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こんにちわ!!ただ今絶賛安田くんと交際中(えへッ照れるなあ)の  です!!2年A組です!!こんにちわ!!いま私はバスでぐらぐらがたがた揺られてて、うわッちょ…!!運転手さん!やめっ…やめろぉ!!とめてくれぇ…!!っぐ!!ふううあ…きもち、わるぅ…彩、彩たすけて…ひざ貸して…もう、私…寝てしまいたい…ってか何で勝手に私のうまいぼー食べてるの?!ぎゃー!!

私をゲレンデに連れてって

うぅ…本当に、気持ちわるぅ…普段はあんまり乗り物酔いしたりしないんだけど…私はただ今絶賛女の子の日で、2日目血の池腹痛地獄。もともと生理痛がひどいからちょっと心配してバスの席順を前のほうにしておいてもらった。よ、よかった…これ、後ろのほうでみんなが騒いでるところに居たら…私確実に死んでる…。隣の通路側の席に座ってくれてる彩は私のためを思ってか、いや…たぶん何も考えていないんだろうけど…イヤホンで音楽を聴きながら静かにしてくれてる。通路挟んだむこうっかわでは藤君がかばんを枕にして寝てる。いいなあ…私も寝ちゃえば楽なんだろうけど…バスのゆれが気持ち悪くて…寝れない…し、たまにどばってちがでるのが嫌で寝れない…。なんで…!!なんでわざわざスキー合宿の日に…!!生理なんかになっちゃうんだよう!!私のお腹ッ!!ばかッ!!あんぽんたん!!しんじられない!!ってぽこぽこお腹を叩いてたら前の席に座ってたハデス先生がこっちを見て「大丈夫?」って言ってくれた。いえ、全然大丈夫じゃないです先生。私しんじゃいそうです…たすけて。

「うーん、そういう痛みは気持ちの問題もあるからね。ほかの事に集中して気を紛らわせれば…だいぶ痛みは気にならなくなると思うんだけど…」

ハデス先生は保健室の先生だから、私はちゃんと生理のことを言ってある。お風呂はみんなと一緒に入れないし、生理通ひどいし、体冷やすのよくないし、すぐにトイレ行けないと困っちゃうから今日のスキーだって見学しなくちゃいけないから…。じゃあ何で来るんだって聞かれれば…そりゃあ…だって、ちょっとでも…やすだくんと一緒にいたいじゃん…スキーとかする安田くん絶対にかっこいいからフロントのロビーから眺めていようと思って…だって絶対にかっこいいもん。すのぼーとかできるのかな?安田くん…うぅ…またどばってでた…おっきいナプキンつけといてよかった…。

「気休めにしかならないけど、薬湯飲む?」

きゅっきゅっ、って水筒をあけていいにおいのするお茶?をくれるハデス先生。わあ、優しいなあ!!お礼を言って受け取ると水筒のコップはあったかくてそれだけでも気持ち悪いのが良くなった気がした。すんすんにおいをかいで見る。あーいいにおいだなあ。そしたらハデス先生が困ったみたいな笑い方をして変なのは入ってないよって言った。やッ!!別に私は先生のことを疑っているわけではなくッ!!ただ、いいにおいだなあって思ってくんくんしてただけなんですッ!!ようし!!いただきますッ!!味はちょっと変わった味。ハーブティー?見たいな…でもハーブティーよりはちょっと苦くて、深い味がする…。ううん、ちょっと私の頭じゃ表現しきれない味だ…。でも、体がぽかぽかしてきて本当に気持ちがよくなってきた…。あぁ、これなら眠れそうだ…ハデス先生すごいなあ…。コップを返してごちそうさまでしたって言うとハデス先生はにっこり笑ってお粗末さまでした。っていった。口の中がまださっきのいいにおいがしてすごくあったかい。わーきもちいなあ…窓によっかかろうと思ったけどひやっとして寒かったから彩の肩にもたれて寝ようと思ったら後ろの席からがばって誰かが顔を覗かせてきた…!!

「わああッ!!」
「 寝るの?」
「ややややすだくッ!!なんで?!後ろ明日葉くんが座ってた…」
「代わってもらった」
「あ、そうなんだ…あーびっくりした」
「寝るの?体調悪ぃ?」
「あ、うん…ちょっとバスに酔っちゃって…でもハデス先生がお茶くれて、良くなったから」
「ふうん…あ、じゃあさ」

細いするめをいっぱい口に挟んだ安田くんは一本もするめを落とさないで器用におしゃべりした。っていうかびっくりしたあ!!安田くん後ろのほうで美作くんたちとずっと騒いでたのに…あ、明日葉くんが本好くんとおしゃべりしてる…仲良いんだなあ…安田くんは私の背もたれにしがみつくみたいな格好で自分のジャージのポケットをごそごそいじくり始めた。どうしたんだろう…

「これやるよ」

ぼたぼたぼた。いろんな種類の飴とかキャラメルが私のひざに降ってきた!!えッ?!何これ?!びっくりして上を向いて安田くんを見るとまだするめをくわえたままでにっこーって笑ってミルキーを私の鼻の上に乗せた。

「飴とかなめると気持ち悪ぃの治るぜ?」
「こんなに、もらっていいの?」
「帰りの分もふくめてな」
「あ、ありがとう…」

ミルキーを受け取って口の中に入れると、さっきハデス先生にもらったお茶のちょっと苦いのがなくなって、むわあって甘いのが広がった。むぐむぐ。もちろんミルキーの味。ママの味だ。おいしい、甘い。しかも…安田くんに…もらった…。胸のあたりがきゅううんってして気持ち悪いのなんて忘れちゃう。

「よし。もし、足りなくなったら言えよ?俺後ろだから」
「うん、大丈夫こんなにあればたりるよッ!!ありがとう、安田くん」
「いやあ!!だって俺は…なッ!! の…か、かれ」
「安田うるさい、イス揺らすな」
「彩、音楽聴いてたんじゃないの?」
「充電切れた。安田うるさい。寝れないじゃない」
「うッ…そうだな、悪ぃ 。早く寝てよくなれよ」
「ありがとう、彩もそんなに気使わなくていいのに。えへへ」
「なに勘違いしてんの?私が寝れないのよ」
「あ、そうですか…」

安田くんは席に戻って、彩はイスを倒して眠っちゃった。私は安田くんにもらった、たくさんの飴やらキャラメルやらをハンカチに包んでひざの上で握り締めた。安田くんやさしいな、かっこいいな…!!本当に好きだなあ…ほっぺの中ではミルキーがころころ溶けて丸くなってく。外の景色は窓が曇ってて見えない。ほっぺが緩んで、にやにやしてる私が窓に映った。うう、わ…私気持ち悪い…。恥ずかしくなって姿勢を正して前を向いたら、ハデス先生がこっちを見ててにこって笑った。ッ!!恥ずかしい…!!…でも、本当におなか痛いのなくなっちゃった…。やすだくんが優しくしてくれたからかなあ…。私って幸せ者だなあ…。


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