あんああんあんfeat.安田P
「そういえばおなまえって、あんま喘がねぇよなー」

お夕飯の片づけを済ませて、濡れた手をタオルでふきふきしながらリビングに入るとなんだかとてつもなくエッチなビデオを見ながら鼻をほじっていた貢広がのん気に口走った。はぁ?なにこいつ急に…ってか、彼女の前でそういうビデオ見ないでよね、なんだよなんだよ!!私があんまり喘がないからってそうやって液晶画面越しにくねくねぬるぬるあんあんああんしてるお姉さんでおなかいっぱいにするのか?!おい貢広ッ!液晶越しのその景色はいまのお前のそのあほ丸出しの鼻ほじ面にどう映っているというんだ?!私だけじゃ不満なの?!やっぱりあんあんひぃひぃああああ!!とか言わなくちゃいやなの?!ねぇ貢広ッ!!みつひろッ!!みーつーひーろぉおおお!!

「なんで?」
「は?」
「いやいや、おなまえさん。俺のお話聞いていましたか?脳みそはいってますか?うぉーい!いらっしゃいますかー?!シンクの生ごみと一緒に生ごみ処理機にかけられちゃいましたかァ?!」

私の頭をこぶしで軽くこんこんたたいてふざけている貢広の、体重をかけている腕をぱしっと軽く叩いてやった。貢広は電気をぱちっと切られちゃったおもちゃか何かみたいに素直に床にぽてっと倒れた。はははは!いい気味だよまったく!私は完全に床に寝転んだ状態の貢広のおなかあたりに寄り添って、膝をそろえて体操座りをする。貢広がいってーとか反則だーとかぎゃあぎゃあ騒いでるのを横目に、私は視線をテレビ画面に移した。

『あッああ…はぁッんぅあ!いいっいい、よォ…あッ、イっちゃうぅ…!』

漫画とかのセリフみたいだ。いや、私はそんなエッチな漫画読んだこと無いんだけどね?なんとなくイメージで?というか、それ以前にさ、私。おーがずむのことをイっちゃうって言うのがよくわかんないんだよね…どこに行っちゃうんだ貴女たちは…。テンションで言っちゃうのかな?でもさ、もしイっちゃうって言うのをおーがずむのことだって知らない人とエッチしてて「イっちゃうー!!」って可愛く叫んだとたんに相手の動きが止まって「どこに?」って驚かれたらどうするんだろう?だって、びっくりするよね?まさにセックス真っ最中、そろそろ絶頂、フィナーレだってなってるのに、急にどっかに「イっちゃうー!」って言われたらえええええ?!ってなるでしょ?!そういう時ってどうするんだろう?膝を抱えて、テレビの淫乱お姉さんを睨みつけながら考え込んでると、貢広がわき腹をするする撫でてきた。これは貢広が私の事を甘やかすときによく使う手だ。貢広はたまにどうしようもなく大人で(まぁ、それに引けをとらないほどたまにすっごく子どもなんだけど…)私が抱えてるいやな事とか、どうしようもないどこにもってっていいのかわかんない複雑な気持ち、叫び、苛立ち、激情を…こうやっておなかとか背中とか、比較的エッチじゃないところを擦りながら、言葉で、態度で、優しくゆっくり溶かしてくれる。見た目もやる事も考えてる事もちゃらんぽらんなくせに、なんでか私の事だけは全部分かってるみたい…。見透かされてるみたいで、たまにこしょぐったい。

「俺とエッチしてても気持ちよくねぇの?」
「…そんな事ないよ?なんで?」
「だって、おなまえがああやって喘いでるの聞いた事ないから…」

テレビ画面を指す貢広の細長い指はとっても大人でどうしようもなく男の人の指だ。いつだってこれに、気持ちよくされてしまう。エッチな意味でもそうじゃなくても。

貢広の言うとおりだ。私はあんまり、というかほとんど…セックス中にきゃんきゃん喘いだりしゃべったりしない。唇をきゅうっと瞑って鼻からすんすん息をするだけ。たまに抜けた声が出ちゃうけど、あれは不可抗力って言うか…出ちゃうもんなんですよね…恥ずかしい事に…。私が喘がないの、貢広はいやなのかな?やっぱり男の人って言うのは「どうだよ?!俺のテクニックふぅふぅ!!あえげあえげ!」みたいに思ってるのかな?男に生まれたからにはやっぱり女の子のエッチな喘ぎ声を聞くまでは死んでも死にきれねぇのかな?

「喘がない私はいやだ?」
「うーん…いや、いやだとかじゃねぇけどさ。なんでかなーって思って」
「…そっか」
「そうです、な」
「そうですなってなに?古くない?」
「え?そうか?そんな事ないと思うんだけど」
「古いよ」
「そう?」
「うん」
「そう」
「…」
「…」
「だって」
「ん?」
「恥ずかしいじゃない…声出すの」
「あ、出ないわけじゃないんだ?」
「え?あ、うん…でそうになるけど…恥ずかしくて飲み込んじゃうの」
「いつも我慢してんの?おなまえと俺しか居ないのに?」
「だからだよ、貢広が居るもん…きゃあきゃあ言ったらかっこ悪いじゃん」
「えええええ?」



ところ変わってここはベッドの上なわけですが…。もちろん(?)貢広も私もすっぽんぽんで、まぁまぁおっぱい触られたり舐められたり、多少かじられたりもしたわけですが…私はどうしても息を殺して声を出すのを我慢してしまう。今回のレスリング・オン・ザ・ベッドのコンセプトは「おなまえを喘がす」らしいです。えー?って思うけど…貢広に誘われちゃあ断れないんですよね。ああ、これって結局気持ちいし、貢広好きだし、貢広が私の中にはいってる間って本当にビックリするくらい満たされてるって言うか、しょわーって私と貢広が合体(って生々しいな…)してすごいかっこいい天使か何かになっちゃうんじゃないだろうかって思うくらいに神々しい何かに飲まれる。あらら?なんか私がよくまとまらない考え事してるうちに貢広くんはごそごそと自分のおちんちんにコンドームを装着し始めましたよ。いよいよですねーってね!実況してる余裕ないんですよね本当は。どっくんどっくんしてる心臓は今にも爆発しちゃいそうだし、一生懸命抑えてる荒い息の所為(抑えちゃダメな約束なんだけど…)で、自分のおなかがぼわあって膨らんでしゅーってへこんでくのを繰り返してるのを見ながら、それごしに色っぽい、でもちょっといらいらしたような、焦ってるって言うか、攻撃的な?顔した貢広を盗み見る。ちらっと見えたコンドーム装着済み貢広のおちんちん。これから私を襲う、竜巻のような快感を、激情を…反射的に予想される過去の体験からよみがえる鮮明なあの感覚。そんな事を考えるだけで、私のとろとろになったあったかい場所はもっともっとやらかくぐにぐにのどろどろになって貢広!貢広ッ!ってなる。汗ばんだ手の甲で口元を押さえてると、体制を整えた貢広がきゅっと眉間を寄せて私を睨んだ。

「それがダメなんだってば」
「ふぅあ…」

手をぽーんとはじかれて鼻とお口が丸裸にされる。それだけでもなんだか恥ずかしくて貢広から顔をそらしたくなったけど、貢広の顔が近づいてきてそんな事できなかった。はぁはぁと浅い呼吸の貢広のしっとりとした薄い唇が私の唇に近づいて重なる。ああ、みつひろ…好き好き好きぃいい!!ってなる前に、なぜかきゅっと鼻をつままれた…!!んむぐッ?!なっな、なに?!どうしたのみつひろ?!って困惑してると、ぬるりと貢広が私に入ってくる。きゅうんっとおなかが切なく痺れて、背中をぞくぞくと気持ちいって言うのが這い上がってきて頭がパンクしそうになる。口の中ではみつひろがあついベロをべろべろしてくるし、息できなくて苦しいし、気持ちよくておかしくなりそうだし…!!いっぱいいっぱいになって、貢広の髪の毛を引っこ抜く勢いで、がっしーっと掴んで引っぺがそうとすれば、貢広は案外すんなりと口を離してくれた。みつひろと私のベロを包んでたよだれがみょーんと伸びて、口の周りに冷たくなっておちた。久々に肺いっぱいの酸素を感じる。と、同時に、貢広ががっつんがっつん動きはじめた。鼻はまだつままれたままで…

「んぅぱッ!はぁはぁッはぁッ…あッあああ!ハッあん…ぅあっあッあっ」

自分でも驚くくらいいやらしい声が出る。息を吸おうとすれば、そのタイミングを見計らって貢広がぐんっと気持ちが良い所をおかしくさせる。すると開きっぱなしの口からはああッ!だのひぁッ!だの信じられない声がもれた。自分の声がこんなにエッチだんんて知らなくて、なんだか余計に恥ずかしくなったけど、もうそんな事考えてられなかった。みつひろのはぁはぁ言う声と、くっちゅくっちゅぺしぺし私とみつひろの間の音。自分でも知らなかった自分の声。頭に流れ込んでくるその音が、声が、わたしをもっともっと気持ちよくさせて、もっともっと声が出る。あああなんだこれ?きもちい、あたまおかしくなっちゃいそうだみつひろっみつひろッ

「みぅッひろッ…あッみィッんあッあッあ…!みつッぅあッ」
「うっわ…おなまえッ…すっげ、えろい」
「やッやッ…はァなッとってッ!はなッ!くぅしッ…くるしいッ」
「とったってかわんねぇって」

ぱくぱく金魚みたいに口で一生懸命息をする。たらたらとよだれがたれて、ほっぺたまで流れてくのが分かる。頭がぼうっとして、もうなんだか、自分がなに言ってるかもわかんない、ろれつがまわらない、気持ちよすぎて怖くって小さい子みたいに泣き喚くしかない。貢広の髪を掴んでた手を貢広が解かせて、下のほうに引っ張る。私と貢広が繋がってるところに導かれる私の手。目で見てるわけじゃないけど、たまに触れるふわふわした毛とか、感覚で分かる。近い体と体の間の狭い空間に閉じ込められた空気は湿っていてあったかかった。貢広は腰を動かすスピードを緩めて自分のおちんちんの根元に私の手を添えるように誘導した。コンドーム越しでも熱く、ぬるりとしたものに触れて、恥ずかしいのとかびっくりしたのとか、ちょっと嬉しいのとか、よく分からないけどいろんな強い感情が頭の中をぼかぼか熱くした。自分で自分のおちんちん触らすなんて貢広おかしいんじゃないか?!

「これは誰の?」
「んぁッはぁッみつひぉ…みつひッろぉの…!」
「おなまえは今、誰の何で気持ちよくなってんの?」
「あッあッおちんちッ…みつひろのおちんちんでぇッあああッ!」
「どのくらい気持ちい?」
「あぅわ…かんなッ…わかんないッきもちいッみつひろッあん」
「おなまえ、可愛すぎっ」
「やッみつひろ、すきッすきぃ」
「知ってる」


私は決意した。もう二度と喘ぐのはやめよう。貢広とのエッチであんあん喘ぐのはやめようと決めた。エッチが終わってから体をきれいにして、さぁ寝ようかって布団についたとたん。貢広はくぷぷっと噴出すの我慢するように小刻みに震えだした。私は疲れすぎていて、本当は絡みたくなかったんだけど、隣でこんな事されてたら眠れないから声をかける。肩に手を添えて、私に背を向けてくの字に体を曲げた貢広の顔を覗き込む。

「っぷはははは!!だってさッだってさッ!!おなまえ!おちんちんっつってたぜ?!やっべぇアレマジで録音しときたかったー!!めちゃめちゃ可愛かった!!おちんちんだぜ?!おなまえがッ!!」
「なッ!なんで笑うのよ?!ていうか、言わせたの貢広じゃん!」
「そ、そうだけどッ!ぎゃはは!やっぱだめだ!あれ可愛すぎた!!『みつひろのおちんちん』って言うのッ!!おなまえ喘ぎ声エロすぎかわいすぎ!!」
「やだッ!なんで覚えてるのよそんなことッ!もうやだッ!」
「『みつひろ、すきッすきぃ』!!」
「やだってば!なんで真似すんのよ?!」
「だって可愛かったんだもん!」
「もうやだ、貢広きらい。もう絶対喘がないし、エッチしない」
「ええええ?!なんで?!なんで?!俺こんなにも褒めてるのに!!」

なんでそんな恥ずかしい事思い出させるんだッ?!テンションでつい口をついちゃった言葉じゃんッ!!そんな、繰り返す事ないじゃんッ!!貢広ひどいッ!!私は貢広に背を向けて布団にもぐりこんだ。頭まですっぽり掛け布団にもぐってしまうと、笑ってた貢広の声が一気にあせった声に代わってごめんごめんを繰り返す。布団越しに二の腕を擦ろうとしてくるから、それをうにうに這って避ける。貢広はいよいよあせって布団から飛び出して、布団の上に四つんばいになって私の顔を覗き込もうと必至になった。どんだけあせっているんだお前は…

「あッ!そうだ!おなまえおなまえッ!声出すの恥ずかしいならさッ!アレ買うから!『猿ぐつわ』」
「お前がつけてろッ!!」



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