06
うわッ足踏まれたッ!!なんだこれ?!なんだこの…人の量?!なんかアリが巣つつかれたみてぇになっちゃってんじゃん!!うぅぐ…!!く、くるしい…!!進めねぇ…けど…進まなきゃ、押されて下がってばっかになっちまう…。最後尾のプレートすらみえねぇ… が乗りたいって言ったんだ!!ぜってぇ乗せてやるぞぉッ!!ぜってぇ2人で乗るぞッ!!なッ ッ!!ん… …?

連絡、乞ウ。

人ごみをぐいぐい掻き分けるように進んで躓いて進んでってやっと列の最後尾にたどり着いて、後ろで一生懸命についてきてるはずの に振り返ると、そこには俺の知ってる顔がひとつだって無かった。…え? ??もしかして…ていうかこれ絶対はぐれた…!!〜!!てか俺!!どう考えたって があんな人ごみん中俺についてこれるわけ無いじゃん!!なに1人で意気込んでぐいぐい進んじゃってんの?!バカじゃん?バカじゃん!! どこだろう?!え、え…?!こんな人の中…探しきれんのか…?!ど、どうしよう…とりあえず列から外れて花壇みたいなとこの段差に上って周りを見渡す。 、  …!!かちゅーしゃ、が赤…って 背低いからわかんねぇだろ?!あああああああ!!これだめじゃん俺だめじゃん!!今日めっちゃかっこつけて、しかも の前だけではちゃんとそれなりにかっこついてて自分褒めてやりたいくらいいい彼氏だったじゃん?!なんでこうなちゃうわけ?!もうこれ絶対 俺に幻滅してるよ…自分だけアトラクションに走ってった男だと思われてる…はぁ…ちげぇんだよ… と乗りたかったから… 乗せてやりたかったから…がんばったのに…って1人でうじうじしてたって仕方ねぇよな…!!とりあえず…そうだよな!!ケータイ使えばいいじゃん!!何俺バッカ!!そうだよケータイケータイ!!ぱかって開けたケータイは何の連絡も無い。着暦もメールも…無い。… …怒ってるのかな…やだなあ…しゃがみこんで頭を抱える。ディスティニーランド来たら全部うまくいくと思った。だって が行きたがってたとこだし、出かける日決めた時この世の終わりが来ても崩れそうに無い笑いかたしてはしゃいでた。だから、俺も…さ。こんな風になるなんて思ってなかったよ…ううあああああ!!もう、なんか…めんどう…かも…。うわ、俺いま本当に最低…。でもさ、 も連絡くらい入れてきてもよくね?俺だって人ごみん中で だけ見つけ出して、手引いて連れ出すなんて出来るわけない。自分が進むのでいっぱいに決まってんじゃん…。んー!!…んー!!!!!ああああああああああ!!!!!

『みなさんこんにちわー!!ディスティニーランド楽しんでますかあ?!いきなりですが今日午前11:00から始まるファンタジックパレードに私ッ!!AKY108の後前田熱子が特別シークレットゲストとして参加させてもらっちゃうことになりましたッ!!大好きなディスティニーランドの新しいパレードに一緒に参加できるなんてもう感激ですッ!!もちろんみんな中央広場に集まってくれるよね?!アトラクションもスリル満点だけど!!せっかくディスティニーランドに来たんなら、パレード見なきゃ帰れないよッ!!以上ッ熱子の放送ジャックでしたッ!!みんな中央広場でまってるよー!!』

ケータイの画面の右上のデジタル時計が10:48から10:49に切り替わった。え…熱子…?!は?まじで?!なにそれ?!アトラクションに並んでた人たちがきゃーきゃーわーわー言いながら列から外れて中央広場へ飛んでく。え…熱子…マジで来てんの?!なにそれ?!俺と熱子のディスティニー?!ディスティニーランドだけに?!笑えねぇよッ!!おいこれどーする?!…は?…おいおい、ちょっと待て俺、落ち着け俺。

なに、今、俺どーするって思った?

何が?

何を?

どーするって何?熱子が来てんでしょ?うん。

…見てぇ…。

そりゃ当然。

ファンとして、

男として、

安田貢広として…!!

…でもさ、普通に考えてみろって。朝俺に会って一瞬すっげぇビックリした 、服装褒めた時すっげぇいいもんもらったみてぇに声も出せないくらい喜んでた 、あれがすごいだのこれがきれーだの俺も同じもん見てんのにわざわざすごいって事きらきらしながら教えてくれて、でも俺のほう見ると急にしおらしくなって恥ずかしがって変な笑い方ばっかしてた 。

…俺、なんでちょっと熱子と で迷ったの?バカじゃん。

俺はケータイで にダイヤルしながら花壇の塀から飛び降りて、とりあえず目に入った道を全速力で走った。ぜってぇ見つける。そんでアトラクション乗せる。だって 大好きになっちゃったんだもん。

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -