文面告白
「あみょうじ!悪ぃ昨日勝手にみょうじの古文のノート借りたから!」

「えええ?!事後報告?!こンの安田野郎ッ!!え…ちょ…古文?!」

安田が何にもない風にほいっと差し出したのは間違いなく私の古文のノート。まってまってまって!!神様まって!!古文って言った?!私の古文のノートって言ったらあれじゃん?寝ているのか起きているのか分からない身心状態で文字が文字に見えないミミズが這ったような友達には『解読不可能』『あるいみ重要歴史的書物』『くさびがた文字全集』などなど大批判をくらったノートじゃないか!!しかも見返すと自分でも私は何が描きたかったんだろう…って悩んじゃうくらいピカソな絵がノートの縁にはびこっている…!!なんでよりにもよって安田野郎に見られてしまったんだ…!!神様のいじわる!!安田が直接私にノート貸して的な事言ってくれれば私マッハで落書き消して快く貸したのに…!!

「でさ、あのすげぇ不細工な藤みたいな顔。あれはさすがに藤に謝った方がいいって」

しかも隣に小さく『美』って書いたゴリラってお前ぎゃははってお腹かかえて笑う安田。う…。嬉しいような嬉しくないような…気付いてない…?ていうか女の子のノート勝手に見てしかも笑うなんてひどい!しかもあれ藤くんじゃな…

「お前藤の事好きならもっとしっかり描いてやれよな」
「〜!!藤くん好きじゃないもん!あの絵だって藤くんじゃないもん!!」
「は…なに急にマジに…」

うわ…なんかいきり立っちゃった…。安田びっくりしてるよ…うぅ…顔が赤くなるのが分かる。顔の皮膚がじくじくあっつくなる。安田がノート絵をみかえしておずおずと口を開いた。

「も…もしかして俺?と…美作?」
「ううううぬぼれんじゃないわよ!!」

そこまでわかったなら絵の回りに描いてあるいびつな形のハートの意味だって分かったでしょ?!バカ安田ッ!!

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