君に…
こんばんわー、みなさんこんばんわーみょうじおなまえでーす…はい、みょうじおなまえどぅええーっす!!えーっとですね、はい。今私は安田家前に来ております。時刻は…なんと23:48でーす!えっと私まだ中学生なんで本当はこんな時間にお外にいちゃだめなんですけど…ほら、ね!!大晦日はそういうの暗黙の了解で許されてるじゃん?お正月は老若男女みなさんお手を拝借お酌よいよいじゃん?そんな感じで大事な安田のお誕生日なら夜中に歩き回ってたって大丈夫なんじゃないかな?大丈夫だろうよッ!!ってね!!ってか寒ッ…寒ッッ!!!!

私は愛憎こめた、あ字間違ってないよ?愛情の間違いじゃないよ?愛憎で合ってるからねッ今回はッ!そうそう、愛憎込めた込めまくったむしろ8割くらい愛憎の混沌で構成されている手作りお誕生日ケーキをケーキ用の箱に入れてダンボールに入れてランドセルみたいに背中に背負えるようにして口にペンライトくわえてポケットにはコンパスを吸盤、あの鏡とかにぺたっと張るやつ!を詰め込んで安田の家にやってきました。もちろんアポ無し。私はこれからジェームズ・ボンドもイーサン・ハントもびっくりなジャパニーズガールスパイとしてターゲットである安田を驚かすためにこっそり2階にある安田の部屋に潜り込もうと思って居るんだけども残念な事に私にはボンドカーも筋肉もスキルもへったくれも無いのでなんとなく映画で見たことある、あーなんかそれならできそうじゃね?っていう潜入方法を実行すべくポケットには夢ならぬ稚拙な思惑を詰め込んで、とりあえず安田の家の塀をよじ登る。さっそく腕をこすってもうすでにくじけそうな私。

どうにか塀には登って…登って…。うん、後は安田が眠るあの部屋へ…ここからジャンプして屋根に飛び移って安田に気づかれないように窓をコンパスでキリキリ切り抜いて音を立てないように吸盤で貼り付けて静かにガラスを抜き取って鍵を外側からカチン。まだすやすやお休みぶっこいちゃってる安田の部屋に侵入成功!ミッションコンプリートいぇーい!!…って魂胆だ・・・へっへっへ…寒さで痛む指先と、塀を登ったときに出来た怪我、思ったよりも距離がある塀と屋根…そして塀の上に手放しで立ち上がると体がケーキの重みで揺れて大変怖い…怖い怖い怖い…!!ひぃいうううう…風が吹くと寒いし死にそうになる…。

それでも私は…くそう…にっくき安田のためにやらねばならぬことがあるんだ…!!ボンドさん、私はまだきっと00には早いわそれでもやらなきゃいけないことがあるの…イーサンさん…ん?イーサンさんってなんか二度手間みたいだからイーサンは呼び捨てにしておこう。イーサン、私にだってミッションインポッシブルをポッシブル出来るはずよね…!!今だけ私に力を貸してッ!!出来ればジャッキーくらいの跳躍力を・・・!!

ばッ!!

とんだ


落ちる前に


屋根のへりにしがみつく…


そしたら宙ぶらりんになって大変な事になってしまったああああああ!!!!っきゃあああああ!!!!やッばいいこれはヤバイ落ちたら死ぬ!死ぬ高さじゃないけどきっと、でも確実に怪我する痛い思いするやばいやばいこわいこわいこわい!!だからって腕だけで屋根によじ登れるほど私マッチョじゃないしうわあああ死ぬぅうううう!!!!!


「え、みょうじ…?何やってんの?」
「ぃやすだぁぁああ!!!!!うわああああんんん!!!!」


一生の不覚…パジャマ姿の安田に助けられた。引き上げるときにアイツ思いっきり私のズボンぐって引っ張るからパンツがすげぇ食い込んで痛かった血出るかと思った。しかも普通におうち入れてもらって寒いだろ?って布団までかけてもらった。それはさっきまで安田が使ってた布団だったからまだ安田の体温が染み付いてて非常に暖かくて悔しいながらとても助かった…結局ボンドさんもイーサンも私の味方じゃなかった…。

「で、何してたの?泥棒?」
「あ!今何時?!」

安田の言葉を無視して時計を探す。23:58…?!

「あ、やばッ」
「みょうじ?どうし…あ゛ッッ!!!!」

安田の家に来るもっと前に本好くんの家に寄って借りてきたスタンガン。ぐっと安田のお腹に押し付けると安田がピカチュウにビリビリされたサトシみたいにラムちゃんにバリバリされたアタルみたいにばちばちなった。す、すげぇ…本好くん、すげぇ…



11月30日 0:16

「ん…う、いってぇ…」
「安田、どう?生まれ変わった気分で人生やり直せそうか?誕生日おめでとう」
「…あ、ありがとう…。なぁ今の前置き要るの?」
「うん、だって安田浮気したもん。だからいま一回殺したからお誕生日に生まれ直して新たなる人生を歩むがいいよ安田貢広よ」
「浮気ってなんだよ?俺が?」
「今日、いや昨日?今もう30日だよね?ってことは昨日?…29日。女の子と一緒に帰ってたの見たもん」
「…それ、友達の妹だから」
「信じない」
「藤にラブレター渡しといてくれって言われたんだよ」
「…」
「…」
「マジでか?」
「マジです。現物見る?」
「え、ううんいいです。要らないです…」

ヤバイ…私の勘違いだった…いやいやでもさ!!そーんな事ってありますか?!ありますの?!あるのね?!マジで迷惑そうな顔してる安田を見てるとなんか暴走しまくってた事を悪く思えてきた…うう…私もっと、安田の事信用しなきゃ…いっそ私が嫌われるよね…ご、ごめんよ安田…!!こりゃあ10:0で私が悪いです…そしてケーキの材料達よごめん…あんな残虐なケーキに昇華しちゃってごめん…きっとジャムとチョコの所為でドロ甘でごめん…

「で、誤解が解けたんならいいけど…誕生日祝いに来たのはマジ?」
「あ…へェ…マジでやンす…」
「じゃあその背負ってるのがプレゼント?それともプレゼントはみょうじ?」
「え…?!」

眠いからなのか濡れ衣を着せられ多少イラついてるのかどっちもなのか分からないけどなんか安田が、威圧的に迫ってくる…あ、あ!これ、こいつ盛ってるな?!これ…安田ちゅうとかそういうのしたい顔だな?!いやいやいや!!でもダメじゃん明日学校だし私けっこう早急にお家帰らなきゃこんな時間に外に居るの警察よりもお母さんにばれた方がやばいんだよ…!!迫ってくる安田を押しのけて必死にダンボールの中のケーキの箱の中のケーキをどどーんと差し出す。甘い匂いがもっわ!とはじける。

「ッんむぁーい!!ハッピーバスデー安田ッ!!」
「…なにこれ、ゾウの心臓ケーキ?」

…ええっと、ごめんなさい…次は真面目に作ります。

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