッ!!違うからね?!…安田くん…スキーしてるのかな?もう一回窓からゲレンデを覗いてみるけど、ここからじゃやっぱりどれが誰かわかんない…やっぱりロビーに行こうかな…。かばんの荷物の整理と、お茶が飲み終わったら降りていってみよう。安田くんがスキーしてるところ内緒で見て、あとでかっこよかったよって言って、びっくりさせちゃおうかな?わあ!!私こあくまッ!!こあくまだッ!!

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