長編 | ナノ


気まずい。非常に気まずい。なんでわたしは見知らぬ男性(後頭部がちょっと風変わり)と並んで歩いているんだろう。(しかもこの人さっきから無口どころか無表情なんだよ…!)

「あ、あの…。お家こっちですか」
「君の家がこっちならな」
「え?」

謎めいた返答に思わず整った顔を見つめたが本人はその質問に関してそれ以上の言葉をよこす気はないらしい。相変わらず無表情で前だけを見て歩いている。(会話のときくらいもうちょっと愛想のいい顔してくれてもいいのに)
仕方がないのでべつの質問に移ることにした。

「…お名前はなんておっしゃるんですか」
「フィッシュ竹中だ。君は?」
「フィッシュ?!…#みょうじ##なまえ#です」
「フィッシュ#みょうじ##なまえ#か。同名とは奇遇だな」
「ちがいます。奇遇でもなんでもないのでフィッシュはくっつけないでください」
「フィッシュ。君の家はここか?」
「ちがうって言ってんのにさっそく呼んだこの人!はい、わたしの家はここですけど…え、まさか送ってくださったんですか?」

我が家とフィッシュ竹中さんを見比べる。これで頷いてかっこよく去ってくれたらわたしは彼に惚れていたかもしれない。実際は肯定するところまではよかったのだが、

「うむ。しばらく世話になる」
「え…ええええええ?!!」
「さあはやく玄関を開けるんだフィッシュ」
「いやいやいやいや!ちょっと待って!というかなんで命令口調…大体わたしはフィッシュじゃ…ああもう!」






家とホームレス
(はいわかりましたと言うとでも思うのか!)
20100323
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