「っ無理…マジで無理だってナツ!」
「そんなのやってみなきゃわかんねーだろ」
グレイと付き合って約二カ月。そろそろグレイを抱きたくて衝動的に行動にでたオレ。
ジタバタと暴れる脚の上に乗り上がりベルトでグレイの両腕の自由を奪ってもまだ、グレイは息を弾ませながらどうにかオレの下から這い出そうと必死だ。悪あがきというのはこーゆーのを言うんだなぁと呑気に思った。
背は負けるがガタイはオレの方が良いし、力だってオレのが強い。逃げ場なんてないのに。
「俺が挿れたいの、
にっ!?」
「萎えるからそれ以上言ったら無理矢理ブチ込む」
「っ〜〜!」
自分からフッかけといて理不尽な事を言ってる自覚はあった。けどありえない、オレは絶対こっちのが良い。
(つか…うっわ、なんだよこれ)
どさくさに紛れて下着ごとズボンを降ろして、指先を埋めたそこは異物を拒絶するように押し返してきた。
指1本すら全て入らない。グレイは浅い呼吸を繰り返しながら強張らせた背中を縮こまらせて、その不快感に耐えているようだった。 この反応…本当に…。
「……お前、初めてなんだな…」
「っ…たり前だろ!男の経験なんかねぇよ!」
………まじか。
こいつくらい美形だと、致しまくってると思ったのに。
まあ処女に越したことはないが。
まじまじと明るみの中で見た蕾は穢れを知らない綺麗な色で。
「…ちょっと気持ち悪いだろーが我慢しろよ」
「な、に…ゃだッ、ひんっ…!?」
ひた、と舌先で舐め上げれば反射的にそこはキツく入り口を閉ざす。お構いなしに萎縮した蕾の中に舌を捻じ込んだ。
「っあ、あぁっ、やだ…!気持ち悪ッ…」
「やだ?じゃあ何でココこんなしてんの?」
唾液を舌先に乗せ胎内へ送り込んではじわじわと指を埋めて内壁を押し広げる作業を繰り返しながらそっと前に手を伸ばす。緩く硬度を持ったそれはオレが掌で包み込むと小さく震えた。
「っぁ…さわ、なっ…!」
「しっかり感じてんじゃん、可愛いなお前」
「ちが、ああぁッ…も、後ろやめろっ…」
(やめろっつってもな…)
掌に握り込んだ高ぶりを上下に擦り上げながらさっきは入りきらなかった指を奥まで沈めれば、驚く程すんなりとグレイは受け入れてしまった。震えた吐息を漏らす様子は慣れない感覚に耐えているようではあるけど痛みはないらしい。
「……挿れるぞ」
次第に緩み出した蕾と艶を含んだ息遣いに誘われるようにオレは前を寛げた。実のところオレだって相当余裕がない。
グレイが欲しくて仕方なかった。
「…ッ、!?」
「おっと…諦め悪いな、言ったろ…ちゃんと気持ち良くしてやるよ」
「無理!そんな太いの入らないってばマジで!」
「それ煽ってるからお前」
瞬時にこれから何をされるのか察したのだろう、グレイが反射的に身を起こそうとしたところを上から覆いかぶさって押さえ込む。
それと同時に猛った杭を深々とグレイの中へと打ち込んだ。
「ひぁああ!…入ッ、ゃああ!!」
「ッ…まじ、きっつ…」
「ふああ…っ、ぁ…」
貫かれたグレイの身体にはもう抵抗出来る力もないのか腰だけを高く上げた体勢でシーツに沈んだ。
辛うじて立っている膝だってオレに支えられているからそうしているものの、今にも崩れてしまいそうに頼りない。
支配欲を煽られながら今犯している全身を舐めるように眺めていると不意に拘束したままだった手首が視界に入った。
「…流石にこりゃ鬼畜だな、手貸せ」
「は、ッく……ぇ…?」
緩慢な動きで振り返ったグレイは虚ろな目をしていてどうやら先程の挿入の衝撃で意識を持っていかれているらしい。
その様子に酷く煽られて唾を飲み込み、両手の自由を奪っているベルトを解いた。どれだけ引き抜こうとしたのか擦れて赤くなってしまった手首を掌で包み込んでやるとグレイからは小さな息が漏れる。密着した皮膚越しに力が抜かれていきそれが安堵である事を察しておもむろに腰を揺らしてみた。
「っああん!、ぁ、だめッ…な、んで俺ッ…!」
戸惑いを含んだ声音は既にそこで快感を得ている事に信じられないと言わんばかりで、自由になった手がまるで理性を引き戻すようにシーツを掻き乱す。
「あーもう素直に感じろって、オラっ」
「ひぐッぅ、あンンッ…イくっ、イっちゃ、あアあぁ!?」
ギリギリまで抜いた自身を角度を変えて再び抉るように突き上げてやれば、骨張った身体が一際大きく揺れて小刻みに震える。内壁の抵抗は一瞬気を抜いてしまえば全て持って行かれそうな程だ。その刺激と絶えず上がる嬌声に酔いながら律動を続けるも未だ治まらない搾り取るような肉の収縮にやっと気づいた。
「ふ…ッぁ、ひゅ…なつっ…俺ッ…」
「っ…おま…まじでイったのか?」
思わず動きを止めて目を見張る。真っ赤に熟れた先端からパタパタと溢れるものがシーツに染みを滲ませていた。
完全に緩和しきった身体から猛ったままのそれをゆっくり抜くと、支えを失ってしまったようにそのままシーツに崩れ込むグレイ。
羞恥だろうか快感だろうか、またはその両方のせいか虚ろな瞳には涙が滲んでいた。綺麗過ぎて戸惑う。
「…っ、見んな…」
「ごめんそれ無理、お前エロ過ぎ」
「誰のせいだよ…」
「……」
「嬉しそうな顔すんなバカ!」
バシンと頭を叩かれたけどそれこそ無理な注文だ。
こんな姿に他でもないオレがしたんだと思うと興奮は更に思考も理性も全部溶かす。気怠そうに身じろぐ身体に手を伸ばしてシーツに背中を押し付けるとグレイの顔から血の気が引いた。うん、やっぱその顔好きだなんて思うオレはもしかしたらそーゆー趣向があるのかもしれない。
「…ちょ、まさか…」
「自分だけ気持ち良くなってんじゃねぇよ、」
勘付いたグレイが逃げるよりも早くその身体深くに自身を埋め込んだ。
貫いた身体は衝撃のままに曲線を描いた。そうすると反らされた胸の肋骨が浮き出て、ただでさえ快楽に侵され儚い印象を感じさせ拍車をかける。肉の激しい蠢きに包まれて思わず熱い息が漏れた。
「っは…スッゲ…」
「ゃ、ああぁッ!待っ …、イッたばっか…!!」
たまらずグレイの掌がオレの頭や肩にかけられるけど、今度は制止の懇願に構わず律動続けながら絶えず内壁を擦り上げ抉ってやると押し返す力は可愛いもので次第に縋り付く事が精一杯のようで。
そんな風に震える腕を伸ばされれてしまえば加虐心を煽られてもっと自分の下で乱れる姿が見たくてわざとグレイが弱い場所ばかりを集中して責め立てる。
「グレイさ、ここ擦っと…もう何か訳分かんなくなっちまうみたいだな。すげー可愛いの」
「ひィいんッ…あンン…それ、だめっ…って、だめ…なつぅっ…!」
肉壁を突き上げるたびに跳ねる身体は例えるなら魚が岸に打ち上げられたようなそれ。だらしなく開かれた唇は酸素を取り込むにも自らの悲鳴がそれを邪魔をする。
瞳の焦点も定まらずただただ涙を流す為だけに開かれていた。
「中ずっとビクビクしてんぞ…、
はは、もしかしてイキっぱ?」
「ふ、あ、ぁあッ…な、つ…
っねが…もう出なっ…」
「んッ…だな、そろそろオレもイく…」
グレイの前を汚す体液はもうほとんど透明に近くて、それがなだらかに隆起した腹筋にもう結構な量が溜まってる。
溜まりきれずにシーツに零れ落ちたのだろう脇腹にはいくつも薄く筋が出来ていた。
「っ…グレイ、も…出すぞッ…」
脱力しきった脚を腹につく程折り曲げて深く深く押し入る。
グレイの嬌声とも悲鳴ともつかない声を最後に聞きながら未だかつて味わった事のない快楽に絶頂し、すべてをグレイのナカに叩き込んだ。
2012 0802